【インタビュー】LoVendoЯ、田崎あさひと<ミュージックフェスタ>音楽監督・中島卓偉に訊く。「『ザ・ベストテン』みたいなイベントに」

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2013年3月2日に横浜BLITZで開催された<ミュージックフェスタ Vol.0 presented by SATOYAMA movement in YOKOHAMA>。中島卓偉を中心に、アップフロントグループ所属のアーティストたちが、音楽の持つ無限の可能性を提示するというこのイベントが、ついに6月、<ミュージックフェスタ vol.1>として本格始動する。

そこで今回、vol.0に参加したLoVendoЯからボーカルの岡田万里奈とギターの魚住有希、そして<第2回FOREST AWARD NEW FACEオーディション>グランプリに輝きインディーズデビューした田崎あさひ、さらに本イベント全体を束ねているアップフロントの橋本慎 氏に同席してもらい、イベントの音楽監督を行なっている中島卓偉に話を訊き、彼の思い描く<ミュージックフェスタ>に迫った。

  ◆  ◆  ◆

── 今日は、<ミュージックフェスタ>について音楽面のプロデューサーをされている中島卓偉さんにお話をお伺いつつ、LoVendoЯの岡田さんと魚住さん、そして田崎さんに同席いただいて、卓偉さんのイベントにかける想いや構想を一緒に聞き、出演されているイベントについてお勉強していただく、という趣旨です。よろしくお願いします。

LoVendoЯ&田崎:よろしくお願いします。

中島卓偉:(笑)よろしくお願いします。

── 早速なんですが、このイベント、全体像が掴みきれていないというか。アップフロント所属のアーティストが登場する、というのはわかるのですが……。なのでまずはそのあたりから卓偉さんにお伺いしたいな、と。

卓偉:まぁ、うちの事務所のアーティストって、たとえば自分で曲を書いてる人と、アイドル的な活動をしている人。いろいろいるんですけど、これだけ会社は大きいのに、事務所ひとつの、くくったイベントってのがここ数年、なかったんです。

── 確かにそうですね。

卓偉:僕が移籍してくる前とか、もっと前ならあったんですけど。で、「やったほうがいいのにな。」ってのは個人的にはすごい思っていて。そしたら去年の暮れぐらいから「こういうイベントをやったらどうか?」って話が会社の中で立ち上がってきて。

── なるほど。

卓偉:で、やるんだったら、ジャンルとかもむしろバラバラのほうが面白いんじゃないかって。それを30代の、中堅の、ちょうどいい立ち位置だった自分が仕切らせてもらって、違うジャンルの人たちが集まってひとつの会場でひとつの音楽を鳴らすってのはどんな音楽になるんだろう、って。でも、それは回数重ねていかないと、イベントに色もつかないと思っていたので、だからこの間がvol.0で、次がvol.1なんですけど。

── ええ。

卓偉:自分、元々ロックという畑でやっていて、と、いいつつも音楽の大ファンなんです。だからどんな音楽も好きですし。日本てすぐ音楽をカテゴライズしたがって、ひとつの音楽を作ると「これは何のジャンルに当てはまるんですか?」ってことが非常に多いんですよね。海外とかそういうの関係ないですから。だからイベントをやる以上はそういうものにこだわってないんです、と。むしろこだわってないというのを大前提にやるイベントっていうか。それが3月のvol.0をやるときの、個人的な目論見でもありましたし。まぁ、発展途上なんです。vol.1でも見せ切れないところもあるし、vol.0より達成したところもあると思うし。……だから一言で言うなら「異ジャンル」ですかね。

── お店でたとえるなら“ドン・キホーテ”みたいな? なんでもある、みたいな。

卓偉:うーん、うーん。もちろん、なんでもありな部分もあるんですけど……なんかこう、今の時代、たとえば、誰々がどこどこでワンマンライブをやりました。誰々はこっちでワンマンライブやってます。……みたいなのかセパレートし過ぎていて、非常に面白くないんですよ。

