【Tシャツ談義】ユニクロ「UT」音楽ラインをBARKS編集部が徹底検証

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(※旗艦店のみの販売)

烏丸:本当だね。そしてこのシックなMotownの雰囲気の真逆にあるのが、Polydorのデザインだね。突き抜けるようなオレンジ色。クリームが1968年にリリースした『クリームの素晴らしき世界』の盤面が元だけど、このオレンジ色はレコードを持っている世代なら多かれ少なかれ目にしていると思うよ。僕がまず思い出すPolydorのレコードはレインボーかな。これは故ロニー・ジェイムス・ディオが歌った『バビロンの城門』。

編集部員(い):いいっすねぇ。俺はアウトレイジの1stアルバム『BLACK Clouds』です。

烏丸: Polydorって幅広いよね。それにしてもレコード盤のオレンジの色味の再現度、これ凄いよ。



編集部員(い):(Tシャツのオレンジ地に盤の穴を合わせて)わ、色ぴったり! ここまで紙と布の色を合わせてくるのは凄いな。個人的な意見ですがこのTシャツ、ポリシックスに着て欲しいです(笑)。

烏丸:強めの色だから着こなしが一見難しそうだけど、これもある意味フェス向きだよね。これ着て前列に行ったらアーティストから指さしてもらえるかもしれない(笑)。

編集部員(い):いい景色ですね。Deccaのデザインは、今っぽいですね。そして、“This Record Should Be Played Loud”ですよ。“デカめにかけろ”と。



烏丸:Deccaってさ、そういう意味? デカい?

編集部員(い):はぁ?

編集部員(さ):あ、ここに書いてあるメッセージは、ザ・ローリング・ストーンズのアルバム『レット・イット・ブリード』の発売当時のキャッチコピーだ。ブライアン・ジョーンズが参加した最後のアルバムです。Tシャツのシルバーカラーも、レーベルロゴの再現です。

烏丸:じゃあ、何はともあれストーンズファンはマストアイテムだね。ストーンズファンならあの舌出しロゴのTシャツはお持ちでしょうけど、これは押さえておかないといけませんね。あと、この“ffss”ってなに?

編集部員(さ):“Full Frequency Stereophonic Sound”の略で、このキャッチフレーズを掲げてステレオ・レコードを発売したためDeccaは高音質レコーディングで有名になったんです。

編集部員(に):もともとDeccaは、第二次世界大戦中に潜水艦の音を聞き分けるために“ffrr”(Full Frequency Range Recording)という高音質の録音技術を開発した、ということですよ。ちなみにDeccaにはDecca Classicsもあって、こないだグラミーを受賞した小澤征爾も所属してるんですよね。

烏丸:これまで色んなベクトルから音楽産業って発展してきたわけだけど、その中でも高音質というポイントを担ったレーベルなんだっていう証みたいなものがこのTシャツに留められてるわけだ。“いい音をデカい音で聴く”って音楽の原点だからさ、このTシャツって実は大事なメッセージが込められているね。



編集部員(さ):そうですね。同じくシルバーカラーなのがMercuryのデザインですね。代表的な所属アーティストは、キッス、スコーピオンズ、ラッシュ、ジョン・メレンキャンプ、ティアーズ・フォー・フィアーズ、ボン・ジョヴィ、シンデレラ、デフ・レパード。

編集部員(い):ハードロック好きにはたまらないですね。でも元ネタは、10ccの『オリジナル・サウンドトラック』なんだ。確か架空の映画のサントラとして作られたアルバムですよね。

烏丸:Mercuryって1945年にシカゴで立ち上がったレーベルで、当初はジャズとかブルースがメインだったから、その歴史に少しでも近づくためにもデザインに起用したのが10ccだったのかもしれないね。僕らみたいに1980~1990年代にロックで育った人間からすると、なんでデフレパじゃないんだ?って思うけど。

編集部員(い):意外と老舗なんですね。Mercuryのこのロゴ、凄い印象的なんだよなぁ。っていうか、これなに?(ロゴ内の三角型を指して)

烏丸:ピーマンか?

編集部員(に):ローマ神話のマーキュリーですね。

編集部員(い):41年生きてて初めて知ったわ。大抵レーベルロゴって商品の中でさりげなく使われてるけど、これだけピックアップされてメインヴィジュアルになると、いろいろ気になってくるもんだね。俺、A&Mはロゴがカッコいいなって昔から思ってたんですよね。

(※旗艦店のみの販売)
編集部員(に):創始者のひとりのハーブ・アルパートさんがトランペット吹きなんですよね。最初は自分のレコードを売るための自主レーベルだったみたいですよ。ちなみに、オールナイトニッポンのテーマソング(「Bitter Sweet Samba」)はアルパートさんの楽曲です。

編集部員(い):へぇー! 誰かに話したい! あとA&Mって、昔はチャーリー・チャップリンが撮影スタジオとして使用したチャーリー・チャップリン・スタジオを本社としてて、このスタジオで「ウィ・アー・ザ・ワールド」がレコーディングされたそうですよ。エピソード満載ですね。

編集部員(さ):Tシャツのデザインの元ネタは、「シング」や「イエスタデイ・ワンス・モア」も入っているカーペンターズのアルバム『ナウ・アンド・ゼン』の盤面です。

烏丸:元のレコードに忠実なのは、イエローベージュのほうだね。

編集部員(い): Motownのもそうだったけど、これ手触りもすごく気持ちいい。単純に全部をヘヴィウェイトの素材にするんじゃなくて、それぞれのレーベルの特色に素材感も合わせてるんですよね。

編集部員(さ):取ってつけたようなこと言っちゃいますけど、やっぱりこれで1500円って破格なんじゃないかと思いますよね。“MUSIC ICONS”のほうも見てみましょうよ。

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