LIV MOON、白と黒のファクターが交叉する戦慄のコンセプトアルバム『Symphonic Moon』特集
LIV MOON
3rdアルバム『Symphonic Moon』 2012.1.18リリース
INTERVIEW
AKANE LIV:2011年の3月にリリースした『GOLDEN MOON』という作品の中に「BLACK RUBY」という曲があったんですけど、その曲では今までになく全編地声、低音で歌ったんです。それがリスナーの方から凄く好評で。だったら、地声を生かした楽曲を増やそうと思ったのと、今までの1stアルバムからの流れを踏襲した曲、その両方をやりたいなと思っていて。そうなったときに、色分けして、「黒(ブラック)LIV」が低音を司っている神、「白(ホワイト)LIV」が高音だったりピュアな世界を司る神というコンセプトが生まれたんですよ。
AKANE LIV:そうなんです。5曲目の「氷の棺」という曲を録ったあとにジャケット撮影をしたんですね。「白LIV」「黒LIV」、それぞれの衣装を着ての撮影を経て、「黒LIVならこう歌うだろう」とかがイメージできて、すごく唄いやすかった。キャラクター作りをしっかりしてから本格的にレコーディングに入れたのは良かったですね。今まで、キーをどうするか、どの声質で唄うか、そういうことで時間がかかっちゃっていたんですけど、プリプロもしっかりできたし。レコーディング本番になったときはもうそのキャラになって唄うということがスッとできたから、凄くやりやすかったですね。
AKANE LIV:2010年に『COVERS~Scream As a Woman』というカバーアルバムを出して、そのあとにスウェーデンに行ったんです。そしてLIV MOONの曲を向こうのアーティストの方と一緒に演奏したんですけど、そのときに西脇さんも一緒に来てくれて。せっかくそこで見た北欧の景色を楽曲にも出したいよねって話はしていたんです。それで前作でも、一緒に共有した景色を話し合って曲にするっていう作業をしているんですね。そういう意味では西脇さんとは誰よりも長く制作をしているので、イメージの共有はしやすいんですよね。
AKANE LIV:はい。どの作曲家さんも映像が見えてくるような曲を作りたいっておっしゃってて。KAZSINさんは実際に映画のサントラとか、映像関係の音楽のお仕事もされている方ですし、曲をいただいたときから映像が浮かびやすかったんです。そういう意味でも今回は、LIV MOONのシアトリカルな世界に合った楽曲が集まったので。
AKANE LIV:確かに似ていますね。ただ、ミュージカルと違うのは、ミュージカルはもう五線譜になった状態で楽譜を渡されるんです。でもLIV MOONのときは歌詞だけ。かえって歌詞が大切で、頭に入ってくるんです。楽譜を見ると音符のほうに捕われちゃうんですけど。最初の頃はそれが慣れなくて、五線譜に起こしてもらわなければリズムがわからなくなったり。でも、今は歌詞だけのほうが、最初に自分が受けたイメージで、歌詞の世界観を唄えるようになったので。今回くらいから特に掴みやすくなりましたよね。
AKANE LIV:『COVERS~Scream As a Woman』でカバー曲を唄ったときに、その一つ一つの英語の歌詞を細かくひも解いてったんですよ。その作業っていうのは、日本語の歌詞になっても生かされたんだと思うんですよ。ここはもっとこうしようとか。
AKANE LIV:震災後に初めて作るアルバムだったので、前向きで力強いメッセージ性のある曲というのもやりたかったんです。「The Last Savior」なんかは、そういう私の思いを西脇さんが曲に込めてくださっていて。「黒LIV」では死、「白LIV」では生をイメージしてるんですけど、作詞家さんともそういう話をしているので、皆さん汲み取って書いてくださいました。「心月世」なんかは生きることに焦点を当てていますけど、人生そればかりではないですからね。ブラックがあったほうが白も引き立つし。でもグレイな部分もあるじゃないですか。
AKANE LIV:震災のあとにラジオやテレビのニュースが重いものばかりのときに、久しぶりに音楽がかかって自分が救われたという想いがあったんですよ。悲しいときや頑張らなきゃならないときに、言葉だけじゃなく、音楽を聴いただけで人の気持ちは動くから。私だけじゃなく、震災を通して、皆さんが色んな事を感じたと思うんですけど、そういうことが知らず知らずのうちに色んな楽曲に反映しているのかもしれませんね。
