【レポート】T-BOLAN、奇跡の再会「旅のスタートの“はじまり”です」

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T-BOLANが9月13日、Zepp DiverCity TOKYOにて<LIVE HEAVEN 2017 夏の終わりに「再会」~Acoustic Live Tour~>の東京公演を開催した。同ライブは22年ぶりに“LIVE HEAVEN”というタイトルを冠して行われたもの。諦めない思いが生んだ奇跡の「再会」となる。「離したくはない」「Bye For Now」「マリア」など代表曲が、様々な経験を経て円熟味を増したボーカルと演奏ではじきだされた圧巻のアコースティックライブをレポートしたい。

◆T-BOLAN 画像

まだ誰もいないステージ上は、布による豊かなドレープが美しい装飾が施されていた。T-BOLANのライブといえば、むき出しの鉄骨で組まれた硬質なステージが定番だっただけに、これまでとは異なる新たな一面を見せてくれるのではないかという期待が入り混じる。

そして定刻、オープニングSEとともに会場が暗闇に包まれた。真っ暗なステージに青い光が射し、ひとり、またひとりとメンバーが集うという登場シーンはアコースティックならではのもの。ボーカルの森友嵐士とドラムの青木和義が肩を組んで姿を現し、その後ろから五味孝氏が定位置に着くと、客席からひと際大きな拍手が贈られた。その拍手は、“おかえり”という言葉の代わりのように温かい。そしてアコースティックギターとピアノの音色を合図に、ライブがスタートした。


“じょうだんで生きてんじゃねぇ 心から 涙流せ”──森友嵐士の歌声が会場中に響き渡る。「再会」の1曲目は、「HOW DO YOU FEEL?」だ。13thシングルのカップリングナンバーである同曲は、メッセージ性の高い歌詞でファンに人気であり、“新しい勇気を 心に誓えば……”というリリックに彼らの決意が滲むようだ。

「再会」に向けたメンバーの思いが染み渡るオープニングナンバーに続いて、森友のブルースハープと五味のギターによるブルージーなイントロが印象的な「あこがれていた大人になりたくて」へ。アウトロまで一貫して、セッションさながらのスリリングな演奏を聴かせた。

「<T-BOLAN LIVE HEAVEN 2017 夏の終わりに『再会』>へ、改めまして皆さまようこそ!」──森友嵐士

前述したように、森友が<LIVE HEAVEN>というツアータイトルを口にするのは22年ぶり。「1995年以来だ」と感慨深げに語り、「今日はみんなとの旅のスタート“はじまり”です」という言葉を客席へと投げかけた。時折笑いも起こるMCは、久しぶりの「再会」にも関わらずファンとの距離を一気に縮めていく。



そして、ここからは大ヒットシングルや人気曲を次々と披露。「マリア」をはじめ、T-BOLANの始まりの曲「悲しみが痛いよ」、「Bye For Now」などがアコースティックバージョンでしっとりと、よりエモーショナルに繰り出されていく。キャリアを重ね、様々な経験を重ね、歌も演奏も一層円熟味を増した彼らだからこその深みを伴った熱演は、1曲ごとが一編の映画のようなドラマ。曲を聴き終わるごとに会場のファンからは万感の思いを込めた拍手が贈られ、充足感に満たされていった。

また、曲の合間のMCコーナーではT-BOLAN結成時の話題や、プレライブで演奏したという「マリア」のレゲエバージョンがサプライズで披露された。さらには、生まれてきた新しい命へのメッセージを込めた曲「BOY」が、実は青木の子供が生まれたことをきっかけに作られていたことや、その子が大人になった時、森友の念願でもあった、本人の前で「BOY」を歌い贈ることが出来たことなど、初めてのエピソードも語られた。

「さてここで呼び込みますか……奇跡の男!」──森友嵐士


この言葉とともにステージに現れたのはT-BOLANのベーシスト上野博文だ。2015年3月にくも膜下出血で倒れ、生死をさまよう闘病生活を乗り越えて、文字通り奇跡の復活を果たした。「ライブをやりたい」という上野の言葉と存在が活動再開の大きな要因となったわけだが、本人や家族、メンバーが回復を諦めずにいたことをはじめ、「再会」に至るまでの経緯などが森友を中心に、感謝の言葉とともにステージ上で語られた。

温かい拍手がメンバーへと向けられると待ちに待った瞬間が訪れる。上野を含めたメンバー4人による「離したくはない」だ。鳴り止まない拍手を受けながら、上野を交えてもう1曲、「Happiness」が披露されると会場は一気にヒートアップしていく。上野が森友とハイタッチし、また再登場することを約束してステージを後にした。

ライブ後半は、「じれったい愛」を皮切りにアッパーなナンバーが続く。「刹那さを消せやしない」では客席中がスタンディング。「SHAKE IT」では森友の前から譜面台とハイスツールが取り払われ、アコースティックライブとは思えないパフォーマンスが繰り広げられ、ボルテージMAXのままに本編が終了した。


メンバーがステージを去ると、まもなく会場からはアンコールを求める拍手が湧き起こる。その声に応えて現れたのは、森友嵐士、五味孝氏、上野博文、青木和義の4人。メンバー全員が揃って登場を、会場中が深い感慨をもって迎えた。

サポートメンバーに続いて、T-BOLANメンバーの紹介後、ついに21年ぶりの新曲「ずっと君を」が披露された。同曲は初のメンバー選曲によるコンセプトベストアルバム『T-BOLAN ~夏の終わりに BEST~ LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』に収録されたバラードナンバーであり、「再会」のために書き下ろされたもの。込められたメッセージがファンの心に真っすぐに届いたはずだ。アンコールラストは、T-BOLANとファンをつなぐ1曲とも言うべき「Heart of Gold」だった。“夢と勇気があればそれでいい 諦めはしない”という歌詞にステージと会場が一体となり、「再会」が大合唱で締めくくられた。

「また会おうぜ!」──森友嵐士

森友の叫びが、再びの「再会」を期待させる感動の一夜となった。彼らが口ずさんだその歌詞通り、諦めないことで生まれた奇跡のライブの感動は、今週末仙台で行われる追加公演にてファイナルを迎える。

■ツアー<T-BOLAN LIVE HEAVEN 2017 夏の終わりに『再会』 ~Acoustic Live Tour~>
9月13日@Zepp DiverCity TOKYOセットリスト

01.HOW DO YOU FEEL?
02.あこがれていた大人になりたくて
03.マリア
04.悲しみが痛いよ
05.Lovin' You
06.夏の終わりに
07.Bye For Now
08.真夜中のLove Song
09.愛のために 愛の中で
10.BOY
11.遠い恋のリフレイン
12.離したくはない
13.Happiness
14.じれったい愛
15.刹那さを消せやしない
16.SHAKE IT
17.My life is My way
encore
en1.ずっと君を
en2.Heart Of Gold

■東名阪ツアー<T-BOLAN LIVE HEAVEN 2017 夏の終わりに『再会』 ~Acoustic Live Tour~>追加公演

9月17日(日)宮城・仙台GIGS
開場16:00/開演17:00
▼チケット
全席指定 ¥10,000-(税込)
※全会場共通



■コンセプト・ベストアルバム『T-BOLAN ~夏の終わりに BEST~ LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』

2017年8月16日(水)発売
2CD+1DVD 3,996円(税込)
※約21年ぶりの新曲も新録収録

◆T-BOLAN オフィシャルサイト
◆T-BOLAN オフィシャルfacebook
◆森友嵐士ファンクラブサイト
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