【ライブレポート】T-BOLAN、ラストライブで「こんなに素晴らしい時間に辿り着くことができました」

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T-BOLANが4月26日(土)、東京・渋谷公会堂にて活動休止前最後のライブとなる<T-BOLAN LIVE HEAVEN ~Last live for the future ~>を開催した。

◆T-BOLAN 拡大画像

このライブの最速先行予約チケットは、販売枚数約2000枚に対して応募数が15倍を上回り、先行にして即完売。復活ワンマン公演となった3月8日の大阪・オリックス劇場で、“T-BOLANは活動休止し、メンバーそれぞれソロ活動を行う”ことを発表した彼らのラストライブは、当然ながらプレミアチケットとなった。

会場には90年代からのファンはもとより第2世代と呼ばれる若者まで、老若男女の笑顔で溢れかえっている。その光景はT-BOLANのロック魂が受け継がれていることを証明しているようでもあった。スクリーンに映画『T-BOLAN THE MOVIE ~あの頃、みんなT-BOLANを聴いていた~』より、貴乃花親方をはじめとする出演者からのメッセージが映し出され、その映像がやがて<T-BOLAN LIVE HEAVEN 2014 ~Last live for the future~>という文字に変わると、いよいよライブの始まりだ。ステージ上には穏やかな笑顔を浮かべたメンバーが姿を現した。

ラストライブは「Only Lonely Crazy Heart」からスタート。当時のステージでは一度も演奏されることのなかった「Be Myself」をはじめ、デビュー曲の「悲しみが痛いよ」、ミリオンヒットを記録した「Bye For Now」など、バラエティに富んだ楽曲がステージに見事な起伏を描く。また、「おさえきれない この気持ち」「刹那さを消せやしない」と続けられたライブは、計算され尽くされたかのようなセットリストのドラマに場内が沸いた。MCではボーカルの森友嵐士が過去のライブを振り返る。

「いろんなライブのことを思い出していて、どのライブが強烈だっただろう。そんな話をさっき楽屋でしたんだ。いろいろあるんだけど、一番最初の東名阪、1stツアーの日清パワーステーション。そこに来た人って今会場にいる? おお! やっぱいるんだね! アマチュア時代、いろんなライブハウスを回って、自分たちのデビューシングルというものが世の中に出て、あれは夕方の4時だっけ?」と記憶を辿る森友に、ギターの五味孝氏が「夜の9時だよ。『代表取締役刑事』(同テレビドラマ主題歌に「悲しみが痛いよ」が起用された)」と答える。「オマエ、さっき楽屋で“話さない”って言ってたじゃん(笑)」という森友の返しが微笑ましい場面も。そしてMCはこう続く。

「あれは何年前? まだ生まれてなかった人もいるんじゃないの? テレビから自分たちの曲が流れて、日清パワーステーション、一体どんなライブになるんだろう?と思って、期待と不安となんかでもういっぱいいっぱいだったからさ、オールスタンディングで客席がうわー!ってウネるのを見て、その瞬間すごい力をもらったのを覚えてるんだよね。そこから23年だよね? “ここからどんな風に走っていくんだよ”みたいな話をレコーディングやいろんな隙間に、そういう話をすることがあって。やっぱこう、“いつも自由で自分たちであり続けられる”そういう形がやっぱいいよねっていう。例え話でいつも“寄せては返す波に形を変えてゆく砂浜のような存在であり続けたい”と、そんな話をして今も動いていますけど。どこまでもそれぞれ4人がもう一歩その先へっていうそんな自由さを持ってこれからも歩いていけたらいいなって思っています……。な?」とベースの上野博文に話を振るも、上野は笑顔のまま。「こいつさ、普段そんなにお喋りではないよ。だけどさ、オープニングの映画あったでしょ? あの映画でさ、“こんなに上野って喋るんだ!?”みたいな。23年かかって分かった、みたいな」。それに併せて五味がシネマバージョンの「離したくはない」を弾き始めるという即興演出が、場内を笑顔にした。

その後もステージは、「じれったい愛」「No.1 Girl」「わがままに抱き合えたなら」と続き、代表的なアッパーチューンが駆けぬける。また中盤も、「愛のために 愛の中で」「LOVE」「離したくはない」「すれ違いの純情」「マリア」といったシングルナンバーのオンパレードには場内が盛り上がらずにはいられない。そして再び訪れたMCコーナーで、森友がメンバー4人の出会いについて語り始めた。

