【インタビュー】SEELA [D'ERLANGER]、「重ねてきたのは常に変化ではなく、進化」

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■みんなが、それぞれの集中力をもっていつもやってる
■あとはやっぱり、CIPHERの楽曲の良さじゃないですか

──しかしこうして2007年4月の復活ライヴの日から数えてちょうど8年後にこのアルバムが発売されて、これから2年後には復活後10周年ということになるし、さらにそこから3年経つとデビュー30周年を迎えることになる。そういうのもそろそろ、チラつき始めてたりするんじゃないですか?

SEELA:うーん。あんまり自分的には意識してないというか。べつに意識しないようにしてるわけでもないけども、まわりから言われた時に初めて“ああ、そうなんや”みたいな。あんま意識してても、しゃあないし。それで何をすればいいってことでもないし、何周年に限らず、何か出す時には“どうだ!”と思って出してるわけなんで。でも、再結成10年とかについては、ちょっとは何か思うかもしれないですよね、どっちかと言えば。やっぱ、リアルに続いてる実感というのがあるんで。

──2年後の4月22日は、ちょっと感慨深いものを味わうことになるのかも。

SEELA:そうかもしれないですね。結成から何年とかデビューから何年とか、そういうのは今ひとつ自分のなかではピンとこないんだけど、やっぱり復活後10周年については、あと数年後に「ここまで来たか!」と思うのかな、と。

──しかもそれって、新人バンドがデビューして10年続くのとは意味が違うと思うんですよ。

SEELA:ホンマにそうですよね。再結成で10年ってね。

──このアルバムについても25周年記念作品みたいに受け止められるところはあるはずですけど、そういう言葉から連想されがちな仰々しい感じのアルバムでは全然ないですよね。

SEELA:そうですね。ややこしい曲もないし。

──今、ここまでスコーンと行き切れてるのがすごいと思うんですよ。平均年齢40代後半のバンドが。

SEELA:ははは! それは、なんですかね……みんなが、それぞれの集中力をもっていつもやってるからなのかな。べつに25周年っぽい作品を作ろうとか、そんなこと考えることもないですから。あとはやっぱり、CIPHERの楽曲の良さじゃないですか。

──作曲者としての現在の彼をどう見ていますか、SEELA先輩としては。

SEELA:いや、もう常に、単純にリスペクトしてますよね。彼の頭のなかには常に音が鳴ってるんやろうし。たとえばベースにしても、なんとなくこうやったら俺がこう弾くだろうっていう感覚もあるんだろうし、そういう意味合いで作ってきたりとかもするはずだし。とにかく、すごいです。

──言い換えれば、彼の頭のなかで鳴っているベースの音のなかにはSEELAさんがいる、ということですよね。

SEELA:そうですね。もちろんあくまで大まかな雰囲気として、ということになるだろうけども。もちろん大昔とかは違っただろうし、こうして歴史は長いけどもあの当時のアルバムはたった2枚だけですからね。当時から比べてみても、作る行程はそんなに変わってないと思うんですよ。大本になるものを彼が持ってきて、それでバンドでゴチャゴチャやってみる、というのは今でも同じなので。でもね、そこでちょっとCIPHERが思ってるものの裏をかくというか、違う方向で“おお!”と思わせたいなあというのは常にありますけどね。なんかやっぱ、いろんなことができる人ってすごいなと思うわけですよ。俺にはあれやこれやできないんで。

──彼はプロデューサーというか、映画監督的な存在でもあるわけですよね。キャスティングもすれば演出もする。

SEELA:うん。だからやっぱ、思うところの幅が広いですよね、いい意味で。人によっては「こうしてもらわな嫌や」とか、あくまで自分が思ってるところに忠実にやらせようとするやろうけど、そこで彼の場合は幅が広いんで、ああやってもこうやっても許容範囲内というか。だからこうやって続けられてるのかな、とも思うんですよね。

──おそらくそういう関係性ですべてのメンバーと繋がっているわけですよね。たとえば歌メロを作る時には、彼にはkyoさんの声が聴こえているんだろうし。同じようにSEELAさんも、ベースを弾いている時に他のメンバーたちの音が聴こえてくるような感覚でもあるんですか?

SEELA:いや、たとえばその曲を初めて聴く時というのは、さすがにそこまではいかないですよね。曲によっては結構、理解するのに時間がかかったりとかもするんで。やっぱ、どうとでも捉えられるから、どの方向から入っていこうかなというのを考えるし。同じリズムであっても、それをバラードとして聴かせるのか、実際よりも速い感じに聴かせたいのか、それとも重い感じにしたいのか……。それによって弾き方も違ってくるじゃないですか。それがもう、一瞬でフッと決まる楽曲もあったりするんですけど、その逆の場合もある。それこそ今回で言うと「CRAZY4YOU」なんかは、ある程度大まかにはパッとすぐイメージできましたね。

──逆に、苦労した曲というのはあったんですか?

SEELA:ちょっとさっきの話にも重なってくるんですけど、「狂おしい夜について」とかは、結構前半に出てきた曲なんですよね、帰国後にプリプロをやりだして、最初のほうに。だからこそなのか、だいぶ考えさせられましたね。ああでもないこうでもない、というのがいちばん多かったような気がします。とはいえその曲にかかりっきりになっていたというわけじゃないんですよ。他のことも同時にいろいろとやっていくんで。ガーッといろいろやっていきながら、他のことをやりながらも途中で意識がその曲のことに戻ったりとか、そういうことなんですけどね。まあどれもすんなりパッと行ってくれたらいちばんいいんでしょうけど……でも多分、全部すんなり終わってしまったら、“やった感”がないかもしれない(笑)。

──作曲者としてのCIPHERさんの、いちばん変わらないところってどんな部分でしょう?

SEELA:変わらないところ……というよりも、どんどんコードが難しくなってくるな、というのはありますね。「ここ、どう弾いてんの?」というのがどんどん増えてきていて。いい意味での、微妙なコード感というか。一瞬でジャーンと弾いたのを聴かされても、聴感上はわからなかったりするんですよね。ただ、よくよく聴いてみるとかなり普通じゃなくて、「これ、どうしてんの?」、「ああ、そういうことか」みたいな。だったら俺もこういうのを入れようか、とか。そこはちょこちょこ思ってましたね。

──Tetsuさんやkyoさんについては変化を感じますか?

SEELA:いや。技量に関しては当然ながら上がってるはずやけど、変化というのは……。むしろいい意味で変わらない。みんな基本的にはそうだと思うんですよね。

──すなわち、SEELAさん自身も?

SEELA:そうですね。変わってないという言葉が悪いように解釈されたら嫌ですけど(笑)、そうだと思いますね。当然ね、自分自身についても、多少なりとも技量は上がってるはずですけど(笑)、ある意味、昔と変わってないとずっと自分では思ってるんで。それこそ下手くそやった若い頃と比べても、今もそんなに変わってるとは思ってないんで。

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