【インタビュー】CURIO、12年ぶりの新作ミニ・アルバム『VIVID』は“ファンとCURIOの架け橋
2012年におこなわれた一夜限りのライヴをきっかけに再結成、ワンマンライヴ、ツアーと着実に活動を本格化させてきたCURIOが実に12年ぶりの新作となるミニ・アルバム『VIVID』を発売する。新曲3曲と9月20日下北沢GARDENでのワンマンライヴの音源2曲という構成のこのミニ・アルバムは、彼らの過去と現在が同居していながら、どの曲もフレッシュなエナジーに溢れた力強い作品だ。新たな道を3人で歩き出したCURIOに話を聞いた。
◆CURIO~拡大画像~
■ワンマンライヴは嫌になるほど長くやろうと思ったんです
■観に来てくれる人に満足して帰って欲しいと思うから
NOB(Vo・Sax):僕ら的には凄く短かったですね。あっという間に過ぎてしまって、実際手応えがどうだったかはわからないんですが、瞬間瞬間で凄く良い感じはありました。お客さんも前から知っている方が友達を連れてきてくれたりしていて。CURIOのライヴってこういう風になるんだなっていう、お客さんの優しい感じがありがたかったですね。
BRITAIN(Dr):スタッフにも恵まれて当日の準備とかも手際よくやってもらって。CURIOをやるからにはこれくらいのクオリティのライヴをガツンとやってみたい、というものが自分の中にはあったので、それに向けての準備が十分にできて本番に挑めました。GARDENというライブハウスや音響スタッフさんも含めて、始まる前にそれ以上の準備ができていて、失敗してもカッコよく見えちゃうなというくらいだったので、リラックスしてできました。
──BRITAINさんが復帰してからは初めてのワンマン・ライヴだったわけですが。
BRITAIN:活動としてはワンマンはやっていなかったにせよ、それまでにも対バン・ライヴでCURIOとして見せるライヴはやってきたので、僕が復帰してからの積み重ねてきたものを、“ヨシ、見せてやるぞ”という気持ちでやりました。
──AJさんはいかがでしたか?
AJ(Gt):対バンツアーを組ませてもらうとだいたい持ち時間って1時間くらいなので、ちょっと足りないんです。今回はワンマンということで、最初は、もう嫌になるほど長くやろうと思ったんです(笑)。でも絞って20曲にしたんですよ。“あれもやりたいこれもやりたい”で物凄く長くなりそうな勢いだったんですけど。手応えというよりも、「ああ、やっとやれた」という感じです。2マンだと時間短いのかな、とか僕も観客の立場では考えますしね。
──好きなバンドであれば、そうですね。
AJ:そういう意味では、ワンマンでバッチリ見せたいという意識と、来たいという動機にチケットの値段とか絶対関係あると思ったから、信じられないくらい長いライヴにしたいなと思っていたので(笑)。出来て良かったです。
──お客さんも大勢入っていましたし、大いに盛り上がってました。AJさんとしてはその中で沢山曲を演奏できる喜びがあった感じですか?
AJ:基本に立ち返ると、人前で演奏するとかレコーディングすることが好きでバンドをやっているので、長くやれるというのは良いことですよね。「もう終わっちゃった」と思うよりは。やっぱりそれまでにかけてる時間とかも含めても自分たちのライヴを観に来てくれるのは幸せなことだし、それに100%で返すというか、どの曲をやるかも含めて、満足して帰って欲しいと思うし。まずい食堂には毎日行かないですからね。貸し切りだって言われても行かないですから(笑)。ワンマンは貸切状態だと思うので、そういう意味では美味しい料理を出してあげたいと思うのが人情であって(笑)。たっぷりやろう、と。
──開演前に『チープ・トリックat武道館』が流れていたので、AJさんの衣装を見たときにリック・ニールセンのように見えたんです。やはり影響を受けているんですか?
AJ:昔から好きで、水玉のエクスプローラーとか弾いていました(笑)。リック・ニールセンはもうずっとギターヒーローですね。チープ・トリックの曲のポップさ、ハードさも含めて。DJを良くやるんですけど、ほぼ毎回かけますね。
──今回のミニ・アルバム『VIVID』は12年振りの新作リリースということですが、再結成した時点で作品も発表しようと考えていたんでしょうか。
AJ:いずれ出したいと思っていたのは事実ですが、今回のような形になったのは色んな人の巡り合わせかだと思っています。あまりドラマティックにこういう風に計画して、ということではなかった気がします。
──曲作りは再結成してからAJさんが書き始めたんですか?
AJ:「BABY BEAT IT !」だけは違うんですけどね。他の人への提供曲だったんです。(2013年春にNOB、AJ再会後初めての)ファンミーティング・ライヴの企画で僕の曲をNOBに歌ってもらうというようなお遊び的な要素があったんですが、2013年のワンマンをやるにあたって、CURIOの新曲としてちゃんとやろう、というのがあって。そしたらうまくハマった感じかな。他の2曲に関しては再始動してからですね。
──ちなみにミニ・アルバムのタイトル『VIVID』と「BABY BEAT IT !」って韻を踏んでるんですか?
