【ライブレポート】ALSDEAD、活動休止へ。「過去を振り返る気持ちはまったくない」
ALSDEADが10月9日、高田馬場AREAにてワンマンライブ<Born To Be Dead:CODA>を行った。そのオフィシャルライブレポートをお届けする。
◆ALSDEAD 画像
「活動休止」という名のもと、10月9日に高田馬場AREAを舞台にしたワンマンライヴを持って、7年に及ぶ活動へ一時幕を下ろしたALSDEAD。彼らはこの日の活動休止へ向け、<Born To Be Dead>と題したシリーズワンマンを4本行った。9月12日に新宿LOFT BAR LOUNGEで行った<Born To Be Dead:PROLOGUE>は、ALSDEAD初のアコースティックライブ。9月18日に東高円寺二万電圧にて開催した<Born To Be Dead:ch1>は、全編激しい楽曲のみで構成。9月19日のSHIBUYA-REX<Born To Be Dead:ch2>では、ファンの人気投票を元にしたリクエストライブ。シリーズ最後を締め括った、この高田馬場AREAを舞台にした<Born To Be Dead:CODA>は、事前にMAKI(Vo)が「いつまでも挑戦していくバンドでありたい」と語ったように、2回のアンコールを含め全部で32曲を演奏。終始、挑み続ける姿をぶつけていた。
MAKIがMCで告げた「今日は特別な夜だからと言って、我々ALSDEADは昔を懐かしんだり過去を振り返る気持ちはまったくない。今のALSDEADが持っている曲を厳選して届けるんで、かかってこい!」という言葉通り、この日はバンドの歴史を振り返ったり初期の楽曲を懐かしく演奏するのとは無縁な「今のALSDEADを最も磨き抜いた姿として投影してゆく曲たち」を厳選したライヴだった。選曲も、最新サードアルバム『IDEA-イデア-』とセカンドアルバム『Separator』に収録した曲を軸に、ファーストミニアルバムの『MODALITY』やファーストアルバム『ALSDEAD』の中核を成した曲を挟み込む形を取っていた。
一度でもALSDEADのライヴを体感したことのある方ならご存じだろう。どの楽曲も身体へ熱い衝撃を与える、激しくも躍動的な姿を持っている。さらに痛い気持ちを曝け出したリアルな言葉の数々。だからこそ彼らの楽曲が、荒ぶる高揚感を覚えながらも頭から離れなくなれば、ライブ中に激しく暴れていようとも、その歌がずっと胸の奥に響き続けていく。
ストロボライトが瞬く舞台上、幕開けを飾ったのが、最新アルバム『IDEA-イデア-』に収録されている「Behind The Pride」だ。凛々しく挑戦的な演奏の上で、シャウトとメロを巧みに活かしながらMAKIが観客たちへ挑みだした。いつもと変わらない。むしろ4人はいつも以上に前のめりな姿勢で、観客たちの身体からエナジーを引き出そうとしていた。MAKIの煽る姿に、拳を突き上げ熱を返してゆく観客たち。激しい2ビートが炸裂した演奏の上で、強い想いを投げかけてゆく「STARLESS」。猛々しいリフビートが爆発した「Adrenaline」。「地獄を見に行こうか!」場内には、感情と感情とをぶつけあうバトルが勃発。この一体化したスリリングな熱こそ、ALSDEADのライヴの醍醐味だ。
アルバム『Separator』を軸に据えたブロックでは、デジタルな要素を取り入れつつも、生音の躍動性を軸に据えた曲たちを次々と披露。エキセントリックなデジタルビートへ唸る激しいリフを重ね合わせ、狂い咲く激しい宴を描きだした「スワローテイル」や、図太い音を次々放ち続けた「Into The Void」。ずしりと重いメガトン級の演奏を、ハンマーを打ち下ろすように叩きつけた「Hacktivism」など、どれも重量感あふれた姿として熱く迫っていた。
サビで描いた表情や、間奏での穏やかな音のうねりが荒ぶる演奏の中で美しく輝いて見えた「In Bloom」。激しさを携えながらも、心を打つ歌が胸搔きむしる高揚を与えた「Fragile」など、表情豊かな音楽性を描き出したファーストミニアルバム『MODALITY』の収録曲を通した世界観。軽やかにステップを踏んでゆく様を描き出したハード&ジャジーな「カトレア」。舞台上と客席が剥きだした感情をぶつけあった「VOR」。ドラマチックな熱狂劇を通し、観客たちのハートを射抜いた「黙殺劇」。美しく穏やかな音色を背に、MAKIが切々と想い届けるように歌い上げた「Separator」。身体中を熱い衝撃が貫いた「INAZUMA」や、絶叫と絶叫をぶつけあうバトルモードを作り上げた「Cynical」など、近年の楽曲たちを巧みに組み合わせ、熱狂のうねりを作りあげた。
