【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.39「HIM解散ニュースが飛び込んできた」

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ファンの方はもうご存知かと思いますが、先日突然HIM解散のニュースが飛び込んできました。その日、イギリスのラジオで夜HIMから重大発表がある情報は目にしていました。2013年に8枚目となるスタジオアルバム『Tears on Tape』を発売後、最近は目立った活動がなかったのと、最近読んだ記事にフロントマンのVille Valoにソロプロジェックトの予定があると書かれていたので、しばらくHIMは活動休止なのだろうか?と少しばかり嫌な予感はしてはいたのですが、がーーーーん。まさかの解散発表!


HIMが結成されたのは1991年。ヴォーカルVille Valo(ヴィッレ・ヴァロ)、ギタリスト Mikko 〝Linde″ Lindstrom(ミッコ〝リンデ″リンドストロム) とベーシストの Mikko 〝Mige" Paananen(ミッコ〝ミゲ" パーナネン)によりHis Infernal Majestyというバンド名でスタート。その後EP盤『666 Ways to Love: Prologue』発売にあたりバンド名が長すぎるということで短くHIMに改名。ドラムにJuhana Rantala(ユハナ・ランタラ)、キーボードにAntto Melasniemi(アンット・メラスニエミ)が加わり、1997年デビューアルバム『Greatest Lovesongs Vol.666』を発売。当時はまだネットも普及してなく、育児に専念中で音楽からかけ離れた生活だったためまだHIMの存在を知りませんでした。



自分がHIMに出会ったのは2003年に発売された4作目のアルバム『Love Metal』の頃でした。買い物に行った時息子にせがまれて買ったフィンランドのヒット曲が詰まった2枚組CDに入っていた「The Sacrament」という曲に心を奪われたのであります。そのころTV放送されていた音楽番組でそのアルバムからの「The Funeral of Hearts」のミュージックビデオを見た瞬間、このHIMというバンドに一目惚れ。当時一番新しかったHIMのアルバム『Love Metal』をさっそく購入。全体的にダークでメランコリーさを感じるサウンドに当時の心情がなんだかとってもぴったりきたのであります。そして不思議なんですが、その暗さの中に一筋の光を見た気がしました。レコードだったら擦り切れていたであろうぐらい育児の合間に毎日毎日このアルバムを聴き続けました。それまでに一部メンバーチェンジがありHIMを知ったときのメンバーはVille、Linde、Migeの他にドラムMika〝Kaasu(Gas)"Karppinen(ミカ・〝カース(ガス)"カルッピネン)、キーボードJanne 〝Burton" Puurtinen(ヤンネ〝ブルトン″プールティネン)でした。

音楽からすっかりかけ離れた生活だった私に音楽を連れ戻してくれたのがHIMでした。フィンランドにはこんな素晴らしいバンドがいるんだと気づかせてくれたのもHIM。HIMをきっかけに他のフィンランドのバンドも聴くようになり、フィンロックの魅力にとりつかれたのであります。HIMとの出会いがなかったら今こうやってこの記事を書いてることもなかったかもしれません。



HIMはセカンドアルバム『Razorblade Romance』収録曲「Join Me (in Death)」がドイツでヒットしたのをきっかけにヨーロッパで知られるようになり、5作目のスタジオアルバム『Dark Light』はアメリカのオフィシャルアルバムチャートで当時フィンランドのバンドとしては最高の18位を記録。その次のアルバム『Venus Doom』はアメリカでさらに上位の12位を記録など世界進出を果たし、フィンランド国内でしらない人はいないであろうぐらいの大物バンドにのし上がりました。ただそうなってくるとワールドツアーに忙しくフィンランド本国でのライブがあまりなく、国内では年末恒例になったヘルシンキTavastiaでのHIMの祭典とも言えるHelldoneフェスの他、ひと夏に1,2度夏フェス出演がある程度で、あまり見る機会がなく、自分がこれまでにHIMの生ライブをみたのはHelldoneで1度、Kaasu脱退後新ドラマ―Jukka "Kosmo" Kroger(ユッカ〝コスモ"クローゲル)が加わってから行われたミニクラブツアーで1度、今は亡き友人が以前開催したプライベートライブの3度のみ。まぁまたニューアルバムを出せば観れることはあるだろうと思っていましたが、解散発表と合わせてフェアウエルツアーが発表になりました。USツアーとフィンランドツアーは後日発表ということですが、今発表されてる中に残念ながら日本はありません。すでに発表されてる公演のチケットはすでに発売されていますが、例えばフィンランドのスタンディングの会場は整理番号などないので、早くから並べば前が取れる可能性は十分にあります。なのでチケット買うのが遅かったからといって前がとれないわけではありません。他のヨーロッパの会場の事情は詳しくはわかりませんが、並んだ順番に入るのが一般的ではないかと思います。なので悩んでる方、チケットが手に入れば早くから並びさえすれば前で観れる可能性は十分にあります。年末のHelldoneの詳細は7月中旬に発表になるそうです。このHelldoneでHIMのキャリアに終止符を打つのではないかと思われます。Tavastiaの収容人数は700人。これまでもこのHelldoneには世界中のHIMファンが集まり、チケット争奪戦は激しかったので、解散が発表されたとなると、この最後のHelldoneこれまで以上に激しいチケット争奪戦になるかと思います。行きたいと思ってる方幸運を祈ります。そういう自分も彼らを解散前にもう1度観ることができるよう祈っておこう。

個人的には彼らのキャリア前半の曲が好きで、好きなビデオはもういっぱいあるのですが、最初にHIMに惚れ込んだミュージックビデオはこれです。このメランコリーでダークなサウンドがフィンランドのラップランドの冬の景色とぴったりマッチ。さらにVille Valoの放ちだす妖艶さがもうなんともたまりません。


写真は2012年ヘルシンキのストックマンデパートで行われたバンド結成20周年記念のベスト盤「XX - Two Decades Of Love Metal」発売記念サイン会、2012年のHelldoneと2015年夏に行われたタンペレ公演の時のものを集めてみました。もう今年いっぱいで観れなくなるんだなぁ、、、と思うと悲しくもあり、とっても残念でもあります。最後観れそうかなって方はほんとにほんとにお見逃しなく。



文:Hiro
ライブとサイン会の写真:Hiromi Usenius

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