菊地成孔オーガナイズの<TOKYO M.A.P.S>、連日大盛況
菊地成孔をプログラム・オーガナイザーに迎えて行なわれた2010年の<J-WAVE & Roppongi Hills present TOKYO M.A.P.S NARUYOSHI KIKUCHI EDITION>は、大成功を収めた。
◆<TOKYO M.A.P.S>ライブ画像
2010年5月3日(月・祝)~5月4日(火・祝)の2日間、六本木ヒルズアリーナでフリーライブが楽しめる一大イベントとして開催となった<TOKYO M.A.P.S>は、六本木ヒルズアリーナを会場にJ-WAVEと六本木ヒルズが共催で、ゴールデンウィークに開催している、音楽/アート/パフォーマンスなど様々な表現を発信するイベント。毎回プログラム・オーガナイザーを立て、そのオーガナイザーの世界観を軸にコンセプトが立てられるが、2010年のオーガナイザーは時代をリードする鬼才、疾走する天才と称される菊地成孔。自身の出演によるライブのほか、菊地成孔の呼びかけで集まった多彩なミュージシャンが登場、東京のジャズの今と東京の音楽の多様性を表現したパフォーマンスで連日会場は大盛況となった。
●1日目[JAZZ]
初夏を思わせる気持ちのよい<TOKYO M.A.P.S>初日、トップバッターは注目の若手ジャズ・サックス・プレーヤー矢野沙織。ブラック・アンド・ホワイトのミニ・ドレスにハイヒール姿の矢野は、23歳とは思えないほどクールでセクシー。夜の雰囲気をただよわせながらも、5月のさわやかな風の中、しっとりとしたジャズが流れ始めると、いきなり会場の雰囲気が一変。Pfの山本剛のボーカルで「Dinah」がスタート、曲中で「矢野さおり~」と紹介すると矢野が登場。アップテンポの「Move」からスロー・ナンバーの「Left Alone」まで自在にサックスを操る美しくカッコイイ彼女の姿に、アリーナをうめつくしたオーディエンスからは感嘆の声がもれていた。
続いてのステージはJ.A.M。開始時間前から少しずつ人が集まりはじめ、直前には何重にも人垣ができるほどの人気だ。演奏が始まると、Pf:丈青、B:秋田ゴールドマン、Dr:みどりんの作り出す独特のグルーブ感が会場を包み込み、どこからともなく、歓声が巻き起こってくる。3人ともが笑顔で本当に音楽を楽しんでいる様子が会場にも伝わり、オーディエンスも思い思いに彼らの音を楽しんでいる。「昨日は下関でライブで徹夜なんで」という丈青。それでも疲れを感じさせないエネルギッシュで息の合ったパフォーマンスで聞かせる3人。大きな拍手の中、ステージを後にした。
3組目は、日本のクラブ・ジャズ・シーンで今最もホットなバンドquasimode。全員が黒のスーツ姿で颯爽と登場し、パーカッションの松岡“matzz”高廣が「今日はホットな1日になりそうです。自然体で楽しんでください」とあいさつ。サポートにテナーサックスとトランペットを加えた編成で、華やかな音を会場に響き渡らせた。「quasimodeは踊れるJAZZです。踊っていってください」との呼び掛けにオーディエンスも思い思いに身体を動かし、次々に繰り出される艶やかな演奏に会場も大満足のステージとなった。
夕暮れの六本木ヒルズにいよいよオーガナイザー菊地成孔率いる菊地成孔クインテット・ライブ・ダブが登場。菊地成孔(As)、坪口昌恭(Pf)、菊地雅晃(B)、藤井信雄(Dr)、パードン木村(live dub)の5人。実はこのメンバーでは最近活動しておらず、幻のこの編成は非常に貴重なライブとなった。サックス、ドラム、ベースの生音に同時にダブ処理がされていくという試みの挑戦的ユニットは、のっけから菊地の妖しいサックスが響き、これからのライブへの期待感を加速させていく。次第に情熱的になっていくサウンドと夕暮れから夜に変化していく時の流れがマッチして、屋外のライブならではの高揚感が会場を包み込んだ。最後はDrだけを残して、他のメンバーは退場。ドラムにダブ処理がされていく見事なセッションで会場は大変な盛り上がりを見せた。
一日目の最後はnaomi&goroが登場。すっかり日が暮れた六本木アリーナにnaomiの温かなボーカルが響き渡る。Non Stop To Brasil、Olha Pro Ceuなど5曲を終えると、そこに菊地成孔が再び登場。菊地成孔クインテット・ライブ・ダブとうってかわったボサノバのやわらかな雰囲気のサックスが2人のギターに優しく絡まって、聞いている人をほんわかさせるセッションとなった。
●2日目[POPS & etc.]
