大佑一周忌追悼公演、大盛況のうちに終了~そして彼は、永遠の存在になった

ポスト

▲大佑 一周忌追悼公演「漆黒の光」より蜉蝣 撮影:河井彩美
7月15日、東京・新木場STUDIO COASTにて、ちょうど1年前のこの日に急逝した大佑(蜉蝣、the studs、大佑と黒の隠者達)の一周忌追悼公演「漆黒の光」が開催された。平日の午後1時半開演という異例の形式での公演となったが、故人と所縁の深い出演者たちによる真摯な熱演に、超満員の観衆は6時間に渡って熱狂した。

一番手として登場したのはギルガメッシュ。蜉蝣のローディを務めていた過去のある愁(B)。彼自身の言葉によれば「このメンバーで初めて合わせた曲」だという蜉蝣の代表曲のひとつ、「夕暮れの謝罪」を含む30分間の演奏で、場内は早くも一体感に包まれた。その後もイベントはテンポ良く続き、二番手に登場した12012も蜉蝣の「迷走本能」のカヴァー。宮脇渉(vo)は「天国にいる大佑さんにみんなで届けたいと思ってるんだ。行けるか!」とオーディエンスを扇動。さらに、大佑にとっては蜉蝣での同胞であるユアナ(G)が籍を置くboogiemanの躍動感あるカラフルなライヴ・パフォーマンスを経ると、すでに充分過ぎるほどに熱を帯びた観衆は、ムック、そしてMERRYの登場を迎えた。この両バンドと蜉蝣とは、かつてヴィジュアル系新時代を象徴する御三家と称され、さまざまな機会をともにしてきたのみならず、強固な関係性をも培ってきた。アリーナ規模でのライヴを思わせるムックの豪快なステージングにも、衣装の袖で汗か涙か判別不明なものを拭いながら熱唱するMERRYのガラの姿にも、ファンの心を打つものがあった。


▲大佑 一周忌追悼公演「漆黒の光」より蜉蝣 撮影:河井彩美
こうした盟友たち5組の演奏終了後、ステージ上で展開されたのは、大佑が実際に籍を置いてきた3組のバンドのパフォーマンスだ。当然ながら大佑自身は不在ということになるが、大佑と黒の隠者達のステージでは、彼の映像を交えながらの演奏が繰り広げられた他、同プロジェクトにとって唯一のアルバムである『漆黒の光』にヴォーカリストとして携わってきた前出の宮脇渉、ガラ、ムックの逹瑯、そしてDIR EN GREYの京が、各々のアルバム参加曲を披露した。

続くthe studs名義のステージでは、aie(G)、yukino(B)、響(Dr)が登場。ライヴ映像を用いたパフォーマンスの他、ギタリストのaieが歌うという趣向も。そして最後、蜉蝣としてのステージは、この夜のために再集結した前出のユアナ、kazu(B)、静海(Dr)の3人が、映像のなかの大佑と合体する形で実現。ことにステージ中央のスクリーンに等身大の彼の姿を映し出しながらの「絶望にサヨナラ」には、まるで生前の大佑がそこにいるかのような生々しさがあった。そして最後はkazuの呼びかけにより、大佑の音声も用いず、ゲスト・ヴォーカリストを呼び込むこともなく、「3人の蜉蝣と、蜉蝣を愛するオーディエンスの歌声」のみで、看板曲のひとつである「縄」を。その大合唱は間違いなく天国の大佑の耳にも届いたに違いない。

各出演者の具体的な演奏内容に関しては、後日、大佑と黒の隠者達のオフィシャルサイトにて詳細が掲載される予定なので、それをお待ちいただきたい。まずは取り急ぎ、このイベントが大盛況のうちに終了したことをお伝えしておく。すべての演奏終了後も大半のファンはその場を動こうとせず、BGMとして流れていた蜉蝣の「妄想地下室」を歌い続けていた。が、それが終わると、自然に拍手が起こり、大佑の名を呼ぶ声があちこちから聞こえた。大佑は、音楽業界的に言えば、かならずしも特筆すべき実績を残したヴォーカリストではないかもしれない。が、彼の存在は、彼を愛してきた人たちにとって間違いなく永遠のものなのである。最後の最後、スクリーンに映し出されていたのは「大佑Forever」の文字。そのシンプルな言葉が、確実に真実を語っていた。

文●増田勇一

大佑と黒の隠者達
1st ALBUM『漆黒の光』
2011.04.20 RELEASE
初回生産限定盤:SFCD-0081~82 CD+DVD \3,990 (tax in)
通常盤:SFCD-0083 CDのみ \3,150 (tax in)
<ディスク1 / AUDIO> ※初回生産限定盤、通常盤共通2.嫌
3.グリード
4.ピアス
5.愚の消滅
6.地下道に流れる、ある独りの男の「悲痛な叫び」にも似たメロディー
7.悲愴
8.翻弄
9.独裁者の涙
10.ザッヘル
11.葬送
12.嘘と迷路
<ディスク2 / DVD>
翻弄 -Music Clip-
嫌 -Music Clip-

◆大佑と黒の隠者達 オフィシャルサイト
◆Webショップ
この記事をポスト

この記事の関連情報