NOB:ブリさん的にはあるみたいですよ(笑)。
AJ:あるの(笑)?
BRITAIN:『VIVID』というアルバムタイトルは、バンドメンバー、スタッフ含め、真夜中に大会議を開いてですね、すごい一杯候補を出して、ああだこうだ言いながら決めたんですけど。
AJ:確かに「BABY BEAT IT !」の歌詞にそう聴こえる箇所はあるといえばあるね(笑)。
NOB:そういう風に繋げてもらえてむしろありがたいよね。
BRITAIN:実はそうなんですよ!「BABY BEAT IT !」「BABY BEAT IT !」、『VIVID』!って直感的に出てきました(笑)。
──本当は会議で出てきたんですか?
NOB:うん、もう出た瞬間に。
BRITAIN:おおっ!というのはみんなの中にありましたね。候補にならないのがあまりにも多かったんで(笑)。
AJ:「ブルーハワイ」とか言ってたよね(笑)。
BRITAIN:僕は「ブルーハワイ」がイチオシだったんですよ。ジャケ写撮りにハワイに行けるから(笑)。でもそれは玉砕されて。
NOB:されるわ(笑)!
BRITAIN:そうやって、一通り盛りあげておいて(アイデアが)出やすい雰囲気をね。
──ああ、あえてそのように(笑)。
BRITAIN:そうそう、人柱(笑)。
AJ:いや、出えへんかったら「ブルーハワイ」でいいやと思ってたよ(笑)。
BRITAIN:最悪そうなるところだった(笑)。
──実際には『VIVID』というタイトルにはどんな想いが込められているんでしょう。
AJ:会議のときに色の話になったんです。例えば「光の三原則」とか言うじゃないですか。今我々が3人なんで、混ざり合って色んな色になるということもあるね、という話をしていて、そのときに 考えてたのがテレビのブラウン管のことで。「トリニトロンとかテクニカラーとか言ってたよなあ…」とかどんどん脱線して行ったんですけど。「トリニトロン」は商品名だしちょっと無理か、と考えたときに『VIVID』というのが色からの発想で出てきたんです。
NOB:“VIVID”という言葉は色の鮮やかさを意味すると同時に、心の中の記憶や風景が“鮮明”なことを意味しますし、そういった『VIVID』という言葉の持つ意味合いが、単純に色のことを含めて、今作品や12年振りに新作を出す僕らにフィットする言葉なんじゃないか?という結論に至ったんです。
──「BABY BEAT IT !」はイントロのサンプリング的に聴こえるコーラスが80年代のシンセポップ風な感じですね。
AJ:単純に好きな所だっていう感じですね。結局好きなものでしか対応できない感じはしていて。あんまり、「今4つ打ちが流行っているからどんどん取り入れて」みたいなものも、もちろんアプローチとしては良いことかもしれないですけど、タイミングをズラすと凄くダサいことになったりするのも目の当たりにしていて。僕らはこういう風な感じが好きだから、さっき言ったチープ・トリックみたいなパワー・ポップとかも僕は好きだし、そういうアプローチで良いんじゃないかなって。時代に会ったサウンドや流行っているサウンドをCURIOに求められているとは到底思えないので。もっとベーシックなものであって良いかなと僕は考えているから。それに立ちかえると例えば若いときにやっててた「ひまわり」とか「君に触れるだけで」とか、そういったものに共通してあった感じに原点回帰しているというか、逆に取り入れているという風にも思うし。
──どうしても過去の演奏とか曲と比較されたりはすると思いますが、みなさんご自身はどのように感じていらっしゃいますか? 音源に比べるとライヴでは凄く力強い印象だったんですが。
BRITAIN:久しぶりにやってみようか、と始めたんですけど、やっぱりそれぞれにやっていたんだなという感じですね。改めて練習し直したわけでも特になく。CURIOをやっていない間もやっぱり音楽を好きで続けてた結果が延長線上としてまたCURIOをやる、という。突然やり出したように見えるんですけど、それぞれがそれぞれの中で音楽をやり続けてきた結果ですね。
──NOBさんのボーカルもしっかり声が出ていましたし、SAXソロを間奏で吹いて、その直後に間髪いれずに歌ったシーンも凄く印象的でした。
NOB:ああ、ありがとうございます。身体は健康な方が良いですよね、本当。凄く良い状態でいるというのは。リハとかやってると毎回参加できなかったりもするんですが、その中で良いものを感じて本番になったときに、それをちゃんと再現しつつさらにお客さんの前にいるというところで、良いバイブスとかグルーヴが出来ると思うんです。
BRITAIN:なかなか大変なことをやってるよね。歌って、SAX吹いて、歌ってだもんね。
NOB:う~ん、でも普通にCURIOのライヴの一つのスタイルとして流れの中でやってるから。それに何かあってもきっとたぶん、楽しんでもらえてるというのもあって。CURIOというバンドとしてのキャラを自負しているというか。そういうのも楽しみにお客さんも来てくれるだろうなという気がして。だからなるべく良い状態ではいたいと思いますね。
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