【BARKS×楽天ミュージック特集】清春が語る、変貌するリリース形態の現在・過去・未来「求められるのは広さよりも深さ」

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楽天が2016年、定額音楽配信サービス「楽天ミュージック(Rakuten Music)」をスタートさせた。同サービスはiOS / Android向けアプリを提供、約数百万曲がストリーミングで再生可能となるというもの。このアプリにはユーザーのサービス利用履歴に基づいて最適化した選曲やプレイリストを紹介するレコメンド機能が搭載されるなど、使い込むほどユーザーにマッチしたプレイリストや楽曲が提案されて様々な楽曲と出会うことができるほか、再生可能楽曲数は現在まで加速度的に増え続けている。さらには、楽天ID決済でサービスを利用するとアプリ内でCDや音楽DVD/Blu-rayがお得に購入できるなど、最大級の通販サイト楽天の魅力を活かした機能が新しい。また、楽天としてはこの秋開催された<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>のバックアップを務めたことをはじめ、音楽シーンの活性化にも積極的だ。

◆清春 画像

BARKSは2017年1月にデジタルシングル「夜を、想う」をリリースする清春にインタビューを行なった。同シングルは2015年1月15日から開催されるツアー<天使の詩 '17「夜、カルメンの詩集」CARMEN'S CHARADE IN DESPAIR>に合わせて配信されるものであり、シングルCDが会場限定盤として発売されることも決定している。つまり、気軽にダウンロード可能な配信と、会場に行かなければ入手できないアイテムとしてのCDの双方がリリースされるカタチとなる。

<TOUR 天使の詩2016 FINAL 「夜、カルメンの詩集」>開催期間中にして、「夜を、想う」のレコーディングスタジオで行なったインタビューは、変貌する音楽の楽しみ方や、リリース形態へのこだわり、作品発表方法の現在・過去・未来など、アーティストサイドからの深く鋭いものとなった。同時に、清春からの新たなアイディアも語られたロングインタビューをお届けしたい。なお、5ページ目には清春自身がセレクトした【初めて聴く清春プレイリスト】と本人による選曲理由を掲載している。

   ◆   ◆   ◆

■ギラギラしたグラムではなくワビサビも
■違う要素同士が複合してる感じ

──本日(12月9日)は作業中のレコーディング・スタジオにお邪魔しているわけですが、今現在は何を録られているんですか?

清春:シングルですね。デジタルになるのか盤にするのか、まだ形態はわからないけど。年明けのツアーが決まっているので、まず年明けにそれを出して、今やっている<夜、カルメンの詩集>というツアーの続編としてのツアーをやるというか。本当は今のツアーの前に出したかったんですけどね(笑)。実際、このツアーでも新曲をやっていて。

──ツアーの手応えはどうですか? 今回はちょっと編成も変わっていて。

清春:そうですね。今回は三代(堅)さんがベースで。ギターが(中村)佳嗣君と大橋(英之)君、そしてドラムがGO君という顔ぶれです。ちょっと新鮮ですね。三代さんは沖山(優司)さんの代わりということになるわけですけど、タイプが全然違うから結構大変だろうなと思う。とはいえ同時に、似ても似つかないぐらいのほうがいいかな、というところもあって。三代さんの場合、ちゃんとしたベーシストとしてのベースではないというか、沖山さんのベースがうねって目立ってたようなところはもうアレンジ変えちゃってますね。だから結構、今のライヴでは低音が逆にスッキリして聴こえるはずで。どっちがいいとか悪いとかじゃなくてね。それによって、大橋君の正確なカッティングが活きてくるというか。それを僕は導入したかったんです。自分のソロのライヴでのサウンドがちょっとダラっとなってきてるのかな、と思っていたから。そこで大橋君のカッティングによるリズミカルな縦のラインをもうちょっと正確にしたいな、というのがあって。そこで「三代さん、大橋君にギター弾いてもらうから今回はベースね」ってことになったんです。

──そこで実際、ベースにスイッチできちゃうのもすごいですけどね。

清春:ですね。不本意ですがなんかちょっと、一時の黒夢の感じに近いかもな。大橋君がいてGO君がいる、というのもあって。スッキリした音だから歌がよく聴こえる感じになって。

──なるほど。この<夜、カルメンの詩集>というツアー・タイトルはどういった発想から出てきたものなんでしょうか?

