【ライヴレポート】VAMPS、HIMとの<JOINT 666>で「カッコよくなって帰ってくるから」

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VAMPSが11月18日、籠城型対バンツアー<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>の5日目をZEPP TOKYOにて開催した。これまでにMY FIRST STORY、MONORAL、ASH DA HEROと共に刺激的なライヴを繰り広げてきたVAMPSだが、東京公演のラストを飾る対バン相手はフィンランド出身のベテランバンドHIMだ。HIMとの対バンは全3公演、この日はその2日目となる。

◆VAMPS 画像

ヴォーカルのVille Valoを中心に1991年に結成された5人組のHIMは、メタル、ゴシック、ポップスを融合したLOVE METALなるジャンルを打ち出したバンドだ。2006年にリリースされた5thオリジナルアルバム『ダーク・ライト』は本国フィンランドではダブルプラチナムを、アメリカでもゴールドディスクを獲得するヒットとなった。


果たして彼らはどんな音を奏で、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか。期待の中、定刻の6:66(7時06分)に幕が開き、歓声に迎えられてメンバーが次々と定位置に着いた。キャップを被った黒づくめのVille Valoが日本語で低い声で「こんにちは」と挨拶。長髪で長身のギタリストのLinde、キーボードのBurton、ガタイのいいベースのMigeとドラムのKosmoは見た目はイカつめだが、オープニングナンバー「BABL」が鳴らされたとき、その第一印象は塗り替えられた。力強くメロディックなロックンロールは日本人の耳にも実に親しみやすいものだったからだ。

続いて披露されたのはLindeのギターリフがエキゾティックでゴシックなHIMの代表曲のひとつ「Wings Of A Butterfly」。パワフルなドラミング、芯のぶっとい音のベースが身体に響き、ヴォーカルの旋律とギターが心地よく絡んでいく。



そんなHIMのライヴにどんどん惹きつけられていくようにVille Valoがこれまでの2曲とは違う、地を這うような低いヴォーカルを聴かせた「Right Here In My Arms」ではオーディエンスがハンドクラップで盛り上がり。歌い終わるごとに少し照れ臭そうに笑うVille Valo、アンプの前で背中を向けてギターを弾いていたかと思うと、ぐるぐる動きまわりながらテンションを高め、テクニカルなフレーズを連発するLinde。そのパフォーマンスには演出の要素はなく、ストレート勝負だった。そして、何よりグルーヴがデカい。海外のバンドのライヴを見るとよく思うことだが、音自体もタフで楽器陣がダイナミックに絡み合い、時間が経つにつれてバンドマジックが生まれていくのである。

HIMのヘヴィメタル魂が炸裂した「The Kiss Of Dawn」でフロアを熱くさせ、バートンの鍵盤のフレーズに歓声が上がったヒットチューン「Join Me In Death」ではフィンランドの雪景色が脳裏に浮かぶようなメランコリックなメロディがZEPP TOKYOを心地よく満たしていった。リピートされる美メロに拍手が起き、Ville Valoは頭にマイクを当ててリズムをとり、やがてみんなの歌う声が場内に響きわたった。



VAMPSとの対バン2日目とは言え、この日、初めてHIMのステージを目の当たりにした人も多かったと思う。が、ヘヴィかつロマンティックなこのバンドの世界観がダイレクトに伝わる演奏、ステージングはさすがだ。後半に行くに従ってテンションも上がっていく場内。ハードでゴシックなサウンドとセンシティブなメロディが溶け合う「The Funeral Of Hearts」では、海を超えてHIMとVAMPSが繋がるのは必然のように思えた。

「ははは! ファンタスティック! どうもありがとう!」──Ville Valo

と客席の盛り上がりに嬉しそうなVille ValoはVAMPSがくれたチャンスに感謝していると英語で伝えた。


そして、ラストに演奏されたナンバーは1980年代に日本でも大ヒットを記録したBilly Idolのカヴァー「REBEL YELL」だった。痛快な演奏と高音から低音までをたくみに使い分けるヴォーカル。HYDEもMCで話していたが、迫力たっぷりの音と共にシャイで人間味溢れる人柄が伝わってくるライヴは久々の来日を果たしたHIMの魅力を多くの人に知らしめる結果となったのではないだろうか。

演奏が続く中、Ville Valoはステージを去った。そして、アンプにギターをひっかけたLinde、モニターにベースを立て掛けたMige。Burtonは日本式のお辞儀をして去り、Kosmoはガッツポーズした後に何本もスティックをフロアに投げ入れ、拍手を送ってステージを後にした。


20時10分をまわった頃、VAMPSのステージがスタートした。幕が開くと、緑のレーザーがフロアを隔てる檻のような演出を果たし、センターの台に座るHYDEが歌い始めた。その唇は黒く塗られ、まるでVAMPIREのようでもある。

ソリッドで緊迫感のカタマリのようなオープニングナンバー「VAMPIRE DEPRESSION」が投下され、次のナンバーでは、胸をはだけた黒のシースルーの衣装がセクシーなHYDEがまるで何かに突き動かされるかのようにヘッドバンギングをしながら歌う。上手下手へと動いてオーディエンスを煽り、無数の拳が上がるフロアは2曲目にして、すでに狂乱状態へと突入した。


