【インタビュー】KNOCK OUT MONKEY、2ndアルバムに「理想を描くよりも現実を描きたい」
■w-shunがラブソングを書いたら、みんなビックリするやろな
■ついに!みたいな感じで(笑)
──では、続いて歌詞の話を。今回、全体を覆う大きなテーマはありましたか?
w-shun:1曲1曲と向かい合うことが多いので、トータルのテーマというものはなかったんです。ただ、毎回歌詞を書いていて感じることですけど、最終的には光に向きたいんだろうなというのはありますね。たとえヘリクツを吐いたとしても、ヘドを吐いたとしても、吐くだけでは物足りなくて。その先を見たいから行動に移すタイプなんです。だから、ネガティブなことを綴っていても後ろ向きなだけの歌詞にはなっていないと思います。
──たしかに。それにリスナーの背中を押す歌詞ですけど、“行動しろ”とか“夢を目指せ”と直接的な歌詞ではないですよね。
w-shun:自分のふがいない部分だったり、どうしようもない部分をさらけ出すようにしています。リスナーはそれぞれの立場で歌詞を見たり聴いたりするわけで。僕の書いた歌詞が、リスナー自身が自分のことを考えるきっかけになればいいなと思っているんです。それが積み重なった時、それぞれが自分のタイミングで行動を起こすはず。
──なるほど。
w-shun:だから理想を描くよりも現実を描きたい。そうすることで自分の書いた歌詞がみんなの人生に重なる気がしているんです。で、数年後に歌詞を見た時、青臭いことを言ってるなって笑いながらビールを飲む(笑)。そういう歌詞にしたいんですね。
──ストレートなラブソングがないことも特徴です。
w-shun:ああ、ラブソングは得意じゃないですね。というか、曲先行で楽曲を作っているから、そこから歌詞のイメージが生まれることがほとんどなんですよ。となると僕等の曲の場合、ラブソングの方向に持っていこうという気持ちになることがない。だけど恋愛をイメージさせる曲ができたら、そういう歌詞を書くんじゃないかと。書きたいこと、伝えたいことがあって、それを表現するのがロックミュージシャンとして真っ当な姿だと思っているから。
dEnkA:w-shunがラブソングを書いたら、みんなビックリするやろな(笑)。ついに!みたいな感じで(笑)。
w-shun:俺、そういう風に思われて聴かれるのがメッチャ嫌やねん(笑)。
ナオミチ:でも、絶対そうなるでしょう(笑)。
亜太:っていうか、今、すでに顔が赤くなってるし(笑)。
dEnkA:中学生じゃないんだから(笑)!!
──今後はラブソングも楽しみですね(笑)。では、アルバムに収録された個々のサウンド&プレイについてもうかがいます。まず、ドラマーとしてこだわったことは?
ナオミチ:僕はドラムを始めて15年目くらいになるんですけど、バンドを始めた頃は自分の好きなフィルばかり叩いていたんです。それが手グセになっていった。オリジナル曲を作るようになってからは、自分の手グセを出すのは安易で恥ずかしいというか、ちゃんと考えないといけないだろうと思うようになって。でも、去年の夏にいろんなフェスに出たりして他のアーティストを見た時に、すごく個性のあるドラマーはフレーズだけでその人だと分かることが多かったんですよ。僕が好きなドラマーも、みんなそう。それで、最近はそういうドラマーを目指したいなという気持ちも自分の中にあって、今回のレコーディングでは自分らしさを出してみようかなと、久々に手グセを解禁しました。もちろん手グセだけじゃなくて、自分が勉強してきたものも織り込みましたけど。
──テクニカルなフィルが多いのは、最初からそういうタイプだったからですね?
ナオミチ:もともと手数が多くて、埋めていくドラムが好きでした。それを全面に出したいなと思って臨んだ結果、今回はこういうドラムになったという。手グセ全開なのは、「?」ですね。それに「RIOT」とか「If you fly」も気に入ってます。ただ、「MOON」は極力誰でも叩けるドラムということを意識したんですよ。今まではゆっくりな曲でもテクニカルな面を出してやろうという変なプライドみたいなものがあったんですけど、そういうのはもういいかなと。ライブで演奏した時に、w-shunの歌が聴けるくらいのドラムに落とし込みました。こういうアプローチを採ることができて、自分の中にちょっと成長した感がありますね。今後は、もっと思い切ったドラムも叩けるなというか。
──ベースはいかがですか?
亜太:アルバムに先駆けてリリースした「How long?」で、ライトハンドに挑戦したじゃないですか。そこで、今期の僕の必殺技は閉店したので(笑)、アルバムでは楽曲に寄り添うか、もしくは歌に寄り添うかということを2本柱にして取り組みました。今までは1曲の中で結構いろんなことをしていたけど、今回はもう少しストレートなアプローチを採ることも意識して……とは言いつつ、ちょこちょこやっていますけどね(笑)。基本的な意識としては、たとえば「Take you」は楽曲に寄り添いつつ、どっしりしたボトムを出すようにして。一方で「Eyes」とか「MOON」は、歌の広がりに合わせたベースを弾いたりとか。わりと両極端なベースになっていると思います。
──支えるパートと、前に出るパートのバランスが絶妙です。「Take you」の間奏のアバンギャルドなベースフレーズは、楽曲のいいフックになっていますね。
亜太:あのパートの謎のコード進行は僕発信なんですよ。邪悪な感じが出れば良いなと思ってなんとなく弾いたら、ああいうフレーズが出てきました。
dEnkA:お陰で、この曲のギターソロは大変だった(笑)。
亜太:ははは!! そうだろうな(笑)。
dEnkA:全部♭5(フラットファイブ)の半音階進行だから、どのボイシングで弾けば合うねん!?と(笑)。いろいろ考えて、今の形に持っていきました。
亜太:まぁdEnkAなら、やれるだろうと思ってたよ(笑)。僕としては、その後のハイトーンを16分で弾いているところから最後のサビにいく直前のハーモニクスが気に入っています。自分の中で新しい挑戦だったので。
──むしろ、そこなんですね(笑)。ベースに関しては、常にうねっているファットなグルーヴも聴きどころです。
亜太:本当ですか? グルーヴのことはなにも考えてないので、それはもう自分の中にベーシックとしてあるものだと思います。父親がジャズやブラック・ミュージックが好きで、家にそういう音楽がよく流れている環境だったし。そういう音楽のグルーヴが自然と染みついている気がしますね。
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