【速レポ】モンパチフェス＜WWW!! 16＞、チャットモンチー「みなさんの手拍子があればあの曲できると思います」

熱い歓声に迎えられ、チャットモンチーのふたりがおそろいの帽子をかぶって登場した。1曲目に、「変身」を沖縄県民ならだれもが耳にしたことのある名曲「ミルクムナリ」MIXバージョンで披露した。

◆＜What a Wonderful World!! 16＞チャットモンチー 画像

沖縄芸能文化を代表する踊り・エイサーの楽曲としても親しまれているこの曲は、勇壮で荒々しいイメージが強いが、しなやかでやさしく、それでいて力強いチャットモンチーならではのミルクムナリになっている。「いやさっさ、はっ！」というワイルドな掛け声が新鮮だ。

そのまま2曲目「8cmのピンヒール」へ。橋本絵莉子ののびやかな歌声が沖縄の爽やかな潮風に乗って遠くまで広がっていき、後方のフリースペースでくつろいでいるカップルやファミリーも心地よさそうだ。

「はいさい！チャットモンチーです。1曲目から“ミルクムナリ”やってみたけど、どうでしたか？沖縄の友達から聞くまで知らなかったんですけど、友達が『絶対みんな知ってるから』って言ってて。知ってる!?　（客席から反応を受け）よかったー！」──福岡晃子

ふたりがかぶっている帽子も沖縄で仕入れたものだという。“くば笠”といい、古くから沖縄の農民や漁民の仕事道具として使われていたという歴史がある。橋本は、「南国でしか売ってないっておじさんに言われて、ついつい買ってしまいました」と話し、チャットモンチーのふたりも他の出演者に負けないくらい沖縄を満喫しているらしい。

「沖縄はまだまだ暑いと思うんで、チャットモンチーの中でも唯一夏の歌をやりたいと思います」と「とび魚のバタフライ」を披露。アコースティックギターの音色と、“ブルー ブルー ネイビーブルー”と繰り返すサビが沖縄の青い海と空にぴったりだ。

今回の出演はモンパチから直接声をかけられてのことだという。「徳島のフェス（チャットモンチーのデビュー10周年を記念し開催した＜こなそんフェス＞）にモンパチ先輩が出てくれて、そのとき＜What a Wonderful World＞に誘われて、お返ししたいなと思って今日やってきました。11年目も曲いっぱい出していきたいと思ってま……すっげー！！」──目の前を飛行機が横切り、思わずMCの途中で言葉を失ってしまう福岡。隣で橋本もはしゃぐ。

「（飛行機の）おなかつるつるやな！」（福岡）／「シャチの裏みたい！」（橋本）／「シャチの裏見たことあるんか（笑）」（福岡）と、感激のあまり無邪気な感想を述べる橋本と鋭く突っ込みを入れる福岡のコントのようなやりとりがあってから、再び大事な話に戻る。「両A面シングルを出します。いっこは今日初披露なんですけど、今日は両方やらしていただきたいと思います」と話すと、11月30日に両A面シングルとしてリリースされる「majority blues」「消えない星」を2曲続けて演奏した。

「最後は、みなさんで一緒にチャットモンチーを作っていただけたらと思います」という福岡の呼びかけで、手拍子がはじまった。ふたりはポジションを入れ替え、それまでドラムを叩いていた福岡が本来の担当であるベースを手にする。「最後にしてやっとベース持ちました（笑）」と、福岡。演奏の準備をしているあいだ、手拍子は小さくなるどころかどんどん広がって大きくなっていく。

「見てのとおりふたりなんですけど、みなさんの手拍子があればあの曲できると思います。わたしたちも初の試みなんですけど、ふたりで役割分担してやりますんで、みなさん、リズムキープお願いします」そう福岡が語りかけ、チャットモンチーの大ヒット曲「シャングリラ」を、ギター：橋本、ベース：福岡、リズム：オーディエンスという配役で演奏した。ふたりだけの「シャングリラ」は、CDやテレビで聴いたこれまでの「シャングリラ」とは違いもあるだろうが、それがいい。編成に慣れていないだけに少しだけいつもよりぎこちなく、ときおりコーラスが途切れるときもあったが、そこがまたいい。これこそがフェスの醍醐味というやつだと思う。

たったふたりとは思えない厚みのあるサウンドとサービス精神旺盛なステージで、しっかりとWWW!!16に爪痕を残してくれたライブだった。

取材・文◎普天間伊織
撮影◎(c)WWW16 OFFICIAL




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