ゴシックなセットを含め、この日のVAMPSのライヴの演出はHIMとの対バンにふさわしいものだった。日によって違うセットリストも今回のツアーの楽しみのひとつだが、この日もHYDEの2ndソロアルバム『666』(2003年)から「SWEET VANILLA」が披露されたあとに『FAITH』(2006年)から「I CAN FEEL」が歌われるというスペシャル感満載の構成。ソロからVAMPSへと繋がっていったHYDEのブレない世界観を浮かび上がらせた。

同時に連日連夜、ステージに立って歌っていることが信じられないほどパワフルで鬼気迫るシャウトとヴォーカルは、海外ツアーでのハードな経験を積んで鍛え抜かれたVAMPSの“今”を余すこと無く伝えてくれるものだ。K.A.Zのソリッドで正確無比なカッティングと、イントロだけでリスナーをアゲるフックのあるギターリフ。VAMPSを支えるツワモノ揃いのメンバーの演奏も誰もが認めるであろうグローバルレベルである。




鍵盤の旋律がその場の空気を変え、真紅の薔薇を一輪持って歌う「VAMPIRE’S LOVE」では騒ぎまくっていたフロアが静まりかえり、HYDEのヴォーカルは誰にも救うことができないような哀しみをたたえていた。中盤のMCでHYDEはHIMについて語り、はだけている衣装の理由についても言及した。

「かわいこちゃんたち、楽しんでる? 楽しんでるっぽいね。今日もHIMが来てくれてよかった! でも、僕の好きな曲やってくれなかったんですよ。明日、やってくれるかな。まだ挨拶しかしたことないんですが、お互い人見知りな感じなので、明日はもうちょっと頑張ります(笑)。衣装のボタンはね、止めてもポロッととれるんですよ。だったら、最初から見せていこうと思って(BLOODSUCKERSから拍手)、みんなもさらけ出してくれないとね。僕にだけこんな格好させないでください。さらけ出して! やれんのか!?」──HYDE

キラーチューンが投下された後半戦、VAMPSはBLOODSUCKERSの理性を吹き飛ばすかのように、どんどん加速していった。それはまるで狂気と快楽が交錯する禁断の楽園である。挑発するVAMPSに叫び声を上げ、クラウドサーフやジャンプなど、それぞれの楽しみ方で自分を解き放つBLOODSUCKERS。どこまでも昇りつめていけそうな脳内アドレナリンが噴き出す空間。K.A.Zがギターを回転させながら弾きまくり、HYDEが台の上に寝転がり、「もっと気持ちよくなりたいな。連れてってくれよ!」と煽る。本編は焼け付きそうな熱が充満する中、終了した。


アンコールでは「今日、初めての人、いるんですか?」と問いかけ、手を挙げた人たちに「いらっしゃい。ここに来たら帰りに血を抜いて帰らなあかんの知ってる?」とジョークを飛ばす。そして<Ozzfest Japan 2015>の話から、Mötley Crüeの自伝に出てくるOzzy Osbourneのクレイジーな奇行エピソードを披露して沸かせたHYDE。UKツアーのことにも触れ、ヨーロッパでのテロのことを心配するファンに「僕、全然怖くないんです。楽観的なので。ちゃんと帰ってくるから安心してください。すっげえカッコよくなって帰ってくるから。きみたちもいい子にしてるんですよ。でも、ここだけは悪い子になっていいからね。ここが俺たちのホームなんだから、ここで一番カッコよくならないとおかしいでしょ? BLOODSUCKERS! 本性見せろ!」と煽り、「DEVIL SIDE」へと突入した。

余談だが、ZEPP TOKYO最終日にはHIMからVAMPSへ、記念に撮った2バンドの写真が“顔と身体をすり替えたアイコラ”写真に変換されてプレゼントされたことがHYDEの口から明かされた。ステージでもオフステージでも、言葉や文化を超えて2つのバンドが音楽で共鳴しあったことは間違いない。

「どうもありがとう。楽しかったよ。また明日ね。首洗って待ってろよ!」。投げキッスでステージを去ったHYDE。

イギリスツアーを経た後、12月5日の大阪なんばHATCHを皮切りに再スタートする<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>。年をまたいでいくこの籠城型対バンツアーはますます強力になるに違いない。

取材・文◎山本弘子
撮影◎田中和子

■<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>
11月18日@ZEPP TOKYO HIMセットリスト

01.BABL
02.Wings Of A Butterfly
03.Right Here In My Arms
04.The Kiss Of Dawn
05.Passion's Killing Floor
06.Join Me In Death
07.Soul On Fire
08.The Funeral Of Hearts
09.REBEL YELL

