【月刊BARKS 横尾忠則スペシャルインタビューVol.3】ロックへの目覚め、ザ・ビートルズとの出会い


世界を股にかけて活躍する、日本を代表する美術家の横尾忠則。彼の作品は世界規模で支持され、アートの世界には国境がないことを実感させる。
◆横尾忠則画像

「子供の頃はまず軍歌ですよ。それから歌謡曲。当時の流行り歌は、映画の中で俳優さんが歌う曲が多かったんです。外国の音楽を聴くようになったのはプレスリーが出てくるあたりだったけど、まだレコードは買っていなかったですね。自分も友達も、誰もプレイヤーなんて持っていなかった。せいぜいラジオで聴くぐらいでした。テレビはよっぽどの金持ちじゃないと持っていなかった。そういう時代ですよ。洋楽で最初に覚えているのは、ポール・アンカの「ダイアナ」かな」
ただ、グラフィック・デザインの道を志した横尾忠則は急速に海外の文化に親しんでいく。そんな中に、ザ・ビートルズがいた。
「僕は1960年に日本デザイン・センターという所に入るんですけど、それから2~3年した頃に、海外から送られてきた雑誌に、ザ・ビートルズが載っていたんです。見開き写真で、リヴァプールを背景にした薄暗い写真でね。当時はまだ彼らが世界制覇する前で、ザ・ビートルズというのが何なのかもわからなかった。まだラジオでもザ・ビートルズの曲も、名前も出てこなかった時代です。だから最初に意識したのは、彼らの音楽ではなくて、その名前と、4人のルックスでした。ルックスにインパクトがあったんで、そのページを破いて持ち帰ったのを覚えています」
ザ・ビートルズの何が、横尾忠則の目を捕らえたのだろうか。

面白いのは、横尾忠則が彼らの音楽より、ビジュアル性に先に注目したことだ。
「僕はよく、ルックスから入るんですよ。アンディ・ウォーホルもまずルックスで注目したし、ゴダールや三島由紀夫だってルックスから入っていった」
横尾忠則のザ・ビートルズとの直接の接点は、こんなものだった。

横尾忠則が本格的に海外のロックを聴くようになったのは1967年、ニューヨークに滞在していた時だった。
「それまでロックのコンサートには行ったことがなかったのに、いろんなバンドを観に行くようになりました。最初に見たロックのコンサートは、クリームでした。それからマザーズ・オブ・インヴェンションやジェスロ・タル、アイアン・バタフライ、ジェファーソン・エアプレイン…名前も覚えないうちに、いろんなバンドを見ましたね。それまで現代音楽とインド音楽は聴いていたんですが、ロックの魅力に取り憑かれました」
そして、横尾忠則がビートルズ・ワールドと直接の接点を持つようになるのは、バンドが解散した後、1971年のことだった。

そうして横尾忠則は、ジョンとヨーコと交友関係を育むことになる。
「2人と一緒に『デヴィッド・フロスト・ショー』というテレビ番組に出て、紙飛行機を飛ばすパフォーマンスをしましたね。この時、デヴィッド・フロストが僕のことを“日本のアンディ・ウォーホル”だと紹介しましたが、アメリカ人はよくこのような表現をするんですよ。当時ジョンには中国人の秘書がいてね。そのメイっていう娘(メイ・パン)が、いつもジョンとヨーコさんと一緒にいました。メイはよくホテルまで僕を迎えに来てくれました。
第4回では、横尾氏とさまざまなミュージシャン達との交流について訊いてみよう。
撮影:有賀幹夫
インタビュー・文:山崎智之
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◆月刊BARKS 横尾忠則スペシャルインタビューVol.1
◆月刊BARKS 横尾忠則スペシャルインタビューVol.2
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