【インタビュー】Mary's Blood、重みを増したバンドのいまをそのままパッケージできたアルバム『Bloody Palace』
メロディアス&テクニカルなガールズ・メタル・バンドとして話題を呼び、DRAGON FORCEが2015年8月に行なった香港公演のオープニング・アクトを務めたことで、さらなる注目を集めているMary's Blood。バンドが波に乗っていることを感じさせる中、10月7日に彼女達のセカンド・アルバム『Bloody Palace』がリリースされた。より重厚さを増しつつキャッチーな側面もフィーチュアした同作は、良質なメタル・アルバムであると同時に、幅広い層のリスナーにアピールする好盤に仕上がっている。EYE(Vo.)とSAKI(G)の2人に、意欲作について大いに語ってもらった。
◆Mary's Blood~画像&映像~
■ドラムの手数は多いわ、ギターもピロピロいってるわ、ベースの音もすごく重くなってるわ
■『Bloody Palace』は重みを増したMary's Bloodをそのままパッケージすることができた
――BARKSでインタビューさせていただくのは初めてですので、まずはバンド・プロフィールをお願いします。
EYE(Vo.):元々は、私とドラムのMARIが別のバンドで一緒に活動していたんです。そのバンドが解散した後、それぞれ別々に活動していたんですけど、また一緒にバンドをやりたいねという話になり。ボーカルとドラムが女ならメンバーは全員女が良いよねということで意見が一致してMary's Bloodを結成しました。
SAKI(G):私は結成当初はメンバーではなくて、後からヒョイッと入りました(笑)。
EYE:拾ってきました(笑)。
SAKI:前のバンドをやっていた頃にMary's Bloodと対バンしたことがあって、良いなぁ…と思っていたんです。なので、加入できた時は嬉しかったです。
――良い出会いがありましたね。バンドを結成した当初からメタルをやろうと決めていたのでしょうか?
EYE:メタルを基調としつつ、激しくて、重い音楽をやろうという感じでしたね。女だからといってナメられないように…じゃないですけど、カッコ良い音楽をやりたいと思っていたんです。それに、歌のメロディーやギター・リフがキャッチーで、聴きやすいものということも最初から今に至るまで、ブレずに通せていると思います。ただ、活動していく中で、バックがどんどんうるさくなってきました(笑)。ドラムの手数は多いわ、ギターもピロピロいってるわ、ベースの音もすごく重くなってるわ…という感じで(笑)。今回の『Bloody Palace』は、重みを増したMary's Bloodをそのままパッケージすることができたんじゃないかなと思っています。
――ということは、新しいアルバムを作るにあたって今回はより激しく、ヘヴィにいこうと決めたわけではなくて、自然な流れなんですね?
EYE:そう。こういうアルバムにしようみたいなことを改めて話し合ったりしたわけじゃなくて。音像は、勝手に重くなっていました(笑)。
SAKI:楽曲の方向性とかも特に決まってなくて。みんなで、ワイワイ言いながら曲を出していって選んだら、こういう作品になったという感じです。「Bite The Bullet」が一番最初にできていて、これを軸に後をどうするかを考えようということになって。それを踏まえて、今の自分達が良いなと思うものを揃えました。だから、前作よりも前に作った曲とかも2曲くらい入っていたりします。
――「Bite The Bullet」がアルバムの指針になったんですね。
SAKI:そう。あの曲はリフが硬派で、ブラストみたいなものとか、めっちゃ長いギター・ソロとかも入れちゃえ…みたいな感じで形にしたんです。だから、前作の『Countdown to Evolution』に入っている「Marionette」とかを踏襲して、それを今のMary's Bloodがやったらどういうものになるかを示しているんですよ。そういうところで、アルバムの軸になりました。
EYE:「Bite The Bullet」を軸にしつつ、今回は今まで以上に幅広さを出せたというのがあって。個人的に、これはヤバいなと思ったのは「I'm Dead」です。いろんな意味で、ヤバいなと(笑)。こういうスラッシーな曲とかも好きで聴くけど、自分でやることになるとは思ってなかった(笑)。最初は、歌はどうしたら良いんだろうと思いました。
SAKI:でも、この曲の歌は、すごくカッコ良い。それに、この曲は完成するの早かったよね。デモのまま“いくぞ!”みたいな感じでできたから。“勢い命!”みたいな(笑)。だから、無理して激しくしたわけじゃなくて、自然とああいう曲になりました。私は今回の曲の中では、「Ready to Go」が特に好きです。この曲はインディーズの頃からあって、やりたいな、やりたいなと、ずっと言ってて。ずーっと言ってて、ここが出し時だなということで、ようやく願いが叶いました(笑)。
――「Ready to Go」はアメリカン・ロックっぽいテイストで、アルバムの良いフックになっています。