AKANE LIV:「氷の棺」は今までのLIV MOONのファンタジックな部分が出ている曲ですね。初めてAlice iceさんに歌詞を書いてもらったんですけど、歌詞とメロディがこんなにも合うと、自分の持っている声だけじゃない部分で誘ってもらえるんだなぁという感覚に陥って。良い意味で。一曲目でそういう風に持っていけたから、それ以降の曲が広がっていったんだと思いますね。「Amen!」なんかは吸血鬼になったつもりで唄ってますし、でも「Kiss me Kill me」は、キャラで唄っているんですけど、自分の中の素の部分が出ているなぁと感じます。最後の曲「Masquerade」では「黒LIV」「白LIV」の両方が出てきて、一つの「LIV」となって溶け合って唄うという。
AKANE LIV:清水さんに作っていただいた曲なので、最初にもう清水さんのギターが入っていたんですね。歌録りのときも、その清水さんのギターが誘導してくれているような部分もあって唄いやすかったです。逆に、その他の楽曲でギターを弾いている大村孝佳くんは自分で作っていない曲のギターを弾くということで、譜面より歌詞を先にもらう人なんです。歌詞の世界に沿って弾いてくれるので、私が歌で泣いているとギターでも泣いていて。そういう部分で、それぞれの個性も出ているし。今作のレコーディングは大村くんも「楽しい」って言ってくれていて。前は一生懸命やっていたけど、今回では彼自身も見えていたところもあったみたいで、「こんなのどうだろう?」って考えてくれたり。KAZSINさんは大村くんと仕事をするのが初めてだったんですけど、「自分の曲を広げてくれた」って絶賛してましたね。
AKANE LIV:はい。「The Last Savior」のレコーディングのときの話なんですけど、先に西脇さんがキーボードソロを入れてたんですね。そのあとの大村くんのギターソロがめちゃくちゃ良くて。そこに西脇さんが対抗心を燃やして、録り直したんですよ。闘っているようなソロ対決になったんです。セッションではないのに(笑)。でもそのおかげでまた楽曲がもう一段階上に行って。そういうのも、もう何度か一緒に仕事をしているからできることですよね。初めましてだったら「なんだお前!」みたいになっちゃうかもしれない(笑)。
AKANE LIV:たぶんそこです(笑)。
AKANE LIV:そう。みんなそれぞれの個性がLIV MOONの中でも出てきているし。
AKANE LIV:今作は特にわかりやすくしたいという思いもあったので、そういう感想は嬉しいですね。一作目はみんなの中でも手探りでやっていた部分もあるんですけど、今はリスナーの方達もはっきり見えてきたし、皆さん、メタルファンの方がLIV MOONも応援してくださっていますけど、バリバリのメタルを求めているというよりは、良い音楽だったりメロディアスなものを受け入れてくれるから。最初は自分の声ってメタル的にどうなんだろうって思っていたけど、それは自分が自分の中で小っちゃい壁を作ってたなと思って。聴いている皆さんのほうが大きく構えてくれていたから。自分の良さを生かしていこうという形がとても良いものになったなと思うんです。
AKANE LIV:そうですね。一枚目のときの風変わりな声は、ちょこちょこっと出すことによって、もっと面白みが出るんだなってわかりましたし。でも、それも出してみなければわからなかったことだし。ようやく自分の声の使い方もわかってきましたね。
AKANE LIV:QUEENは大好きですけど、それよりも、前作の中で「BLACK RUBY」という曲があんなにウケるとは思わなかったというところですよね。それがすごく自信になりました。地声をもっと使おうって。本当だったら二枚組でもいいなと思ってたんですけど……っていうことは、QUEENにも影響されてますね(笑)。QUEENの『JAZZ』というアルバムに収録されている「Mustapha」という曲が大好きなんですけど、私の中ではナンバー1のバンドですね。聴くだけで、体の中の色んなものが動くというか。毛穴が開くものもあれば涙するものもあれば。特別なバンドです。
AKANE LIV:ひな祭りの3日は「白LIV」で。翌日はガラリと変わって「黒LIV」として。衣装もメイクも全部変えて、楽曲も変えます。どうせ2デイズだったら、まったく違うものを連続でやったほうが面白いじゃないですか。
AKANE LIV:そうですね(笑)。でも、実は同時進行のほうがアドレナリンが出ているんでいいんですよ。両方に生きることがあるんで。たまたま重なっているんですけど、すごくやりがいがあります。年明けから充実していますね。
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