UNCHAIN、3ヶ月連続リリース 洋楽・邦楽カバー『Love & Groove Delivery』特集
UNCHAIN
『Love & Groove Delivery』3か月連続カバー楽曲配信リリース 2012.1.15~配信限定 「SUPER GIRL」「BEST OF MY LOVE」
INTERVIEW
谷川正憲(以下、谷川):僕らは中学の同級生なんです。佐藤は学年が1つ下なんですけど。さすがに当時はブラックミュージックも聴いてなかったし、存在すら知らなかったくらいなんですよ。
佐藤将文(以下、佐藤):僕は中学時代エリック・クラプトンとかカッコつけて聴いてましたけどね(笑)。渋~いのがカッコいいと思って。
谷川:僕はビジュアル系も聴いていたし、世代は違うけどブルーハーツが学校で大流行していたり。高校時代はHI-STANDARDとかメロコアばかり聴いてたんですけど、音楽の専門学校に入ってからオッサン臭いものにハマり出しちゃったんです。僕が好きになったら、他のメンバーもそういう楽曲をバンドでやらざるをえなくなりますよね。その時、佐藤はいなかったんですけど、佐藤は元々渋いのが好きですから、加入してもらうときもまったく問題にならず。
谷川:ベースの谷くんが盲腸になって。
佐藤:そうなんですよ(笑)。僕はギターだけどコーラスをやるためってことで、急遽ギターを1本増やして4人編成にしようと。それがなかなか良かったのでそのまま加入したんです。
谷川:佐藤が入ってすぐにインディーズでデビューしたんです。その頃から今のような音楽性だったんですけど、僕しかブラックミュージックはそんなに好きではなかったんですよ。でも、バンドでやりたいから、今までやってたメロコア的なものにそういう要素を混ぜ込んでみるという。それを試行錯誤の末に形にして、インディーズの最初のアルバム「the space of the sence」ができたというわけです。
谷川:はい。全部英語でした。それまで自分が好きだったHi-STANDARDが英語の歌詞でしたから、そこにも影響を受けて。メジャーデビュー後「Across The Sky」から日本語の歌詞を歌うようになったんですけど、最初は日本語で歌うのに抵抗があったんです。だから作詞の仕方も、日本語で歌っていても英語のような耳触りになったらいいと思って作っていました。最近は考え方が変わってきて、2011年6月にリリースした『SUNDOGS』というアルバムからは、日本語しかない中で、どう聴かせたらいいか、僕が言いたいことはなんなのかを考え始めるようになって。
谷川:前はメロディと歌詞は別々に考えていたけど、同時に考えるようになったり、歌詞から書いちゃったり。前はメロディに合わなければ歌詞を差し替えたり言葉を探す作業だったけど、歌詞から書くとメロディを差し替えたり、どういうグルーヴにしようかとか、逆転してしまって混乱することもあるんです。
谷川:はい。選曲は、僕たちが好きで聴いてきていて、当たり前ですが、ちゃんとリスペクトしているアーテイストの曲を選びました。次のアルバムにつなげたいという気持ちがあるので、次のUNCHAINはこういうものだというのを徐々に見せて行くような感じで、わかりやすく表現するのはカバー配信なのかなと。例えば第一弾で配信されたのは宇多田ヒカルさんの「Automatic」ですけど、宇多田さんは僕らと同じ年なんですね。誰もがそうでしょうけど、テレビとかでもよく聴いていて、すごく好きでした。言葉の選びかたも好きだし、音楽的にもR&Bとかブラックミュージック。ローリン・ヒルやエリカ・バドゥの要素もあったりして。次のUNCHAINはブラックミュージックっていうのをいかにポップミュージックとして届けるかっていうのがテーマの一つだったりするんです。「Automatic」ってまさにそうで。ブラックミュージックだけどJ-POPの王道じゃないですか。
谷川:そうそう。まさにそういう曲。日本人のみんなに聴いてもらったら、どんなにブラックミュージックの要素が濃くてもJ-POPになるわけで。僕らもそういうものを目指したい。で、僕たちなりに「Automatic」をもっともっとブラック寄りにしてやってみたんですけど。
谷川:(笑)ハービー・ハンコック的な、わざと音をぶつけちゃうというような。マニアックなアレンジになっていますけど、それでも「Automatic」なのでポップスなんですよね。2月15日から配信される「丸の内サディスティック」にはファンクの要素を足してみたりとか。
佐藤:「丸の内サディスティック」はちょっと前からアコースティックでやってたんですよ。それをUNCHAINとしての形で見せられたらいいなと。
谷川:有名な曲でやるからこそわかりやすく、次のアルバムで僕らが目指していることがわかりやすいかなと。
佐藤:自分たちの曲ではない有名な曲だから、思い切って色々できましたよね。「Automatic」もコード感的にはなんとなく違和感とかもあったりしたんですけど、その流れで今アルバムの制作をしていると、コード進行とかコード感的に違うアプローチができるようになっているなと感じますね。あと、日本語でやるようになってきてから、表現の幅も広がってきたんですよ。それまでは言葉というよりも音で勝負というところがあったんですね。今でもそうなりたい部分はあるんですけど、言葉を聞かせるというところでは単純に音数を減らすことも考えますし。今までもカバーはやってきているんですけど、今回はJ-POPにチャレンジしたんで、言葉を聞かせるとかメロディを聴かせるということを掴みかけてきたと思います。
谷川:オリジナルはものすごい音数が多いんですよ。それをトリオ編成のイメージでアレンジし直して。ジョン・メイヤートリオになったようなつもりで(笑)。
谷川:そうですね。思いっきりブラックミュージックを選びました。結構、そのまま演奏してますね。「Automatic」とか「丸の内~」と抱き合わせで出すことで、ブラックミュージックを聴く入り口になったらいいなぁと思いましたし、UNCHAINがやれば、僕らの音楽が好きな人は聴いてくれると思ったので。ブラックミュージックをJ-POPとつなげるものになればいいなと。
佐藤:ここまで楽しいレコーディングというのもなかなかなかったですよ。名曲をチョイスしてますから、どうやっても名曲にしかならないですから。なんでこれが自分らの曲じゃないんだろうって思いながらやってました。洋楽カバーでアレンジをそんなに変えていないのは、バンドでグルーヴを学びたいなぁというところもあったんですよね。ありもののフレーズをどれだけ原曲のようなグルーヴで演奏できるのかという挑戦で。
谷川:今回の配信は「Love & Groove Delivery」というタイトルがついてますからね。これで得たグルーヴをうまいこと次の作品に反映したいです。曲さえ良ければブラックミュージックはJ-POPとして聴いてもらえるんだって、僕らもそこを突いて行きたいですよね。次のアルバムでは、今回のカバーで得たグルーヴを大切にしながら、いかにブラックミュージックを盛り込むか。ポップ・ミュージックとしてブラックするか。2011年は震災もあって凄く大変な一年だったし、諦めかけている人もいると思うんです。心の中にたぎっている炎がなくなりかけている人に向けて、9回裏2アウトの逆転満塁ホームランを打てるんだぞというようなアルバムを届けられたらいいなと思います。
※ライヴの模様は、<ライヴレポート>のページに掲載しています。
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