2日目も前日に引き続き好天に恵まれた六本木ヒルズアリーナは、ロロロのライブでスタート。電車の車内アナウンスや電話の時報の音をサンプリングして独自のサウンドを作り出すロロロワールド。会場に訪れた人たちも思い思いに楽しんでいた。ライブの後は今日J-WAVEでオンエア中の「J-WAVE GOLDEN WEEK SPECIAL TOKYO DIVERSITYの公開トークセッション。ナビゲーターのSaschaとオーガナイザーの菊地成孔も加わり、終わったばかりのライブや東京の魅力についての楽しいトークが繰り広げられた。
続いて坪口昌恭のシンセサイザーパフォーマンス。この日はモジュラー・パッチ・シンセサイザーを駆使してのソロパフォーマンス。ステージの坪口を囲むようにシンセサイザーが置かれ、次々にケーブルをつないでいく。サイレンのような音やコンピューターのような電子音が繰り出され、音がどんどん広がっていった。パフォーマンス中にもときどき配線を前に腕組みしながら考える坪口昌恭。普段あまり見ることのない貴重なパフォーマンスだ。
間髪をいれずにステージにはBEATSICK.JPが登場。坪口昌恭のパフォーマンスから一転して、人の声だけでサウンドを作り出すビートボックスのパフォーマンス。この日はBEATSICK.JPのHIRONAとKAZに同じくビートボックスユニットの人ISMからTATSUYAとTRIPも参加し後半は4人でのステージになった。人の声だけとは思えない幾重にも重なり合うサウンドが会場に響き渡り、オーディエンスを楽しませていた
2010年のTOKYO M.A.P.Sもいよいよ終盤戦。ジャズ界の巨匠、山下洋輔の登場だ。今回共演する寺久保エレナはなんとまだ高校生。小学生でチャーリー・パーカーをマスターしたという天才少女の寺久保だが、ステージでのパフォーマンスは高校生とは思えないほど超絶技巧も難なくこなすテクニックに会場も度肝を抜かれた。「今日は日本のJAZZの将来は大丈夫という証拠を見せますよ」とオーディエンスに向かって楽しげに語る山下洋輔。他のメンバーも若いミュージシャンでそろえ、エネルギッシュでパワフルな演奏に終了した後も会場のあちこちで感嘆の声が洩れていた。
2010年TOKYO M.A.P.S の最後を飾るのは、カヒミ・カリィ。1曲目からゲストに伴侶でもあるタップダンサーの熊谷和徳が登場。カヒミ・カリィのウィスパーボイスによる朗読、ジム・オルーク&大友良英が紡ぎだす穏やかな調べ、そして熊谷和徳のタップダンスが生み出すリズムがすっかり日の落ちた六本木ヒルズアリーナに幻想的な雰囲気を作り出した。カヒミのソロをはさんで、今度は菊地成孔が加わり、ボーカルとサックスで共演。最後には再び熊谷和徳も加わりカヒミのボーカル、菊地のサックス、熊谷のタップダンスというまさにM.A.P.S(MUSIC、ART、PERFORMANCE、SPECIAL)を体現する豪華なセッションで<TOKYO M.A.P.S NARUYOSHI KIKUCHI EDITION>は幕を閉じた。
<J-WAVE & Roppongi Hills present TOKYO M.A.P.S NARUYOSHI KIKUCHI EDITION>
@六本木ヒルズアリーナ
■5月3日(月・祝)
●矢野沙織
メンバー:矢野沙織(As)、山本剛(Pf)、金子健(B)、小松伸之(Ds)
1.Dinah
2.Move
3.Boplicity
4.Left Alone
5.Open Mind
6.Cofirmation
7.ウィスキーがお好きでしょう
●J.A.M
メンバー:丈青(Pf)、秋田ゴールドマン(B)、みどりん(D)
1.Roy's Scat
2.Quiet Fire
3.CHILE
4.LOST
5.産業革命
6.MINT
●quasimode
quasimode:平戸祐介(Pf)、松岡"matzz"高廣(Perc)、須長和広(B)、今泉総之輔(Ds)
サポートメンバー:佐々木大輔(Tp)、岩本義雄(Ts)
●菊地成孔クインテット・ライブ・ダブ
メンバー:菊地成孔(As)、坪口昌恭(Pf)、菊地雅晃(B)、藤井信雄(Ds)、パードン木村(live dub)
1.Dub Liz
2.Susan Sontag
3.You Don't Know What Love Is
4.Elizabeth Taylor
●naomi & goro
1.Non Stop To Brasil
2.Olha Pro Ceu
3.Pica-Pau
4.Rosinha
5.Into The Sun
6.Days Of May (+菊地成孔)
7.Southern cross 7 (+菊地成孔)
8.Desafinado (+菊地成孔)
■5月4日(火・祝)
●口口口(クチロロ)
1.Tokyo
2.Twilight Race
3.Love me
4.ヒップホップの初期衝動
5.GOLDEN KING
6.AM2:08
7.0:00:00
●坪口昌恭
●BEATSICK.JP
●山下洋輔イントロデューシング寺久保エレナ
メンバー:山下洋輔(Pf)、寺久保エレナ(As)、若井優也(Pf、Key)、楠井五月(B)、長谷川学(Ds)
1.North Bird
2.It's You or No One
3.Tim Tam Time
4.Like the Sunlight
5.Kurdish Dance
●カヒミ・カリィ+菊地成孔 ゲスト:熊谷和徳
1.呼読
2.Divers
3.He shoots the sun
4.The Look of love
5.This guy's in love with you
6.KISKI
7.You are here for a light
◆TOKYO M.A.P.Sオフィシャルサイト
◆菊地成孔オフィシャルサイト
◆J-WAVEオフィシャルサイト
◆六本木ヒルズ・オフィシャルサイト
この記事の関連情報
81.3 FM J-WAVE
矢野沙織
J.A.M
quasimode
菊地成孔
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
菊地成孔DUB SEXTET
naomi&goro
□□□(クチロロ)
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