「どんな関係だと思う? 一番最初に会ったのが、俺と青木なんだよね。湘南のライブハウスでバイトしてて、DJブースでお皿(レコード)回したり、カウンターでカクテル振ったりしてて。週末になるとバンド目指してるやつらがデモテープ作りにきて、ちょっと力貸して?みたいなのが遊びにくるんだよね。そんなのに付き合って週末のリハーサル前に、お店をちょっと早く開けて手伝いをしてたんだよ。そんな頃に、あるボーカリストの子からオーディションに行ってほしいんだけどって話があって。“何それ?”みたいな。話を聞いてみると、その時、青木が組んでいたバンドがボーカルを探していて、そのオーディションの話でさ。その頃、忙しく学生生活していたんで、なかなか時間も合わなかったんだけど、合うことを決めたんだよね。藤沢ってあるの知ってる? 駅の改札口で待ち合わせして。まぁ行きゃわかるだろうみたいな。で、改札に行ったらいるんだよ! 悪そうなのが一人(笑)。“青木君?”って聞いたら、“そう”って。“あ、森友ですけど”って。それが初めての青木との出会いで。どう思ったの?」

「似た匂いがするやつだと思ったよ」とドラムの青木和義が、その時の印象を答えた。そして森友はこう続ける。

「俺はどう思ったのかな? やんちゃな感じだと思ったね。それでスタジオ入ってさ、俺もいろいろ生のドラムを聴いてたしさ、なんとなくどんなものか知ってたつもりだったけど、めちゃくちゃカッコいいわけよ。キックの連打がすごくて。でもその時は、学生生活もあるし、そのまま別れてるのよ。それから1年後だよね。コイツから電話がかかってきて。“一人になったからやろうぜ”って。勝手に一人になんなよ!みたいな(会場爆笑)。でも、コイツの勝手から始まったんだよね。物事が始まる時ってすごいよね。俺はその頃、大学3年生で次の自分の人生を親と約束してて。バンドをやるのはかなり型破りな方向に向いちゃうな、みたいな。でもどこかで歌や音楽ってものと真剣に向き合ってみたい気持ちがあって。その気持が、“やるんだったら、今やろうか”って。一番危険だったけど、一番やりたかったんだよね。青木と握手を交わして、そこからデモテープ作って、ひと月くらいかな。ライブハウスをガンガン巡って、新しいギタリスト探さなきゃなって時期があって。そこで五味さん登場。小さなスタジオに白のテレキャスターをソフトケースに入れた五味が来て。“こんにちは”の挨拶もないままドアが開き、こっちをチラッと見ただけでギターケースが開き、ギターを抱えて、“いつでもどうぞ”みたいな(笑)。嫌なやつだな~!みたいな。でも、青木のカウントが4つ入り、ガンッ!と音が鳴った時、“あ、このギター、カッコいい”って。その曲が1コーラス終わる前に“性格は二の次でいいや、コイツにしよう”って。未だに変わんないね」

というところで言葉を止めた森友。これに対して五味が、「何? 性格悪いところ? 俺も一言、言わしてもらっていい? 俺も“人間性はどうでもいいからコイツとやってみたいと思ったの”」と切り返すと、場内から笑い声と拍手が。上野との出会いは、森友が一度バンドを離れ、理想を追求するために作った5つのバンドの中にいたベーシストだったことも明かした。デビュー前まで巻き戻された時間を切り裂いたのは後半に演奏された13thシングル「SHAKE IT」だ。それまでのシングルとはガラリと雰囲気を変えたことでも注目を浴びたこのナンバーをはじめ、「傷だらけを抱きしめて」「My life is my way」などヒットチューンが立て続けに演奏され、本編が終了した。