最新アルバム『IDEA-イデア-』を軸に据えたブロックでは、「D9N」や「KILL THE KING」のような激しい唸りを持った演奏を軸に、観客たちを暴れの空間に導き入れた。また、「Twilight」や「ノスタルジア」のようなデジタル要素を強めた煽情的なダンスロックを通し、絶頂感を覚えながら恍惚に酔いしれるという二つの魅力を巧みに提示していた。
終盤を彩ったブロックでは、「自分が持っている悲しみを力に変えて、俺らへぶつけてこい!」(MAKI)という言葉が証明するように、ハード&グルーヴなエンジンを吹かした「Vanity」や「Puzzle」、観客たちをモッシュの渦へとおとし込んだ「Pandemic」、絶叫と熱狂のバトルを描き出したラウド&ハードグルーヴな「Life Of Sorrow」、感情を解き放つ激しい演奏に拳を振り上げ、頭を振り乱し、興奮に溺れた「FLASH BACK」などを畳み掛けながら、ライヴバンドならではの無我夢中な高揚感を伝え続けていた。
最初のアンコールでは、触れた人たちを大きなウネリで包みこんだスケールあふれるミドルナンバーの「フライト」や、大きなグルーヴを背負いながら胸をギュッと疼かせる力を捧げた「Heaven」など、激しさとは異なる魅力も示してくれた。
「今日のALSDEADは今までで最高の状態です。アーティストでいる限りは、過去よりも今、今よりも未来が最高だと思っている。ALSDEADは一つの壁にぶつかって、その壁をどうやって壊し、その壁の向こう側へ行けるかを話しあい、それで出したのが活動休止という決断。みんなもその決断を前向きに捉えてくれたのが嬉しかった」──MAKI(Vo)
今の心境を包み隠さず、彼らは伝えてくれた。これからもALSDEADは、進化した姿を持って未来へ向って走り続けてゆく。その未来を確かな形として刻み続けるための準備期間として、彼らが下した「活動休止」という結論。彼らは、この舞台に戻ってくることを約束するよう最後に「Gravity」を歌いかけてきた。これが、4人とファンがふたたび一緒に未来を歩んでゆくための約束の指切りのように…。
止まない熱狂の声。その声援を受け、最後に届けられたのが「Faceless Biliever」だ。「まだ見たことのない遥かな場所まできっと僕は君を連れていけるよ。眩しくて儚い流星のような願いをいくつも散りばめて」。何度も何度も繰り返し共に歌ったその言葉こそ、次の扉へ開けるまでの間、彼らがファンの心へしっかりと刻もうとした、未来を示唆した証だ。しばしの休息を前にした今の自分たちの感情を代弁するように、彼らは“未来を見据えたうえでの惑い”を歌いかけてきた。何も隠すことなく今の自分たちをさらけ出すことが、彼らが次のステージへ進んでゆくためには必要な今の答え。それをALSDEADのことを本気で支持してくれる人たちの胸に届けたうえで、4人はひとときの眠りについた。
この日の模様はライブ映像として完全収録。さらに、今回のシリーズワンマンの模様もダイジェスト映像としても見る事ができる、まさに<Born To Be Dead>シリーズを集大成した作品がリリースされる予定だ。こちらは「完全受注生産」となるが、好評につき特別盤の予約受注期間が延長されている。
今後彼らがどんな姿を持って復活の狼煙を上げるのか、その始まりの鐘が鳴り響くのを、暫し待ってていただきたい。
文:長澤智典
写真:玲人
LIVE DVD情報
受注期間延長/完全受注生産
再受注受付期間 : 10月18日(日)23:59
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受注期間 : 10月16日(金)12:00~10月25日(日)23:59予定
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