【ライブレポート】KNOCK OUT MONKEY、ツアー<7CITIES>完遂「夜が明けたことを伝えに来た」
KNOCK OUT MONKEYが2023年4月から5月にかけて全国ツアー<SPRING TOUR 2023 “7CITIES”>を行なった。
◆KNOCK OUT MONKEY 画像
全国7ヵ所をまわるツアーとして、2016年から2年ごとに恒例開催しているツアーで、全公演異なるセットリストにて行なうツアーとしても知られている。しかし2020年は新型コロナの感染拡大の影響により中止。そのリベンジとして2021年に開催したが、ツアースタート早々、ギターのdEnkAが左足を骨折したことにより、残るライブは3ピース体制で行なっている。そして2023年、無事に4人で走り切った。
そんな今回のツアー<7CITIES>の6都市目となったのが、4月29日の東京・渋谷WWW Xでのライブだ。SEが流れると同時に、大歓声と拍手で迎えられた4人のメンバー。お返しとばかりに、まずはバンドサウンドを一発轟かせ、直後、始まったのは「HOPE」。KNOCK OUT MONKEYが全国的に名前を知られるようになったきっかけは、2012年にタワーレコード限定でシングル「HOPE」をリリースしたこと。いわばKNOCK OUT MONKEYにとって記念すべき始まりの1曲だ。激情を込めてかき鳴らし、亜太が「東京! やること分かってるでしょ、全員で!!」と叫ぶと、オーディエンスは曲に合わせて一斉にジャンプを繰り返す。さらに「久々やから溜まってるんだろ? 全力で掛かってこい! 全員、面倒見たるから!!」とw-shunが叫びながら「1:48」に突入すると、フロアでは激しいサークルモッシュが。渋谷WWW Xライブの始まりは、ステージの4人もフロアの数百人も、暴れ猿と化す。
各ライブ会場のルールに則ってだが、すでに2022年末から声出しライブも行なっているKNOCK OUT MONKEY。声出しを始めた当初こそ、誰もが控えめではあった。しかし今はもう遠慮などいらない。KNOCK OUT MONKEYが叩きつける曲の数々に、コブシを振り上げ、大声も張り上げ、高まったテンションでたまにクラウドサーフも起こすなど、オーディエンスは本能に正直になって楽しむのみ。そんな光景を目にしてw-shunは喜びで表情をクシャクシャにしながら「ライブハウスが帰ってきたぜ!」と叫ぶ。そしてオーディエンスと共に歌いながら熱い音を炸裂させる亜太やdEnkA、ナオミチ。この約3年間で辟易していたみんなの気持ちも身体も、KNOCK OUT MONKEYは叩き起こしていった。
「ここにいる一人ひとり、音楽が好きで、ライブハウスが好きで、ロックが好きで、喰らっちゃったヤツらしか来てないから」──w-shun
またMCでは、「コロナ禍に作った曲たちを成仏させたい」とも語っていたw-shun。2021年に配信リリースもした「MERRY GO ROUND」も5曲目にプレイ。もともとラウドなその曲は、成仏どころか、さらに生命力を強めながらオーディエンスを激しく揺らした。
2021年の<7CITIES>の東京公演では、骨折のためにステージに不参加となってしまったdEnkA。その禊として用意されていたのが弾き語りだ。「Primal」を改造した「プレイ〇」なるナンバーで、他のメンバーはそのクオリティに苦笑いも。そのお口直しじゃないが、今度はw-shunの弾き語りをフィーチャーした「realize」で温かく包み込んでいく。
さらにライブでは難しくて避けていたという「fall down」を約5年ぶりにプレイし、オーディエンスを喜ばせる。メンバーも、演奏がうまくいったため異様なテンションに。そして自分にとってロックやバンドの始まりとなった「ever free」を、hideの命日を目前に控えたこの夜、天に届けとばかり感謝を込めて響かせた。そうした様々な場面も作りながらライブは展開していく。
「こうやって一緒くたになって、暴れたり、声出したり、普段できない顔を見せてもらったり。でも、もっとイケる気がするな。恥ずかしがってんじゃねえぞ。周りの目が気になってるなら俺の目を見ろ!」──w-shun
オーディエンスの気持ちをかき立て続けながら「Paint it Out!!!!」からライブは後半へ突入した。ライブハウスでナマで浴びる音、全身に響いてくる曲、一瞬ごとの全てがエキサイティングなライブパフォームと演奏ぶり。肩車を作ってはしゃぐオーディエンスもいれば、それを即興で歌にしてコール&レスポンスも起こすKNOCK OUT MONKEYもいる。さらに「Scream & Shout」では自ら客席フロアに飛び込んで歌い叫ぶw-shun。全員を笑顔にさせる事件の数々が、ライブハウスで繰り広げられていった。
「俺らはこの<7CITIES>で夜が明けたことを伝えに来た。約3年、見えないヤツに向かって中指立てる時間はもう終わった。我慢の時期はもう過ぎた。死ぬ気で遊ぼうぜ!」──w-shun
台の上に入れ替わり立ち替わり乗っかって、煽りながらプレイするdEnkAや亜太。気持ちをさらに覚醒させるように叩くナオミチ。力強く歌いまくるw-shun。「Flight」では、フロアでグッチャグチャになりながら、そしてでっかい声でコーラスも叫びながら楽しむオーディエンス。ラストは勇気を持って新たな一歩へと踏み出させてくれるパワフルナンバー「Say Good bye」で締めくくった。フロアを埋め尽くすオーディエンスの表情を改めて確かめ、最後にw-shunはこう叫んだ。
「夜明けは明るいぜよ!」──w-shun
このツアー<7CITIES>は、5月2日の大阪・梅田CLUB QUATTROでファイナルを迎えたが、急遽、“裏ファイナル”を6月17日にMUZIC ZOO KOBE 太陽と虎で開催することが決まった。KNOCK OUT MONKEYの地元である神戸だ。観に行くなら、ライブ後の打ち上げはdEnkAのお店=串カツでんちゃんもお薦め。裏つながりで言うなら、裏メニューもあるらしい。
取材・文◎長谷川幸信
撮影◎かわどう(田端大貴)@kawado_photo
■<SPRING TOUR 2023 “7CITIES”>4月29日(土/祝)@東京・WWW X セットリスト
02. 1:48
03. JET
04. Laying down the rails
05. MERRY GO ROUND
06. A live
07. プレイ〇 by dEnkA
08. realize (Arrange ver.)
09. FAKE
10. fall down
11. ever free
12. 旅人
13. Paint it Out!!!!
14. Scream & Shout
15. Rising Sun
16. Flight
17. Say Good bye
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