アンコールに応えて、再びメンバーがステージに登場すると、五味にスポットライトが当たった。つま弾かれたギターのイントロは前二公演とは異なるナンバーだ。その楽曲「BOY」は、ファン投票で必ず上位に入る人気曲であり、メンバーの出産を祝して作曲されたもの。通常はピアノ演奏だが、この日はギターソロから幕を開けるスペシャルバージョンでのお披露目となった。続く「いじけた視線を語るより光を見たい」で場内をしっとりさせたところで、ついに最後のMCコーナーへ。“70年生きる鷹が、70年を過ごすためには、その人生の半分を超えたところで、自らがその先を生きるために過酷な準備をする”という例えを、森友はT-BOLANの新しい挑戦に照らし合わせながら語った。

「自分の選択、今日、一日一日を大事に、その先へと歩いて行けたらなと思います。ここからまた新しい挑戦です。同じ世代を生きている仲間として、その先へ一緒に歩いていきましょう」。その言葉に導かれるように「Heart of Gold」が披露された。“夢と勇気が あればそれでいい 諦めはしない”との歌詞が、決意と希望を照らすように響き渡った。そして、最後のメンバー紹介では、一人ひとりから感謝の気持ちが語られた。その言葉は4人の未来を映し出すようで、会場が感動と喜びに溢れた名場面となった。

「こんなに集まってもらって感謝感激です。ありがとうね。僕らの映画観てもらってわかったと思いますけど、後悔せずにこの道を突っ走ってきて、また後悔せず未来へ向かっていきたいと思います! で、未来を信じます! 本当にありがとうございました」──青木和義

「気の利いた言葉を考えながら演ってたんですけど、何も見つかりませんでした。で、やっぱり関わってきてくれたファンのみなさんとスタッフのみなさん、本当にありがとうございました。それと、青木、五味、嵐士、ありがとう」──上野博文

“昔から変わらずはみ出してて、わがままで格好いい最高のギタリスト”と森友が紹介したのは五味。「何回聞かれても同じなんだけど、この3人と出会えたことと、今日ここに来てくれたみんな、それと今日ここに来れなかった全てのT-BOLANファンに会えたことが、俺の一生の宝ものです。ありがとう!!」──五味孝氏

「みんな本当にどうもありがとう。こうやって山中湖で4人が再会して、もう一回ステージに立とうぜって気持ちをたてて。いろんな仲間たちの協力があって、賛同があって、そして何よりそれを待ち望んでくれたみんながいてくれて。この場所に立てた全てに感謝です。ひとつみんなにメッセージ。俺たちもどこかでこの復活を遠ざけて、無理だろうと思っていた時期がありました。自分の心の中を見ないふりをして、これでいいだろうと。でもさ、ちゃんと見ると本当は分かるんだよね。それを今回、俺たちは学んだ気がします。さっきも鷹の話しを通してそれを伝えさせてもらったけど、それぞれの人生にそれぞれの素晴らしさがあって。思うように行くことばかりじゃないかもしれないけど、覚悟を決めて自分で選択して歩くと、心の真ん中がしっかりしてくる。そんな気がしています。そして、その先にこんなに素晴らしい時間に辿り着くことができました。同じ時代を歩く仲間として、同じ喜びを感じあえる人生を歩んで行きましょう。今日は本当にどうもありがとう」──森友嵐士

ラストナンバーは「Smile」。この楽曲に全ての願いを込めて、全27曲180分におよぶステージに幕が下りた。

なお、T-BOLANの全てを網羅した完全限定のコンプリートBOXセットが7月10日に発売される予定だ。



◆<T-BOLAN LIVE HEAVEN 2014 ~ Last live for the future ~>
2014年4月26日(土)@渋谷公会堂セットリスト
オープニング映像
1.Only Lonely Crazy Heart
2.Be Myself
[MC]
3.悲しみが痛いよ
4.Bye For Now
5.おさえきれない この気持ち
6.刹那さを消せやしない
[MC]
7.じれったい愛
8.No.1 Girl
9.悪魔の魅力
10.わがままに抱き合えたなら
[Gt solo]
11あこがれていた大人になりたくて
12.愛のために 愛の中で
13.Lovin’ you
14.LOVE
15.INST(あふれでる感情)
16.離したくはない
17.すれ違いの純情
18.マリア
[タイトルコール]
19.Happiness
20.SHAKE IT
21.泥だらけのエピローグ
22.傷だらけを抱きしめて
23.My Life Is My Way
[ENCORE]
EN1:BOY
EN2:いじけた視線を君に語るより光を見たい
[MC]
EN3:Heart of Gold
[MEMBER紹介]
EN4:Smile