清春:特に深い意味はないです(笑)、まあ響きですよね。ちょっとなんか、今回はタイトルを日本語にしたくて。あくまで語感で選んだ感じです。ただ、カルメンというぐらいなので、当然女の人のイメージがあるし、その女性が情熱的に踊っているような感じというか、愛の世界というか。新曲に取り組むうえで歌詞を書くテーマというのも欲しかったし、そこでカルメンっていう響きが……。実はこの名前というのは今までにもちょっと密かに歌詞で使ってるんですけど、イメージ的にはスパニッシュ、フラメンコ、薔薇、水玉模様……という感じで、僕のなかではある意味ちょっとグラムっぽいものなんですよ。昔、『官能ブギー』というアルバムを作ってファンの人たちから顰蹙(ひんしゅく)を買ったことがあるんですけど……(笑)。

──顰蹙? そうでしたっけ?(笑)

清春:なんかああいうダルくて大袈裟なのは駄目、みたいな反応がありましたかね(笑)。僕なりのグラム・ロックへのオマージュだったんですけど。で、今回は単にギラギラしたグラムではなく、あくまで曲調はマイナー調でせつなく、ワビサビのある感じで。そうやってなんか違う要素同士が複合してる感じがあるんですよ。年々、自分のなかでそうやって混ざってきてる感覚というのがあるんですけど。

──つまり新曲にはそんな今なりのグラムの要素があるというわけですね? ところで2016年の活動を振り返ってみると、いろいろなことがありましたけど、記憶に新しいところはやはり<VISUAL JAPAN SUMMIT>でのライヴ・パフォーマンスがめちゃくちゃ鮮烈だったんですが。

清春:あ、増田さん、いらしてたんですか?

──もちろんずっと観てましたよ。楽屋にはお邪魔しなかったというだけで(笑)。きっとステージ裏はものすごい状況になっているんだろうな、というのもありましたし。

清春:ははは! 僕、YOSHIKIさんを何度か目撃しました。なにしろ真ん前の楽屋にいましたんで(笑)。

──それを隠し撮りしてツイッターか何かで公開してくださらないと(笑)。

清春:いやいやいや(笑)。

──それはともかく、あの場所で大観衆を相手にしながらの、たった3人でのアコースティック演奏というのがすごいなと思ったんです。それを実践すること自体が。

清春:基本的になんか、みんな大音量でガチャガチャした感じだろうなと思ってたので(笑)。まあ僕もね、あの時は勉強になったなと思ってるんです。なんかヴィジュアル系って、全部ひと括りにされがちじゃないですか。それを言ったらギター・ロックやラウド・ロックシーンもそうではあるんですけど。だけど一概にヴィジュアル系と言っても、上質なものもあればガチャガチャしてるものもあったり、若手もいればベテランも中堅もいて。音楽性も実はそれぞれ違うじゃないですか。音楽をちゃんとやってる人もいれば、二の次の人もいる……。僕は3日目に出たので、その前の2日間は観てないしネット上でのライヴ・レポートぐらいでしか把握してないんけど、とにかくすごく勉強になったなぁと。

──最初から、アコースティックでいくつもりだったんですか?

清春:それは最初から決めてました。というか、わりと最後のほうのギリギリの段階でのオファーだったので。開催されることが決まった当初には僕も出るらしいという噂があって(笑)、しばらくして“あ、話がなくなったのかな?”と思っていたところでリアルな感じになってきたのかな。いろんな人から「出るんですか?」と言われて「出ないよ」と言ってたんだけど、結果的にはちょっと嘘つきになってた(笑)。で、いざ出ることになった時に、さすがにみんなのスケジュールも急には折り合わないし。だからバンド形式じゃなく、最小限の形で……。でも、やっぱりあのなかにあっては結果的に目立ったという感じですよね。やっぱり……難しいと思う、あの広さでやるのは。ある程度上手くないと、サウンド・メイクとかがすごく難しい。

──大会場では大音量で、という発想になりがちですよね。だけど逆にいちばん音数の少ない形態での演奏になって、それ自体にものすごくインパクトと説得力があって。

清春:自信はありましたけどね、それができるっていう。ただ、あんなに音が回っちゃうものなのか、というのはありました。むしろアコースティックのほうがそうなってしまうのかも。音が回るというか、ほぼ聴こえなかったです。自分で弾いてるギターすらも。三代さんと佳嗣君のギターもよく聴こえなかったし、キーもよくわからない。だからそこで頼りにしてたのは、自分の頭のなかのリズム感だけで。そこで何気に、今までの経験値が活かされたというか。自分では“ああ、結構外してるんだろうなな”とか思いながら歌ってたんだけど、実際にはめちゃくちゃ酷いというほどではなかったみたいで。

──というか、素晴らしかったですよ。まさかそんな演奏環境だったとは思いもよらぬほどに。

清春:良かった(笑)。お客さんの反応とかも最後まで全然わからなかった。バンドだったらステージ上をあちこち動きながら気付けたのかなとも思うんだけど、椅子があって固定された状態での演奏だったし、なにしろ音のことで必死だった。お客さんに受けてるのか受けてないのかとか、まったく把握できてなかった。ただまあ、なんとなく自信はあったし、お客さんの反応が大きくなっていくのにはうっすら気付けたんですけど。最初のうちはホントに全然音が聴こえないからどうしようかと思ってたんだけども、ああいう大きなイベントではそういうことを理由に時間が押すとかマズいし。新曲とかをやってたら大変なことになってたでしょうね。そういう意味でも助けられました、あの日は昔のヒット曲に(笑)。

◆インタビュー(2)へ
提供: Rakuten Music
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