【インタビュー<前編>】ギルガメッシュ、結成10周年記念アルバムにライヴを再現「遠回りはしたかもしれないけど、これで正解」
■当時はこんなにも一体感を生み出せる曲とは思ってなくて
■まさにライヴで成長させていった代表曲みたいな存在なんです
──つい先日、その“兄弟”事実が公表されましたね。
左迅:ファンには知ってる人もいたんで、「隠してたんだ?」っていう声もありましたけどね(笑)。
Яyo:なんか中途半端な感じでもあったんで、10周年のタイミングでちゃんと言うのも面白いかなって。でも、結構知らない人も多かったです。
──ちょっと歴史から話が飛びますが、バンド内に実際の兄弟がいるのはやりやすかったりします?
Яyo:まず、バンドのメンバーっていうこと自体、友達ではないし、何かを超越した関係だったりするじゃないですか。だから、なんか不思議な感覚があったりもするんですよ。
──兄弟 vs 左迅+愁みたいな構図になったりは?
左迅:まあ、そんなこともありますよ。やっぱり、同じ環境で育ってきた2人だから、価値観も似てるわけだし。
Яyo:オレ自身、“そう思われてるだろうな”って感じてたりもして。でも、そこはみんな割り切ってるというか、それがあって、これまで活動してこれたわけだし。メリットとデメリット、両方あると思います。ただ、メンバーの関係性で言えば、愁さんと弐は高校の同級生だから、僕からするとお兄ちゃんの友達なんですよ。左迅もお兄ちゃんの友達の友達みたいな感じで。同じ市内で育ってるし、そういう距離感の近さはみんなお互いにあって。
──そうなんですね。そういう地元のコミュニティや兄弟っていう繋がりがあると、音楽的にぶつかっても、受け入れたり許せたりするのかなと。
Яyo:うん、それはありますね。
左迅:こうやってちゃんとしたバンドをやったのはギルガメッシュが初めてだから、そういうことも言われて気づくんですよ。周りから「仲がいいな。そういう絆があるから続けてられるんだよな」って言われて、「たしかにそうかもしれない」って。
──それにしても、バンドとして世に認知されたのは結成からすぐのことですよね。かなり早かったと思います。2004年結成で、その年の10月には1stマキシシングルをリリースしているわけですから。
Яyo:凄く憶えてるのが、その初めて出した「【開戦宣言】~企画型円盤~」がオリコンのインディーズチャートで10位に入ったんです。それは自信にもなったし。
──好きな音を必死に鳴らしたら、パッと遠くまで届いたという。
Яyo:で、愁さん家に電話がかかってきたんでしょ?
愁:そうそう。「オリコンっていう人から電話がきたよ」って親に言われたんですけど、どうやら消費者金融だと思ったらしく(笑)。
──ウチの息子がやりやがったと(笑)。
愁:「問い合わせ先として住所を載せていいですか?」っていう電話だったんですけど、「実家なんでごめんなさい」と(笑)。
Яyo:で、結局どうしたんだっけ?
愁:メールアドレスとアー写だけ送って終わったんじゃなかったかな、たしか。
──そういう反響があると、バンドはかなり前向きになりますよね。
Яyo:だから、のめり込み方も半端じゃなくて。自主でやってたのは2年半ぐらいなんですけど、事務所に所属してからの7年より濃く感じるぐらい。今も必死にやってるのは同じなんですけど、ホントに濃厚な時期でしたね。
左迅:でも辛かったな~。問い合わせのメールはオレが対応してたんですけど、チケット予約ならまだしも、クレームもくるんですよ。ずっとPCの前に座ってて……あれはホントにもうやりたくない(笑)。
──そういった経験は後に活きますよね。
Яyo:ホントにそうですね。
左迅:あれを経験してるからこそ、スタッフがいてくれることのありがたみもわかるし、感謝もできる。そこが理解できるようになったのはよかったなと。やっぱり、ちゃんと地に足がつけて、しっかり這い上がってきたバンドは強いと思いますから。
──自主時代のサウンド面についてですが、当時はまた今と違った世界観を打ち出してましたよね。
左迅:若気の至りなところもありますけど、戦う術を知らなくて、とにかく必死に叩きつけてましたね。
Яyo:表現の仕方がそれしかできなかったというか。まずは作りたいモノを作る。それをやってく中で、いろんな方法を身につけ、今のスタイルになったのかなと。
──自主での活動を経て事務所も決まり、もっと外へ発信していくわけで、音楽的に考えることもあったのかなと想像しますが、そのあたりは?
弐:まだ、そこまでは考えてなかったですね。
左迅:1stフルアルバム『13's reborn』(2006年)のころだから、最初と比べると、アーティスト写真も少し垢抜けたのかなと(笑)。
Яyo:『13's reborn』に関して言えば、全体のバランスを初めて考えた作品ですね。ずっとストレートな曲ばかり並んでたら嫌になっちゃうじゃないですか。だから、どうやって音だけでストーリーを作るかっていう。
──自主時代から垢抜けたとはいえ、ヴィジュアル的には今とは異なる雰囲気だったりします。でも、その当時の楽曲も今回の『LIVE BEST』には収録されていますよね。
左迅:そうですね。変わった部分もあれば、変わってない部分もあって。ベストアルバムを作るにあたって“何がギルガメッシュの根底にあるモノなのか?”と考えたとき、「お前に捧げる醜い声」と「遮断」は選びましたね。
──当時と比べて、曲に対する印象は変わりました?
左迅:特に「お前に捧げる醜い声」は、今は起爆剤というか、ライヴになくてはならないものになってるんですけど、当時はこんなにも一体感を生み出せる曲とは思ってなくて。ただ怒りを吐き出して、内に秘めた感情を爆発させる曲だったんです。それがライヴを重ねていくことによって、オーディエンスと一緒にフラストレーションを発散するようになってきて。まさにライヴで成長させていった代表曲みたいな存在なんですよ。
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