■<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>

【東京 ZEPP TOKYO】
2015年11月12日(木) MY FIRST STORY
2015年11月13日(金) MONORAL
2015年11月15日(日) ASH DA HERO
2015年11月16日(月) HIM
2015年11月18日(水) HIM
2015年11月19日(木) HIM
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
【大阪 なんばHATCH】
2015年12月05日(土) ASH DA HERO
2015年12月06日(日) Derailers
2015年12月09日(水) KNOCK OUT MONKEY
2015年12月10日(木) KNOCK OUT MONKEY
2015年12月12日(土) Nothing More
2015年12月13日(日) Nothing More
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
【名古屋 ZEPP NAGOYA】
2016年01月09日(土) TBD(未定)
2016年01月10日(日) TBD(未定)
2016年01月13日(水) Apocalyptica
2016年01月14日(木) Apocalyptica
2016年01月16日(土) Apocalyptica
2016年01月17日(日) Apocalyptica
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

OPEN 18:00 / START(JOINT ACT) 19:06 (平日)
OPEN 16:00 / START(JOINT ACT) 17:06 (土日)
前売り 6,660円(税別)
■一般発売日:2015年10月18日(日) AM 10:00

追加公演【福岡 ZEPP FUKUOKA】
2016年01月21日(木)
2016年01月23日(土)
2016年01月24日(日)
(問)キョードー西日本 092-714-0159
追加公演【札幌 ZEPP SAPPORO】
2016年01月28日(木)
2016年01月30日(土)
2016年01月31日(日)
(問)マウントアライブ 011-623-5555

OPEN 18:00 / START(JOINT ACT) 19:06 (平日)
OPEN 16:00 / START(JOINT ACT) 17:06 (土日)
前売り 6,660円(税別)
■一般発売日:2015年12月05日(日) AM 10:00



■<Apocalyptica Shadowmaker UK Tour 2015>

11月24日(火) イギリス・ウルヴァーハンプトン/ Wulfrun Hall
11月25日(水) イギリス・ノッティンガム/ Rock City
11月26日(木) イギリス・グラスゴウ/ O2 ABC
11月27日(金) イギリス・ロンドン/ O2 Shepherd's Bush Empire
11月28日(土) イギリス・マンチェスター / Manchester Academy 2
11月29日(日) イギリス・ブリストル/ O2 Academy


■LIVE作品『VAMPS LIVE 2015 BLOODSUCKERS』

2015年12月9日発売
【初回限定盤 Blu-ray (本編 + ARENA Tour 2015 Documentary)】
デジパック + 豪華 Tour Photo Book (64P) + 三方背ケース
UIXV-90007 予価:¥8,500(税抜) ¥9,180(税込)

【初回限定盤 2DVD (本編 + ARENA Tour 2015 Documentary)】
デジパック + 豪華 Tour Photo Book (64P) + 三方背ケース
UIBV-90008/9 ¥7,500(税抜) ¥8,100(税込)

【通常盤 Blu-ray (本編 + Beast Party 2015 Documentary & ACCOUSTIC LIVE映像)】
アマレイ + ブックレット(12P)
UIXV-10007 予価:¥5,500(税抜) ¥5,940(税込)

【通常盤 DVD (本編 + Beast Party 2015 Documentary & ACCOUSTIC LIVE映像)】
アマレイ + ブックレット(12P)
UIBV-10026 予価:¥4,500(税抜) ¥4,860(税込)
※初回限定盤64P と通常盤12Pのブックレットの内容は異なります。

【初回限定盤 Goods付DVD (通常盤DVD)】
通常盤(DVD) + オリジナルグッズ(Tシャツ、マフラータオル、ナップサック)+BOX
UIBV-90012 価格:¥10,500 (税抜) ¥11,340 (税込)

【UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤 Goods付Blu-ray (通常盤Blu-ray)】
通常盤(Blu-ray) + オリジナルグッズ(バブルヘッドフィギュアHYDE&K.A.Z)+BOX
PDXV-1904 価格:\14,000 (税抜) \15,120 (税込)

<収録内容>
◆LIVE本編 ※全形態共有
SE.REINCARNATION
01.ZERO
02.LIPS
03.REDRUM
04.REVOLUTION II
05.REPLAY
06.GET AWAY
07.DAMNED
08.EVIL
09.VAMPIRE'S LOVE
10.GHOST
11.AHEAD
12.ANGEL TRIP
13.LOVE ADDICT
14.BLOODSUCKERS
15.MIDNIGHT CELEBRATION
16.THE JOLLY ROGER
17.INSIDE MYSELF
18.DEVIL SIDE
19.SEX BLOOD ROCK N' ROLL

◆初回限定盤Blu-ray、初回限定盤2DVDには、名古屋-大阪-仙台-東京のARENA TOUR DOCUMENTARYを収録!
◆通常盤Blu-ray、通常盤DVDには、VAMPS LIVE 2015 BEAST PARTYのDOCUMENTARY & ACCOUSTIC LIVEを収録!
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◆店頭特典あり!
VAMPROSE STORE:A2ポスター絵柄A
一般店(UNIVERSAL MUSIC STORE含む):A2ポスター絵柄B

◆<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>BARKS内特集ページ
◆<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>特設サイト
◆VAMPS オフィシャルサイト
◆HIM オフィシャルサイト
◆VAMPS レーベルサイト
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◆VAMPS オフィシャルTwitter

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