【ライブレポート】THE NAMPA BOYS、新宿LOFT初ワンマンで魅せた情熱みなぎるステージ

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『彼女の目』という曲がある。
全楽曲の中ではそう派手な立ち位置にはなく、はっきり言って重くて暗くて苦々しいのに、ライブにおいてこれほどに絶対的な存在感を放つ曲は他にない。うごめくようなリズムと情感あふれるギターが渾然一体となって、多大な熱気を帯び、ギリギリの切迫感を感じさせた次の瞬間に、音が一気に解き放たれるのだ。会場にいると、まるで降り注ぐサウンドを浴びているような感覚に陥る。この日のそれはとびきりで、THE NAMPA BOYSの音楽的進化を認めないわけにはいかなかった。おそらくたまたまそうなったのだろうが、セットリストのど真ん中にこの曲が鎮座したことに、ちょっとした運命めいたものを感じなくもなかった。

◆THE NAMPA BOYS ワンマンライブ <~歌舞伎町バトルズ~> 画像

なにしろ、新宿LOFTでの記念すべきワンマンライブ<~歌舞伎町バトルズ~>である。ちょっとやそっとの盛り上がりでは、フロアいっぱいに詰めかけたオーディエンスが容赦しない。だからバンドはオープニング『到来』から手も気も抜かず、フルスロットルで行く。エモーショナルでセンチメンタリズム炸裂で、感情が彼ら自身をすっかりはみ出さんばかりの暴走ぶりだ。いや、大いにはみ出していた。実のところそれが何なのかは依然としてよくわからないのだが、とにかく情熱とか汗とか涙とかの化身みたいなものが今日もやっぱりステージにほとばしり、会場の温度はあっという間に上昇。序盤にして、オーディエンスはステージに完全にロックオンされた。

セットリストには、メジャーで発表された楽曲のすべてと、インディーズ時代の楽曲が数曲。少々感傷的に捉えるならば、デビューから1年半の集大成のステージと言っても過言ではない。それを知ってか知らずか、バンドはいつもよりずっと凛々しい姿を見せた。澤柳(G)が髪を切ってスッキリしたこととは関係ないが(でもこれが実に評判がいい)、音の一つひとつがくっきりと際立ち、パワーで押し切る場面と、テクニカルに聴かせる場面が1曲の中で見事に共存する。メロディやアレンジがもとより秀逸であることを、あらためて知らしめるようなパフォーマンスの連続だった。

「お前もやり続ければ、ロフトでワンマンできるんだぞって、今より6キロ痩せてた頃の自分に言ってやりたい!」(小林聡里/Vo&G)

その痩せていたらしい中学時代に作った『世界と色は』に、今現在のバンドの充実度を如実に表す『ネイヴァーリンの音楽家』を続けるあたりも心憎い。音楽的に成長したことへの感慨よりは、むしろその本質に揺るぎがないことへの驚きが大きかった。思春期からずっとエモかったのか、君らは!! と。

さて、例によっていろんなものがみなぎり、ほとばしり、すっかり手のつけようがなくなった終盤。会場にいちばん大きな花火を打ち上げたのは、やはり『MAKEINU SONG』だった。THE NAMPA BOYSを今もっとも象徴する楽曲であり、彼らの紛うことなきテーマソング。メンバー4人のシャウトにオーディエンスが呼応し、みんなで歌い、拳を上げ、文字通り会場がひとつになる。フロアが揺れて、ボルテージはマックス、この感情のピークこそがワンマンライブの醍醐味たるものだ。

「こういう景色を見ると、本当にバンドをやっていてよかったと思います。月並みですけど、僕らの音楽が好きで、共有してくれるみなさんに感謝しています。ありがとう」(小林)

爆発的な盛り上がりは、されどこの日に限ったことではない。現実的に、ここ最近はファンが増え続けていることもあって、イベント出演でも大いに会場は沸くし、どんな形態のライブであれ、バンド自体がスイッチを入れる術をすでに心得ているので、ドッカーンと打ち上がるだけなら珍しくも何ともないのだ。だけど今日のライブは、今までとは断然違った。会場にいる一人ひとりの高まりはそのままに、1ステージを作品としてみんなの記憶に残せた気がするのだ。平たく言うと、これまでのライブの盛り上がりがその場にいなければ共感できないものだったとすれば、この日はそのまま映像化しても、観る人にちゃんと伝わるだろうなと思えるほどに完成されていた。

なるほど、バンドはこうして一歩ずつ階段を上っていくのだなと、そんな風に感じさせられたライブでもあった。長野県松本市出身、メンバー揃ってまだ二十歳のTHE NAMPA BOYS、2014年への期待もおのずと膨らむ今日この頃だ。

文◎斉藤ユカ


THE NAMPA BOYS
<THE NAMPA BOYS ワンマンライブ~歌舞伎町バトルズ~>
2013年12月18日 東京都 新宿LOFT セットリスト
1.到来
2.螺旋インセクト
3.プランジ
4.ハロードリー
5.THIRTEEN
6.月照
7.彼女の目
8.Forward
9.世界と色は
10.ネイヴァーリンの音楽家
11.悪魔
12.MAKEINU SONG
13.夜明けの太陽
EN1.キャンバス
EN2.待つ元


◆THE NAMPA BOYSオフィシャルサイト
◆THE NAMPA BOYS Twitter
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