【インタビュー】WORLD ORDER、武道館公演を完全収録した映像作品リリース「今までにない新しいアプローチだということは自負しています」

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須藤元気を中心メンバーとして活動するパフォーマンスユニットがWORLD ORDERだ。2013年4月20日に開催した武道館ライブは、360°見渡せるセンターステージで、生演奏による音楽、頭上の円形モニターや床のLED映像、そして彼らのパフォーマンスが一体となった圧巻の空間だった。そして、このライブをひとつの到達点に、WORLD ORDERは“第2章”に入るという。
その武道館ライブ当日の模様を収録した映像作品『須藤元気PRESENTS WORLD ORDER in 武道館』が8月7日にリリースされる。ライブ当日の様子を振り返りつつ、新章に突入したWORLD ORDERの今後の展開について、メンバー全員に聞いた。

◆WORLD ORDER 拡大画像

■別ジャンルの人間がくることで新しい秩序が生まれたら楽しいなと──須藤
■全方位から観られるというのはめちゃめちゃ大変でした──落合

──格闘技をエンターテインメントとして表現することに強いこだわりを持っていた須藤さんによる本格音楽プロジェクトWORLD ORDERの、そもそもの結成の経緯から教えていただけますか?

須藤 :僕は高校生の頃に、格闘家になるかミュージシャンになるか、という2つの夢がありまして。それで格闘家を選択したわけですけど、もう1つの夢であるミュージシャンへの想いもずっとあったんです。それで引退後に、このWORLD ORDERを立ち上げたということです。

──音楽性としては、須藤さんの元々の音楽的志向が反映されていると?

須藤:結構、試行錯誤をしましたね。格闘家の僕がミュージシャンとして始動するわけですから、どういうアプローチなら受け入れてもらえるか、ということはすごく考えました。で、まず最初に須藤元気の名前が出てしまうのでソロでは無理だな、と。ならばグループにして、さらに格闘家とは別のイメージを持たせたかったので、スーツとメガネっていうビジュアルにしたんです。ただ、それでも国内では厳しいと思っていたので、逆転の発想で海外で勝負しようと考えたときに、ハリウッド映画に出てくるステレオタイプの日本人のようなアプローチで行こうと。その発想を基に、スーツでメガネ姿のグループが無表情で規則正しいロボットダンスを踊るという、現在のWORLD ORDERのカタチが生まれたんです。

──たしかに、グループ名となっているWORLD ORDERという言葉からして、世界を活動の場としていることがうかがえます。

須藤:“WORLD ORDER”は、直訳すると“世界秩序”という意味があるんです。今、音楽業界が飽和状態にあるなかで、僕みたいな別ジャンルの人間がくることで、新しい秩序が生まれたら楽しいなと。人生は見方次第で楽しく出来るっていうことをパフォーマンスを通して伝えられたら、と思ったんです。結局、理屈じゃないんですよね。僕らが海外で活動しようとしたときに、必ず日本語という言語障壁が生まれるわけですが、その壁を越えて表現するには、こういうアプローチがあるんだということを感じてもらいたい。人生誰しも課題や悩みを抱えていると思うので、自分自身に当てはめてみてくれれば嬉しいです。

──WORLD ORDERのパフォーマンスは超人的ですけど、同時に、同じ人間として、誰しもが可能性を秘めている、というポジティブなメッセージも感じました。肉体で魅せるパフォーマンスにはこだわりがありますか?

須藤:はい、そうですね。全部アナログなので。これだけCGや編集技術が発達している現在ですが、海外で勝負するなら逆に一切CGを使わないという(笑)。すべて逆転の発想なんですよね。たとえば、予算に限界もあるじゃないですか。ならばCGを使わずに、生で人間がどこまでできるか、どういう動きでどんな表現ができるかを突き詰めていくという。メンバーはみんな元々ダンサーとして超人的なものを持っている人たちですから。

──そのメンバーの方々は、どういったカタチで集めたんですか?

須藤:デモとなるミュージックビデオを作るときに、ダンスを習っていた先生に集めていただいたんですね。そこから今の7人組の基礎ができたんです。

──そのうえで、須藤さんがグループとして統率していったという?

須藤:どんなアプローチでどういったことを訴えていくかというのはみんなで話してやっているので、WORLD ORDERの世界観というのはメンバー全員が完全に共有しています。

──内山さんは須藤さんの格闘家時代、入場時のバックダンサーをやっていらっしゃいましたが、一緒に新たな音楽グループをやっていこうと思った理由はなんだったんですか?

内山:元々須藤さんのことは好きだったんですけど(笑)。最初はテレビで試合の入場シーンを楽しみで見ていて、「いつか何か一緒にやりたいな」って思っていたら実際に話がきたんです。それが最初で、WORLD ORDERもその延長線上にあったというか。

須藤:ウッチー(内山)の場合は本当に奇跡的なシンクロがあったんですよ。WORLD ORDERを立ち上げようと思ったとき、僕がダンスを習っていたPaniCrewのKASSANにメンバーを集めて頂いたんですけど、その中にウッチーは入っていなかったんですよ。でもみんなでデモを作ろうというときにメールがきて。それも恋文みたいな内容のメールが(笑)。

内山:ははは(笑)。須藤さんが踊ってるYouTubeの動画を見て、メールしたんです。

須藤:それで“今、こういうことをやろうとしてる”ってメールで返信したんだよね。タイミングがピッタリ合ったんで、ウッチーの場合は本当にメンバーになるべくしてなった感じ。でも、最初にメールがきて以降、ずっと返信がなかったんですよ(笑)。

内山:その頃、PCのメールってあんまり頻繁に見ていなかったから、須藤さんから返信をいただいていたことに気付かなかったんです。で、なんとなくPCを開いたらメールが来ていて。すでに締切が過ぎていたんですけど、ダメ元で連絡したら大丈夫だということで。一緒にやらせていただくことになりました。

──では、4月20日に開催された武道館公演についてうかがいます。この公演は、360°見渡せるセンターステージでのパフォーマンスだったわけですが、もともと格闘家として四方からお客さんに囲まれた状態で試合をしていた須藤さんにとっては、特別なことでもなかったという?

須藤:いや、今回はまったく違いましたね。WORLD ORDERのパフォーマンスは“面”で見せるものだったので、横からも後ろからも見られるという想定はなかった。そういう意味では、あえて自分たちの弱点をさらけだそうと思ったんです。それに格闘技は10分、15分くらいで試合が終わりますけど、ステージは1時間半(笑)。そこは大変でしたね。

落合:全方位から観られるというのはめちゃめちゃ大変でしたね。振り付けや立ち位置の変更をはじめ、それを揃えるところまで持っていくまでのリハーサルの時間が少なくて、結構みんなヒイヒイ言いながら当日まで準備をしたという。

──実際にこの武道館公演が行われるまで、どれくらいの準備期間があったんですか?

上西:年が明けてすぐのスタートでした。2012年から構想はありましたけど、やったことがないので、身体に振付が入っていない。それを直前まで詰めて詰めて、という感じでしたね。

──映像や音楽に、全角度からパフォーマンスをリンクさせなければならないわけですから。

須藤:やっぱり映像とのリンクが一番大変でしたね。

上西:リハーサルはステージを想定した体育館を借りて行ったりもしていたんですけど、武道館当日、ステージ上でリハーサルをするまで不安が拭いきれなかったですね。(笑)。

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