■WOWOW独占放送『ロックバンド ドキュメンタリー映画&ライブ特集』
・劇場版「T-BOLAN THE MOVIE ~ あの頃、みんなT-BOLANを聴いていた ~」
 2014年5月4日(月・祝)午後4時45分~
・T-BOLAN LIVE HEAVEN 2014 ~Back to the last live!! ~
 2014年5月4日(月・祝)よる6時30分~
[問]http://www.wowow.co.jp/t-bolan

■完全保存版アルバムBOX『T-BOLAN THE COMPLETE』
全オリジナルアルバムとアルバム未収録曲を収めた完全保存版BOXリリース決定!!!
2014年7月10日発売予定
【完全予約受注生産】ZACD-1002 税込17,280円(税抜16,000円)
・CD7枚組+特典DVD [本作のために編集したスペシャル映像収録!] 
・全曲デジタル・リマスタリング 
・32P ブックレット付(未発表写真掲載!!)
・全アルバムのジャケットを30cm LPサイズにリメイクしたスペシャル・パッケージ仕様[三方背BOX収納]
<収録CD>
『T-BOLAN』(1991.11.21発売)
1. 悲しみが痛いよ
2. 気絶するほど愛してほしい
3. くちびるはNO KISS
4. 離したくはない
5. DEAD END
6. Dreamin'
『BABY BLUE』(1992.4.22発売)
1. あふれでる感情
2. WALKIN' IN THE RAIN
3. JUST ILLUSION
4. Heart Of Gold
5. 想い出がさがしてる
6. Lovin' you
7. 薔薇色の悪女
8. Sorry My Love
9. Baby Blue
10. 離したくはない(アコースティックバージョン)
『SO BAD』(1992.11.11発売)
1. じれったい愛
2. ガラスの刹那さ
3. 瑠璃色のため息
4. My life is My way
5. ためらいの真実
6. あこがれていた 大人になりたくて
7. 壊れかけのHistory
8. BOY
9. SO BAD
10. サヨナラから始めよう
『HEART OF STONE』(1993.5.26発売)
1. びしょ濡れの優しさの中
2. すれ違いの純情
3. 涙の笑顔
4. Only Lonely Crazy Heart
5. Shiny Days
6. Out of Time
7. おさえきれない この気持ち
8. 泥だらけのエピローグ
9. Friends
10. Heart of Stone
11. Bye For Now
『LOOZ』(1993.12.8発売)
1. わがままに抱き合えたなら
2. 悪魔の魅力
3. Dear
4. 傷だらけを抱きしめて
5. 想い出の落書き
6. Hot Hip Love
7. 刹那さを消せやしない
8. Pretty Woman
9. Rockin' In The Life
10. 不安なくちびる
11. 真夜中のLove Song
『夏の終わりに ~Acoustic Version~』(1992.9.22発売)
1. サヨナラから始めよう
2. あふれでる感情
3. 遠い恋のリフレイン
4. Teenage Blue
5. Heart of Gold
6. 夏の終わりに
『夏の終わりに II ~Lookin' for the eighth color of the rainbow~』(1994.8.6発売)
1. 悲しみが痛いよ ~Acoustic version~
2. 泥だらけのエピローグ ~Acoustic version~
3. Lookin' for the eighth color of the rainbow ~8番目の虹の色をさがしに~
4. すれ違いの純情 ~Acoustic version~
5. シャイなJealousy ~Acoustic version~
6. マリア ~Acoustic version~
『アルバム未収録曲』(オリジナル曲)
・Hold On My Beat (1st SG C/W)
・Teenage Blue (3rd SG C/W)
・心のかたち (4th SG C/W)
・Words and Mind (5th SG C/W)
・鏡の中の嘘が微笑むよ (6th SG C/W)
・シャイなJealousy (7th SG C/W)
・Happiness (8th SG C/W)
・いじけた視線を君に語るより光をみたい (10th SG C/W)
・LOVE (11th SG)
・No.1 Girl (11th SG C/W)
・マリア (12th SG)
・心とかして (12th SG C/W)
・愛のために 愛の中で (13th SG)
・10 Years Love Story (13th SG C/W)
・Be Myself (14th SG)


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