DER ZIBET、約1年半ぶりのニューアルバム『ROMANOID』2部作を完成

ポスト
DER ZIBETがニューアルバム『ROMANOID II』をリリースし、2部作を完成させた。タイトルは“ROMANC E(ロマンス)”とギリシャ語のoid(もどき)を組み合わせた造語で、ロマンもどきという意味であり、アンドロイドのイメージも含んでいる。

DER ZIBETは、ジャパニーズ・ロック黎明期の1984年に誕生し、翌1985年にメジャーデビュー。シングル10枚、アルバム12枚、ベストアルバム4枚をリリースし、1996年に無期限の活動停止を発表した。90年代邦楽ロックのバブル期に活動した彼らは、他のどんなバンドとも違う圧倒的なオリジナリティーでもってその独自の地位を築いた。

グラムロック、プログレ、パンク、ニューウェイヴからハードロック、ファンク、シャンソン、ジャズといった多様な音楽性、それを自由奔放に取り込む高度な演奏力、なのに歌メロはあくまでもポップ。そんなユニークなサウンドがヴォーカル、ISSAYの端正なルックスと独自な美意識、そして文学的な詞の世界観とあいまって、エキゾチックで、この世のどこにもない孤高の存在感を生み出した。ゴシック風の黒づくめの衣装や、デカダン趣味が漂うムードが「ヴィジュアル系の元祖」としてリスペクトされ、現在もトップシーンに君臨し続けているBUCK-TICKを始めとする多くのバンドに影響を与えた真のオリジネイターである。

活動休止から13年の月日を経てDER ZIBETは奇跡的な経緯を経て復活。2009年に復帰後第1弾となるオリジナル・フルアルバム『PRIMITIVE』をリリースし、翌2010年にはデビュー25周年記念盤として初のセルフカバーを中心としたアルバム『懐古的未来~Nostalgic Future~』(櫻井敦司がゲスト・ヴォーカルで参加)を発表。数々の名曲たちの進化形をも音源に落としこんだ。

ヴォーカリストであり詩人であり、パントマイマーでもあるISSAYの“虚構の世界にこそ真実が隠されている”という哲学に貫かれた歌詞はまるで夢とうつつの逆転劇。憂鬱な王様という意味のオープニングナンバー「DOWNER KING」に導かれるように『ROMANOID I』のストーリーは幕を明け、“この世界はシャンパンの泡のよう”と歌う「泡沫の舞踏会」では、人生そのものが甘美で刹那な表現で綴られている。誰しもが時間という流れに逆らうことはできず、誰しもが出会い、そして別れていく。幻想とリアルが交錯する美しくも棘のある世界観はISSAYの真骨頂といっていい。そして、このアルバムから、わずか3ヶ月後という驚異的なスピードで7月25日にリリースされた『ROMANOID II』はよりロック色が強くグラマラスで、冒険心に富んでいる。セピア色の世界に生きていた主人公が、色彩豊かな現実の扉を開けたと思いきや、ラストには壮大なロマノイドたちの物語を締めくくる意外な結末が待っている。

楽曲と才気あふれるサウンドアプローチはバンドの原点と地続きのDERZIBETワールドだ。ロックバンドでありながら、結成当時からタンゴやシャンソンの要素を独自のセンスで取り入れ、異色で斬新であったからこそ、多くのアーティストやリスナーに衝撃を与えた彼らの音楽は、歳月を経て濃密な色気を放ち、圧倒的なスキルで他の追従を許さない。それでいてメインコンポーザーであり、ギタリストのHIKARUのメロディは普遍的な光を放つ。これまたマニアックとポップの逆転劇。ノスタルジックでもあり、未来的でもある本作には二重、三重にも楽しめる罠が仕掛けられている。

過去をふりかえると、DER ZIBETのポジションを決定的にしたのは1991年に発表された2枚のコンセプトアルバム『思春期 I』、『思春期 II』だった。21年ぶりに発表された『ROMANOID』2部作。世紀をまたいで新たな伝説が生まれるだろう。

『ROMANOID II』
DDCZ-1806 \2,800(tax in)
発売中
1.約束の海辺
2.裸足のLady Doll
3.TEENAGE SCREAM
4.狂った惑星
5.アルルカンの涙
6.あるロマンティスト達の死
7.SISTER ROMANOID
8.PASSING LOVE
9.VOICE OF THE CELL
10.SHELTER?
11.蜃気楼へ
12.真夜中のかげろう

◆Der Zibetオフィシャル・サイト
この記事をポスト

この記事の関連情報