SAKI:そう、アメリカン。Mary's Bloodは“明るい!”という感じの曲があまりなくて。前作もメジャー・キーなのに物悲しい曲とかがあったし。「Ready to Go」は珍しく明るい曲で、Mary's Bloodの新しい顔に触れてもらえるじゃないかなと思います。と言いつつ、曲自体はずっと前からあったんですけど(笑)。
――ライブでも映えそうですね。
SAKI:盛り上がります。この間のライブでもタオルがグルグルなってました(笑)。
――良いですね(笑)。エモーショナルなミディアム・テンポの「Song for You」やバラードの「Infinite Love」などでも幅広さを見せています。
SAKI:「Song for You」は最初は全然違う感じで、それこそスラッシーな曲にしようと思っていたんです。でも、サビのメロがすごく強くて、このメロを際立たせるには、このテンポじゃないよねという話をして。それで、作り直して、今のテンポに落ち着きました。これも、たしかに新しいですね。この曲をライブで初披露した時に、最前にいたお客さんが涙を浮かべていて。“泣いてるぅー、マジ?”と思ったけど、それを見て自分もウルウルしちゃいました(笑)。
EYE:すごく嬉しかったし、ちょっと感動しました。「Infinite Love」は、2015年の頭くらいに作ったのかな。私はギターが弾けないので、いつもピアノで曲を作るんです。ピアノを弾きながら鼻歌を歌うところから入っていって、クリシェみたいな展開も入れたいなとか、サビはこういう風にしたいな…という風に、つなぎつなぎ作っていって形にしました。『Countdown to Evolution』を作った頃から、アルバムにバラードを入れたかったんですよ。でも、その時はまだ曲が仕上がっていなくて。今回は1stをさらに濃くしたようなアルバムを作ろうということで、振り幅をもっと広げようという話になって。それで、「Ready to Go」みたいな毛色の違う曲達も出てきて、「Infinite Love」も入れられるねということになりました。バラードができたことによって、「I'm Dead」という反対側もできあがったんです。自分達でも、すごいことになっているなと言っていました(笑)。
SAKI:「Infinite Love」も本当に気に入っているけど、アルバムの入れどころが難しかった。前の曲とつながりを考えて、マスタリングの時に、ものすごく曲間をあけてもらったんです。そうしたら、エンジニアさんが「俺、こんなに秒数あけたことない」と言っていました(笑)。
EYE:曲間の新記録だよね(笑)。
SAKI:そうそう(笑)。
――ラスト前の10曲目にバラードが来るという構成は、すごく良いなと思いました。今回、歌詞の面で全体を覆う大きなテーマなどは、ありましたか?
EYE:それぞれの曲に別々の主人公がいて、カラーはバラバラですけど、一貫して女の子らしさと、女の芯の強さ、意志の強さといったものを描いています。Mary's Bloodというバンド名の由来になったのは、イギリスのメアリー女王様なんですよ。“Bloody Mary”と呼ばれている、あのメアリーさんがコンセプトだったりするので、今回はそこに立ち返って、そういう歌詞を書きました。「Infinite Love」はちょっと“甘い系”だけど、自分の好きな人と一生一緒にいたいし、来世でも一緒にいたいという意志を貫いている女の子が主人公だし。あとは、それぞれの曲の主人公のキャラクターやストーリーがちゃんと見える歌詞にすることも心がけました。
――歌詞で描くストーリーを考える時は、細かいところまで考えるタイプでしょうか? それともイメージ・スケッチ程度?
EYE:それは、曲によって違います。たとえば、「Song for You」は音を聴いた時点でイメージが“ワァーッ”と湧いてきて、サビで歌いたいこともすぐに浮かんできて。それに関連したワードがハマっていって、その後にストーリーを付けたんです。「Infinite Love」とかは、時系列がある歌詞にしたいなと思って。最初は夏の終わりかけで始まって、2番にいくと数年後の秋冬になって、ラスサビにいくと春になる。それは、最初からこうしようと思って順番に書いていったんです。そういう風に、曲によって違いますね。
――歌詞を書くことも楽しんでいることが分かります。
EYE:楽しいです。煮詰まった時は、嫌だなと思うけど(笑)。でも、ネタとかは普段から探してメモッたりするようにしていることもあって、そこまで困ることはないですね。ただ、歌詞をいっぱい作っていけばいくほど、ボキャブラリーを広げていかなきゃ…というのがあって。語彙が少ないと、違う視点で書いていても同じような印象になってしまったりするので。そうならないように注意しようと思っています。
――メタルはこういう歌詞だろうというような安易な姿勢ではなくて、いろいろな情景や心情が描かれていて楽しめました。
EYE:そう言っていただけると、嬉しいです。別に、狙ってメタルっぽい歌詞から外れようとしているわけではなくて、曲を聴いた時のイメージに沿って書いたらこういうものになったというだけのことですけど。でも、メタルのイメージに縛られていないということを感じてもらえたなら、すごく嬉しいです。
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