── はい。

卓偉:また海外の話になっちゃいますけど、海外って基本的にワンマンツアーって絶対ないんですよ。ヘッドライナーなだけで。前座という言い方もないですし。コラボレーションで、アーティスト3、4組が一緒にワールドツアーを回るわけです。その中で、オープニングアクトとして出ていた人間が、ヘッドライナーのお客さんに向けていい演奏をしたことによって、アルバムが売れる。お客さんの動員が増える。そういうふうにして、お互いが成長していくやり方で、ずっとやり続けていくスタイルが素晴らしいと思うんです。ローリング・ストーンズやキッスのオープニングアクトをやって売れたバンドって数知れず、ですから。

── 確かに。

卓偉:それが縦社会でなく行なわれていることってすごい美しいと思うんですけど、日本って、そういう文化ってないんですよ、残念ながら。事務所同士が助け合いで「じゃあ一緒にやりましょう」ってのもなかなか難しいのかもしれないですけど。だからそれができない日本の状況の中で、「うちの事務所ならそれができる」ってのを証明したい、っていう気持ちもあります。ジャンルは関係ないってところをね。

── あー、なるほど。わかります。たとえばライブイベントではないですけど、アーティスト同士の対談なんかも、同じ方向性かもしれないですね。

卓偉:そうですね。そういうもので広がることって絶対あると思うんですよね。

── はい。

卓偉:松原(松原健之)くんと演ることも、僕にとってはすごい刺激で。ジャンルってことになっちゃうと、彼は「演歌」なのかもしれないですけど、日本という国の中でやっている以上は、ひとつの音楽として変わらないじゃないですか。こう、やることによってこの間の3月のvol.0でもそうですけど、違ったものが生まれるんですよ。自分も彼のフィールドに寄っていこうと思うし、彼もちょっとロック側に寄ってやってみようという気持ちになるので面白いんですよね。

── 今回、卓偉さんはバンドマスター、音楽監督という立場ですが、自分のライブではなく、こういうイベントに、いわゆるプロデューサー的な立場で関わるのは初めてですよね。最初「やってくれ」って言われた時、どう思いました?

卓偉:どう……うーん。「よっしゃ、まとめてやろう!」っていう気持ち、意気込みもありましたし。やっぱその、音楽って音を楽しむって書くように楽しいイベントになるようにってことも。あとはどうしても自分の好きなジャンルになっちゃうんですけど、60年代とか70年代の歌モノのロックンロールが大好きなので、田崎あさひが歌い終わった時は、後ろでバックコーラスとして参加してもらったり。アルマカミニイトにも。そうやって、楽器を使わずに歌で、ひとつの音楽をアレンジして作っていくというのを証明したかったんですよね。

── 歌で。

卓偉:そう。日本てハモリとかって、あまりでっかく出てこないんですよ。もちろんコーラスグループとかだと出るんですけど、歌える人間が集まっているんなら、楽器じゃなくて歌で会話するっていう。そういうことをやってるイベントってないと思うんですよね。それを見せたかった。

── 確かにイベントではあまりないですよね。テレビ番組だとあったりしますけど。だからvol.0の様子は、まるで卓偉さんが様々なアーティストが参加しているバンドを率いる吉田拓郎さんで、ともすればKinKi Kidsとか出てくるんじゃないかって。そんなテレビ番組のような、テレビ番組にもできるんじゃないかっていう感覚を覚えました。

卓偉:うん、それ『LOVE LOVEあいしてる』ですよね(笑)。でもそう言っていただいて嬉しいですね。

── じゃあ逆に田崎さんは、コーラスとしても参加してみていかがでした?

田崎:初めてやったコーラスっていうのもあるし、生バンドっていうのもあって、とっても新鮮で、音楽って奥が深いなぁって感じました。

── ちなみに田崎さんはどういう音楽が好きなんですか?

田崎:私はロックが大好きです。RADWIMPSさんが好きで。
(編集部 注:田崎あさひはRADWIMPSのライブを観て衝撃を受けたことが、アーティストになるきっかけだった)

卓偉:そうなんだよね。それ聞いて知ってて。

── 田崎さんのビジュアルと結びつかないというか、「え、そうなの!?」って感じですよね。意外というか……。

田崎:(笑)
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