「WORLD SONIC NEWS VOL.8」ナイル・ロジャース「日本の最高のアーティストを紹介してくれない?」
今回は、数々のヒット曲を世に送り出したスーパー・プロデューサー、ナイル・ロジャースをフィーチャーします。1977年に音楽仲間だったバーナード・エドワーズとともにR&B系ダンス・グループ、シックを結成。当時、流行っていたディスコの影響もあり、幅広い層に支持され、一躍、トップ・グループの仲間入りを果たします。
◆ナイル・ロジャース画像
1980年代からはプロデューサーとして活動を始め、マドンナをスターダムに押し上げた大ヒット・アルバム『ライク・ア・ヴァージン』のメイン・プロデューサーを務めたほか、デヴィッド・ボウイ、ダイアナ・ロス、デュラン・デュラン、ミック・ジャガーなど、そうそうたるビッグ・アーティストを手がけ、1980年代を代表するスーパー・プロデューサーとうたわれています。
そんなナイル・ロジャースが2011年4月、代表曲を集めた2枚組ベスト盤『エヴリバディ・ダンス!』をリリース!ディスク1はシック時代のヒット曲、ディスク2は、自身がプロデュースしたアーティストのヒット曲を網羅しているということで、往年のファンに大好評です。そんなベスト盤のリリースに合わせ、ジャパン・ツアーを行なったナイルのインタビューが届きました。
これまでに数々の有名アーティストをプロデュースしてきたナイルに、いちばん思い出に残っているアーティストは誰か、聞いてみたら、こんな答が返ってきました。
「想い出深いアーティストは2人いるよ。それぞれ違った意味でね。デヴィッド・ボウイは僕の人生を全く違ったものにしてくれた。彼は自分で、アルバム『レッツ・ダンス』を作ったのさ。彼は当時、どこのレコード会社とも契約していなかった。ディスコものをやることはレコード会社に反対されるだろうとボウイは考えていたから、彼は自分の有り金をはたいて作ったんだよ。これはホントの話なんだけど、アルバム1枚、レコーディングからミックスまでをたったの17日間で終わらせたんだよ。
マドンナとの仕事も想い出深いね。『ライク・ア・ヴァージン』は僕の人生で最も売れたレコードさ。アルバム制作にかかった期間は6週間だったかな。6週間かかった本当の理由は、僕がマドンナのヴォーカルにすごくこだわったからなんだ。彼女は素晴らしかったよ。ちっとも文句は言わないし、「もう、これでいいと思うわ」なんて絶対に言わなかった。彼女はとにかく作業に没頭してたよ。「マドンナ、もう一度歌ってくれ」って言うと「了解!」って。「もう一度」「オッケー!」、「もう一度」「もう一度」って何度繰り返しても、彼女は「なんで?」って一度も僕に聞き返すことなく歌い続けたんだよ」
当事者しか知らない裏話、面白いですね。これまでに数々の有名アーティストをプロデュースしてきたナイル・ロジャースが現在、どんなアーティストに興味を持っているのか知りたくて、「今、プロデュースしてみたいアーティストはいますか?」と質問してみました。
「そうだなぁ、難しいな…。ありがちな答だけど、アッシャーの新しいサウンドは素晴らしいと思ったし、彼は自分自身で素晴らしいグルーヴを見つけ出したよね。もちろんそれを変えたいとは思わないし…。とにかく彼の新しい方向性は素晴らしいと思うよ。前の作品もよかったしね。日本の最高のアーティストを誰か紹介してくれないかな?本当に素晴らしい人をだよ。そうしたらその人をプロデュースするよ」
ナイルがプロデュースする日本人アーティスト、興味ありますね。ナイルはギタリストとしての評価も高く、特にカッティングのうまさには定評があります。ギターを始めた頃からカッティングに興味があったのでしょうか?
「最初の頃はソロのほうだったね。ジャズをやってたし。でも、なんかまるで神様にここにもってこられたような気がするんだよね。だって僕はジャズをやっていて、ビッグ・バンドに入りたかったんだ。ビッグ・バンドに入ってこんな風に弾きたかったんだよ。それにミュージカルでギターやバンジョーを演奏するときは、特にバンジョーはオーケストラを突き抜けるように弾かなくてはならないからね。そうやって弾き方を学んでいったけど、しっくりはこなかったんだよね。それからR&Bのシンガー達のバックを務めるようになってさ。そのときも同じ。バンドは金がなくて少人数だったから、リズムをキープしながらメロディを弾かなきゃならなかった。でもそうするとグルーヴがなくなってしまうんだ。その点、僕はメロディックにカッティングもハーモニーもプレイできる。コードの中でソロを弾くこともできるし、そうやって学んでいったんだよ」
そんなナイル・ロジャースの再来日公演が決定しました。5月29日(日)ブルーノート東京。ファースト・ステージが夜7時開演、セカンドが夜9時半開演の2ステージになっています。詳しくはブルーノート東京のホームページをご覧ください。
2枚組のベスト盤『エヴリバディ・ダンス!』をしっかり聴いて、予習してから、ぜひナイル・ロジャースのライヴにお出かけください。
text by kenji kurihara:UNITED PROJECTS
『エヴリバディ・ダンス!』
WPCR-14103/04 3,480円
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