MAY'S、みんなが笑顔になれる結成10周年記念アルバム『Smiling』リリース大特集

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MAY'S

4thアルバム『Smiling』、Remixアルバム『Remaking ~Remix Collection Vol.2~』2枚同時 2012.06.13リリース

INTERVIEW

手術のあとまったく唄えなくなって
イチから歌を始める人のような気持ちで

――舞子さん、声帯結節、大変でしたね。

片桐舞子(以下、片桐):声帯結節って、言ってしまえばヴォーカリストにとっては職業病として、向き合わなければいけないものなんですよ。私の場合、5~6年前から症状としては持っていて、そこまでひどくはなかったので、主治医の先生にもついて、ケアをしながら共存するような感じだったんですね。メジャーデビューしてから、年間百何十本っていうライヴを続けてやって、レコーディングもしてっていう行程をやりながら、リリースの頻度も高かったり、プロモーションもありますしね。自分も手が抜けない性格なので、なんでも全力投球しすぎちゃったのかなってところもあって、去年は調子が良くないなって思う瞬間が何度もあったんですよ。

――ヴォーカリストの宿命ですね。

片桐:それでも喉とコミュニケーションをとりながら、唄えていたんですよね。活動を休止する前は、一ヶ月かけてツアーをまわっていたりして、そこまではなんとか乗り越えられたんですが、ツアーが終わったことで、喉的にも役目を果たした感じがあったのか、調子が悪くても唄えるっていう自信があったのがいけなかったんですよね。最終的に、自分がどうやっても唄えないっていうところまでいってしまって、そこで初めて、「もう唄えない」っていうことを伝えて。

――ぜんぜん声が出ないんですか?

片桐:はい。出ないし、まだかすれていて声が出るような状態ならいいんですけど、今日は絶対に調子がいいって思った日も唄えないんですよ。その時に「あぁ、もうダメなんだなぁ」っていうのをすごく感じたというか。自分自身が頑張ってももうダメなんだって感じた以上に、後ろで聞いてるスタッフやメンバーはわかってくれると思ったんですね。主治医の先生からも手術しましょうっていう指示が出てましたので、それを伝えて。

――手術するのは不安でしたよね。

片桐:メスを入れることは不安は不安なんですけど、何をしても思うように唄えないっていうストレスのほうが大きくて。唄える喜びを知っちゃってるぶん、できるはずなのにできないということがもどかしいというか。だから、手術をするっていうこと自体は不安だけど、プラスに向かって行くためのことだからっていう感じで。一番しんどかったのは、手術のあとですね。まったく唄えなくなっちゃったので。喉で一番使っている部分が結節になってしまったわけですから、筋肉も一回落としてしまうので、経験とか知識として体に染み付いているものがあるのに、それがまったく表現できないんです。復帰までの中で、一番しんどかったのは、唄いはじめてからですよね。

河井純一 a.k.a NAUGHTY BO-Z(以下、河井):リハビリね。

――あぁ。リハビリして元に戻ればいいですけど、戻らないんじゃないかっていう不安ですか?

片桐:はい。正直焦りました。手術したらすぐに声が出るのかなって思ってたので。まったく思うように唄えないってことに直面して。これは、今までやってきたこともあるけど、それを忘れて、今から歌を始める人のような気持ちでやらないとダメだなって気持ちを切り替えてから、やっと声が出るようになってきたんです。

――初心よりももっと重いですね。

片桐:はい。毎日喉に聞いているような感じですよ。どこが一番鳴りやすいんだろうって、毎日探してましたね。

河井:手術したあと、思うように唄えるようになるまでは半年くらいかかるっていう話を周りの人に聞いてたんですけど、ここまで唄えないものなんだって。

片桐:唄えないというより、下手すぎですよね(笑)。

河井:変声期の男の子みたいな感じなんですよ。声が裏返っちゃったりとか。生まれたてみたいだったもんね。

――そこで自分の喉と対話して、どこが一番鳴るのか色々研究したぶん、今は、手術前よりも、自分の声や歌に対して知ることができたんじゃないですか?

