【インタビュー】井口裕香、「私にはこういう部分もあるよ」っていうのを知ってほしい2ndアルバム『az you like』
声優・アーティストとして活躍している井口裕香が『Hafa Adai』から2年振り、2枚目のアルバムとなる『az you like』を7月6日にリリース。今作は、「井口裕香のA to Z」をコンセプトに、本人が好きなワードや気になることを曲に落とし込んだ作品。12曲目「おやすみなさい」では作詞も担当し、全編に「自分から発信したい」という思いに満ち溢れた1枚となっている。
◆井口裕香~画像&映像~
■「井口裕香として勝負するなら、どうするのがいいんだろう?」って
■アーティスト活動で何を軸にしたらいいのかを改めて考えるきっかけになったんです
――アルバムは2年振りとなりますが、アルバムを作る前に、一度立ち止まって自分を見つめ直すような時間があったそうですね。
井口裕香(以下、井口):はい。アーティストとしてデビューしてからこの2年で、ソロライヴをやったり、フェスにもたくさん出演して、声優としても今まで演じて来なかった役柄に挑戦してきました。歌の活動でも声優のお仕事でもいろんな経験をした中で、すごく大きな衝撃を受けて、「私、今のままでいいんだろうか?」って思ったんです。
――具体的には?
井口:フェスだったり、関わったアニメ作品のライヴに出演させていただくことが増えたことによって、いろんな人のパフォーマンスを見て、圧倒される機会がすごく多かったんです。歌がうまいというだけではなくて、ステージでの立ち居振る舞いを見ている中で、「自分は敵わないかもしれない」と思ったことがあったんですね。ただ、私自身、負けず嫌いなところもあるので、「井口裕香として勝負するなら、どうするのがいいんだろう?」って、自分がアーティスト活動をしていく中で、何を軸にしたらいいのかを改めて考えるきっかけになりました。
――なるほど。真剣に物事に取り組んでるからこそ壁にぶち当たりますよね。
井口:何事も順風満帆にはいかないですよね。毎回、いろんな壁にはぶつかってはいたんですけど、今回のことは自分の中ですごく大きかった。そんな中、アルバム制作が決まって。声優の大先輩である高橋美佳子さんに「YOU!!!」という曲を作っていただいたんです。この曲に「君がいるから 私が私になる(中略)輝いていられるの」という歌詞があって、まさにその通りだなと思って、「頑張ろう!」と吹っ切れたんです。自分自身、気づいたこともあったので、今思えば良い経験でした。その気持ちにならなければ表現できなかったことが今作にはたくさんありました。
――声優活動だけでは気づかなかった?
井口:だと思います。声の現場でも刺激的な役者さんはたくさんいるし、どうやったらもっと上手に表現できるんだろうっていうのはもちろんあるんですけど、アフレコ現場だと「役ありきの自分」なので。いかにキャラクターを魅力的に見せるかという方向に気持ちがいくんです。でも、アーティスト活動の場合は、自分が軸にあって、自分を演出していく部分があります。キャラクターではなく、自分と向き合う作業なので、アーティスト活動だからこそ感じられた思いだったんです。
――自分の名前で歌う、自分発信で何かを伝えるということの難しさみたいなものを感じていたんですか?
井口:キャラソンの場合はキャラクターがあるので、自分から発信するということはないです。あと、今作を作る以前のソロ曲も、今思えば、どちらかといえばフワフワしていた部分が多かったと思うんです。でも、今回、壁にぶち当たって立ち止まった時に、今までは無意識にできていたこともあったけど、無意識だったからこそ気づかなかった部分があった。今作を作る前までは、初めて挑戦することも多くて、「やってみなきゃわからない」ということも多かったから、それでも良かったのかもしれませんが、積み重ねた今は、ちゃんと自分が意識して出せるもの、出さなきゃいけないものを作らなきゃいけないなって。そこで自分を高めていくという作業をしなければいけないんだということを改めて考え直したタイミングだったと思います。
――なるほど。今作で「井口裕香のA to Z」をコンセプトにしたのは、自分発信で伝えたいという、そういう経緯からなんですね。
井口:はい。それまでの私のイメージといえば、「夏」「元気」「海」「太陽」みたいなワードで表されていたと思うんです。そういうみんなの印象と私の好きなものを合わせて作ったのが1枚目の『Hafa Adai』。今作は、「A to Z」で私の好きなものを挙げて、それをヒントに作ったんです。ただ、私の「好き」を押し付けるのではなく、受け取ってくれた人の好きなようにしてほしいし、好きなものを共有したいんです。だから、お気に召すままに受け取ってくださいねという思いも込めて、『az you like』というタイトルにしたんです。
――井口さん発信だから当然ですが、より井口さんのことを知ることができる作品になっていますよね。
井口:月よりも太陽、雨より晴れっていう印象があったかもしれないんですけど、「私にはこういう部分もあるよ」っていうのを知ってもらうタイミングでもあったと思います。
――壁にぶち当たった時、その突破口ともなった「YOU!!!」はどのタイミングで上がってきたんですか?
井口:「A to Z」のコンセプトが決まる前ですね。以前から高橋美佳子さんとは、いつか一緒に曲ができないかっていう話をしていたんです。そしたらアルバムを作ろうとしていたタイミングで美佳子さんから「曲ができました!」って3曲も届いて。それも、すごく素敵な曲ばかりだったんです。そのうちの1曲が「YOU!!!」で。この曲との出会いはとても大きかったし、その後の制作の軸になりました。美佳子さんは声優としても大先輩ですし、プライベートでもすごく仲良くしていただいてるんです。その方が私を近くで見ていてくれて、書いてくれた詞なんですよ。普段、私が美佳子さんに相談していることが反映されているので、私自身そのままが描かれているんです。
――高橋さんが身近な存在だからこそ書ける曲ですね。
井口:私、本当に美佳子さんを尊敬しているんです。相談をした時も、ダメなことはダメ、良いことは良いってハッキリ意見を言ってくださるんです。お仕事のこともプライベートのことも聞いてくれていて、「あの時のことだな。美佳子さんはこういう風に受け止めてくれたんだな」って思う歌詞もあるんです。嬉しいような恥ずかしいような(笑)。
――ライヴで歌う時も届けるパワーが増しそうですね。
井口:そうですね。美佳子さんは「ライヴでやったら盛り上がる曲を書きたい」って、ライヴを想像して書いてくれたので、私も早くライヴで歌いたいですね。本当に気持ちを込めて歌える曲ですし、アルバムの中でも一番最初のレコーディングの曲だったんです。自分の中でもいろいろ考えながら歌える曲だったので、すごく思い入れが強い一曲になりました。この曲が今作で最初のレコーディングで良かったなと思います。
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