「WORLD SONIC NEWS VOL.5」ヒップホップ界のカリスマ、ビースティ・ボーイズ
今回は、ヒップホップ界のカリスマ、ビースティ・ボーイズをフィーチャーします。
◆ビースティ・ボーイズ画像
2011年で結成30周年を迎えたビースティ・ボーイズは、デビュー作がヒップホップ・アルバムとして史上初の全米チャートNO.1に輝いた白人ヒップホップの草分けで、ヒップホップとロックを融合したバンドとしてミュージック・シーンを語る上でも重要な存在となっています。
記念すべきデビュー・アルバム、1986年発表の『ライセンスト・トゥ・イル』に収録されている大ヒット・シングル「ファイト・フォー・ユア・ライト」を聴くとファイトが注入されるかたも多いのではないでしょうか。
これまでに発表した7枚のスタジオ・アルバムのうち、全米1位を獲得したアルバムが4枚、グラミー賞受賞が3度、そして通算の売り上げ枚数が4,000万枚以上と、まさにカリスマ!そんなビースティ・ボーイズが2007年のインスト・アルバム『ザ・ミックス・アップ』から4年ぶり、ヒップホップ・アルバムとしては2004年の『トゥ・ザ・5ボローズ』以来、7年ぶりに待望のニュー・アルバムを4月27日にリリースしました。
アルバムのタイトルは『ホット・ソース・コミッティー・パート2』。なぜ“パート2”なのか?それはニュー・アルバム自体、2009年の時点でほとんど完成していたんですが、バンド・マスター的な存在のアダムことMCAに耳下腺腫瘍(じかせん・しゅよう)、これは耳の下にある唾液(だえき)を作る器官に腫瘍が見つかって、治療に専念することになり、発売が延期になっていました。今回リリースされるニュー・アルバムは“パート1”を手直しして発表するということで、メンバーのこだわりもあり“パート2”となっているんです。そんなビースティ・ボーイズのインタビュー、お届けしましょう。
まず、今回のニュー・アルバムにコンセプトやテーマがあるのか、という質問に、MCAとマイクDがこう答えています。
「コンセプトやテーマを敢えて持たないってことが俺達にとっての永遠のコンセプトなのさ。意味、わかるかな。そうだな。それこそが俺達のテーマや哲学なんだろう。いろいろトライしたり、実際レコーディングしたり、ループしたり、足したり引いたり。同時に短い曲とかも忘れずに収録して、アクションいっぱいの作品にすることさ。なぜなら俺達の大好きなパンク・ロックやハードコアの曲というのは常に2分半くらいの曲が多いからな。話をまとめると、テーマを敢えて持たないということに徹してるのさ」──MCA
新作のタイトル“ホット・ソース・コミッティー”を直訳すると「辛口ソース委員会」となるんですが、何か意味があるのでしょうか?アドロックとMCAがこんなことを言っています。
「俺達がホット・ソースって言ってるのは、辛口ソースのことじゃないんだよ。どちらかというと辛口ソースなんかを食したときに味わえる気分のことなんだ。そう言った意味合いで俺達はその気分に対して責任を感じてるのさ」(アドロック)
「まあ、最低限それを協議しあえるような委員会にしたいのさ」──MCA
どこまで本気なのかジョークなのかわかりませんが、インパクトのあるタイトルには間違いありませんね。そしてMCAはニュー・アルバムについてこんなコメントもしています。
「このアルバムは敢えて言うなら、デビュー作の『ライセンスト・トゥ・イル』の前身となるアルバム。時間軸的にも『ライセンスト・トゥ・イル』の前に位置づけられるものなんだよ」──MCA
新作はオールド・スクールのラップと、生バンドが主体となった音作りということで、その辺のことを言っているのかも知れません。彼らは結成30周年を迎えたわけですが、今もなお、ヒップホップという音楽にひかれるのはなぜか、マイクDはこんな風に答えています。
「俺たちはヒップホップで育ったんだ。深く聴いたり、聴かなかったりする時期があったと思うけど、ヒップホップだけは特別なんだよ。ロックには常に一箇所に落ち着いているイメージがあるんだけど、ヒップホップは常に時代に合わせて進化しているのさ。そして今後も進化していくと思うよ。そこがエキサイティングなところで常にチェックしてなきゃって気持ちにさせられるんだ」──マイクD
最後にやっとまじめに答えてくれたビースティ・ボーイズでした(笑)。10代で結成したボーイズは30年経ってもやんちゃ坊主のまま。そこが彼らの魅力です。ぜひニュー・アルバム『ホット・ソース・コミッティー・パート2』をチェックしてください。ヒップホップ・ファン必携のアルバムです!
text by kenji kurihara:UNITED PROJECTS
『ホット・ソース・コミッティー・パート2』
TOCP-66880 2,500円(税込)
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