河井:そうですよね。今までは良くも悪くも、声を出すことに対して頭を使ってはいなかったと思うんですよね。向き合う機会だったよね。

片桐:うん。結成して10周年なんですけど、MAY'Sで10年唄って来ただけじゃなく、実家が民謡の先生をやってるので、唄うことは小さい頃からやってきていることなんですね。そんな風に30年唄ってきてる私が、もう一回、歌と真剣に向き合って、必死でうまくなろうとするっていうことってなかなかないと思うんです。うまくなろうっていう苦労はそこまでせずに、自然な流れで唄って来る中で身につけて来たものだったから、とにかく歌がうまくなりたいってガチで思ったのは初めてだったんですよ。だから、そこがすごく自分の中でも新鮮だったし、この年になって、こんなにガムシャラになれるんだから、まだまだ未来は楽しいんだろうなって思ったりはします。

「Smiling」っていう言葉は私たちのテーマ
みんなが歌で笑顔になってほしい

――そんなところから、また笑顔で唄えるようになって、今回の4thアルバム『Smiling』ができたのは、大きな意味がありますね。タイトルの意味も含め。

片桐:そうですね。「Smiling」っていう言葉は、私たちのファンクラブの名前でもあるんですよ。いつからか、私たちの活動のテーマとして、笑顔になれるっていうのがあるんですね。私たちがみんなを笑顔にして、みんなの笑顔で私たちも笑顔になって、笑って一緒の時間を過ごしましょっていうのは、ファンの人も思ってくれているキーワードっていうか。私たちにとって、MAY'Sという名前と同じくらい、「Smiling」っていう言葉が大事であり、自分たちを象徴する言葉なんです。ちょうど結成10周年っていう年にリリースするアルバムで、10年の中で一番の壁を乗り越えてまたリリースするアルバムで、これ以外のタイトルはないよねっていう感じでした。

――ボリュームもありますが、内容が濃いですね。特に「SKY」は、今の気持ちがすごく現れていて、伝わるなぁと思いました。

片桐:これはもともとサビだけがあったんですよ。私自身も、活動休止したり手術したりする中で、この曲のサビだけはひたすら繰り返し自分で聴いていて。自分自身を支えてくれるメッセージだったんです。自分が描いてる言葉に自分が励まされるっていうのもおかしな光景なんですけど(笑)。でも、自分でこう言ってるんだから、きっと大丈夫だっていう励ましで。じゃあ、復帰してまた唄えるようになったら、この曲は自分の曲として書こうって決めていて。すごく自分らしい曲だなぁって思いますね。

河井:完全に自分のことだもんね(笑)。

片桐:そうそうそう。こんなにも自分のことしか描いてない曲があっていいのかっていう。

――歌詞に出て来る「あなた」は自分なんですか?

片桐:自分であり、自分にとっての音楽とか歌。ファンの人だったり。普段、「あなた」という部分にはいろんなものが入るんですけど。自分が大好きなすべてというか。

――「Intro~Prologue Of Smiling~」からのオープニングに相応しいですね。

河井:うん、そうですね。この2曲でオープニングっていうイメージで。だから、真の一曲目は「Smiling」なのかもしれない。

――タイトル曲ですしね。4曲目「Crazy About You」のギターの雰囲気もいいですよね。

河井:そう。こういうロックっぽいアプローチは意外とやってなかったので、個人的に僕も好きなんです。いつもアルバムのリリースが冬だったので、サマーチューンが入れられなかったんですよ。だから、今作では夏っぽいことも気にせずにできるなぁということで、「Crazy About You」なんかは夏を意識して。

