【インタビュー】新山詩織、シングル「絶対」完成「振り切った思いを伝えたい」
新山詩織が12月3日、ニューシングル「絶対」をリリースする。自身が作詞作曲を手掛けた同曲は、高校卒業以降の初作品であり、現在の心境が赤裸々に記されたリアルな歌詞が印象的だ。通常よりも長い時間をかけて行われた制作は、10代の彼女が不安や葛藤に正面から向き合うために必要な時間であり、この楽曲はそこから導き出したある種の答えでもある。
◆「絶対」ミュージックビデオ
「絶対」というひと言に込められたのは、現状を打破しようとする新山詩織の強い意志だ。「とにかく吐き出そうと思って作った」と語る新山詩織が辿り着いた決意、映画『寄り添う』主題歌制作秘話、そして未知へのチャレンジなど、新山の今についてじっくり訊いたロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■ワンマンの後は空っぽになったような状態が続いて
■そこから抜け出せずにいたんです
──高校卒業後、初となるシングル「絶対」は、揺れ動く心の先に確かな思いを見い出した意志の強さを感じる楽曲ですね。いつごろ作ったのですか?
新山:今年の7月くらいです。家で好きな音楽を聴いていた時に、パッと言葉が出てきました。1stアルバムをリリースした3月には卒業式やアルバムのキャンペーンがあって、4月にはワンマンツアーがあったんですね。長時間のライブ経験があまりなかったので、春はそれに向けて気持ちを高めたりしていました。
──高校卒業後のワンマン以降に改めて作ったという?
新山:はい。ただ、これまでずっと学校と音楽を両立するために目まぐるしい日々を過ごしていたし、この春はキャンペーンやライブで気持ちが張りつめていたんですけど、それから一気に開放されて。ワンマンの後は空っぽになったような状態が続いてしまって、そこから抜け出せずにいたんです。
──空っぽというのはうつろだったり、やる気が出なかったということ?
新山:うーん…。やることはあるし、それをちゃんとやっているつもりだけど、思うようにいかないというか。歌詞を書いていても“どうして今、こんなことを書いてるんだろう”と思ってしまって、しっくりこないことが多かったです。
──卒業まではどこか制約のように感じていた学校という場所が、実は良くも悪くも自分の居場所でもあったと?
新山:そうかもしれません。卒業してからは特にそう思います。心が休まる場所だったし、切り替えられる場所でもあったんだなと。
──今は24時間、365日でミュージシャンですものね?
新山:はい。自分の時間が出来て、余裕が出来て、今までは考えなかったようなことまで考えられるようになったんだと思います。制服を着て音楽をやっているときも、自分を子供だと思ってはいなかったけど、実際に制服にさよならして社会人になってみると、もっとちゃんとやらなきゃという気持ちが大きくなりました。
──いつ頃、空っぽな状態から抜け出せたのですか?
新山:この「絶対」が出来た頃からです。「だからさ」(※0thシングル:2012年12月発表)を作ったときも、その時の気持ちをとにかく吐き出そうと思って作ったんですけど、その時の感覚に似ていた気がします。吐き出さずにはいられなかったんだなって。最初に出てきたのは、頭のところのフレーズでした。
──“何が怖くて何に怯えてるの”という冒頭のフレーズから、どうやって全体を形作っていきましたか?
新山:出てきた時は細かく考えてなくて、歌詞は書きなぐるような感じで、箇条書きにしていったんです。だけど、細かいところを除けば、完成形にほぼ近い状態でその時に出来ていました。
──冒頭は不安を歌ったものですが、歌詞を書き上げる際にこだわったことは?
新山:箇条書きにしたときの雰囲気のまま歌詞にしたいと思いました。
──“絶対”というのはとても強い言葉ですが、これも最初から出てきたもの?
新山:いえ、最後に出てきました。なので、サビも最初は違う形だったんです。“自分は今、どんなことを伝えたいんだろう”って改めて考えていくなかで、“この気持ちは絶対に出したいんだ”という強い気持ちが芽生えたんです。だから、歌っていて自然と“絶対”という言葉が出てきました。
──なるほど、それはすごいですね! 普段、生活していて“絶対”と言い切ることは少ないですから。
新山:そうですね、あまり言わないですよね(笑)。日々の中では保証がないから“絶対”とは口にしないけど、だからこそ歌いたかったんです。この言葉が出てきた時に、これだ!と感じました。それまでも何も考えずにぼんやり過ごしていたわけじゃなく、自分の中で闘っていたんだと思うんです、もうひとりの自分と向き合いながら。その中でこの曲も生まれました。
──なるほど、これまでの延長線上にある曲でもあるわけですね。サビは当初のアイデアから変わったということですが、もともとのサビはどんな?
新山:もっと暗い印象がありました。下に下がるところも少しあったんですが、聞き返してみて「こうじゃないな」って思って、そこの音程を上げたりしました。
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