――他にも「夏がくれたストーリー」とかもそうですよね。

河井:はい。アルバムタイトルの「Smiling」っていうワードからしても、ポジティヴでカラッとしたイメージですから。

――上妻宏光さんとコラボした「今宵、月の下で feat. 上妻宏光」は和のテイストとMAY'Sサウンドを融合させていますし。舞子さんは元々、民謡をたしなんでらっしゃるから、こういうテイストも馴染んでいたりするんですよね。

片桐:はい。でも上妻さんっていうのは、昔からすごく大好きで聴いていたので。上妻さんの三味線って、なんでこんな弾き方ができるんだろうっていう感じですよね。以前も木乃下真市さんっていう、津軽三味線の方とコラボさせていただいていて。日本では木乃下さんと上妻さんって二大巨頭として津軽三味線界を背負って立っている人たちなので、民謡界からしたらMAY'Sはかなり贅沢なことなんですよ。

河井:尺八は舞子のお父さんだしね。

片桐:そうなんですよ!

――河井さん自身は、こういう和のメロディに対してはどういうアプローチなんですか?

河井:三味線とか尺八は扱ったことはないので、どういう楽器かっていうのは、いい意味でわかってないからこその使い方ができると思うんですよ。あと、こういう楽曲のときは舞子が頼りになりますね。演奏者の方に伝えたいんだけど、どう言っていいかわからないじゃないですか。奏法だったり。そういうことを通訳してくれるので。

片桐:歌以外のことでも、そういうときは頼れるんですよ(笑)。

このアルバムはほとんどが新曲
音楽って楽しいということを感じた

――「I Remember You」は歌詞の世界観として、すごいイメージが広がる曲になっていますね。

河井:映画的な感じでね。

片桐:切ないという言葉が、今はすごく軽くみられていますよね。でも、色んな切なさがあって、もっともっと深くて。その切ないっていう一言ですましてほしくないっていう気持ちで描いたので。

――うんうん。登場人物の裏のストーリーを想像しちゃいますよね。どんな物語があったのか、気になってしまう。

片桐:(小声で)狙い通り(笑)。

――LL BROTHERSが参加した「YOU&I」はすごくカッコいいし。

河井:ニュージャックスウィングというテイストを入れてるんですけど、LL BROTHERSさんは、そのジャンルでダンサーとして一世を風靡した方達で、イメージとしてもパイオニア的なところがあるんです。僕らも、MAY'S=ニュージャックスウィングみたいなところを確立したかったのでオファーしたんです。ちょっと懐かしい感じで。

――本当にいろんなバリエーションの曲が収録されていますよね。こんなに曲数があるのに、どれも輪郭が際立っていて印象に残る。

片桐:最近はアルバムって10曲とかそのくらいが主流になってますけど、MAY'Sはコンスタントに16曲とか入れていて、最近は聴くほうが大変なんじゃないかって思うんですよ(笑)。いつもはシングルを2枚、3枚切ってる中でのアルバムなので、アルバムの新曲ってそんなに多くなかったりするんですよ。でも、今回はシングル1枚のアルバムなので、ほとんど新曲。久しぶりに制作してレコーディングして、作ることが楽しいって改めて思えて。音楽って楽しいねって、今回のアルバムでは、作っているときからそういう雰囲気があったので、悩むんなら入れちゃえって。

――しかも、同時発売のリミックスアルバム『Remaking ~Remix Collection Vol.2~』がすごいことになってますね。英詩なんですね。

河井:そうですね。英語バージョンで唄い直して。曲によるんですけど、トラックも差し替えたものもありますし。こっちもこっちでオリジナルみたいな感覚で聴けるかなぁと思います。

――ツアーももう決まっていますね。

片桐:夏にはイベント出演も決まってますしね。それも嬉しいです。ツアーは、通常のツアーというよりも、結成10周年でもあるので、アニバーサリーのツアーにもなるし、去年のツアーが終わったあとに活動休止をしたので、今年のツアーがある意味で復帰ツアー、ただいまツア-なので、また盛りだくさんな内容になるんじゃないかなぁと思います。

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