リック・ライト、最後のパフォーマンス

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10月8日に『狂気の祭典~ライヴ・イン・グダニスク』をリリースするデヴィッド・ギルモア。最新のインタヴューで、彼は2005年の<ライヴ8>でロジャー・ウォーターズも参加して復活したピンク・フロイドのことを語っている。

「あのギグ自体は最高だった。本当に楽しめたよ。でも、リハーサルはそうでもなかったな。リハはそう長くやりたいもんじゃないっていうのがよく分かったよ」

今後のピンク・フロイド再結成は…?

「人生とか仕事上での決別っていうのは、のちに取り消されることもある。でも、ぼくが参加してのピンク・フロイドのツアーやニュー・アルバムは今後ないと断定しておきたい。これは敵愾心とかそういうものとは関係ないよ。要は、僕はもう、やり切ったってことさ。ぼくはそこにいた、そして、全てをやり切ったんだ」

そして、『狂気の祭典~ライヴ・イン・グダニスク』についてをこう語っている。

「演奏するために選べる曲のストックが膨大にあるっていうのは素晴らしいね。ぼくたちは、一度もやったことのない曲も演奏したんだ。30年以上やったことのなかった曲もある。そして、古いお馴染みのやつもちろんね。新曲もなしにツアーに出ることはいやだけど、でも長い距離をお金をかけて観に来てくれるファンのためには、彼らが期待して、かつ楽しめる曲を提供したいとも思うからね」

そんな折、リック・ライトが亡くなり、本当にピンクフロイドの再結成は現実的に不可能となってしまった。リック・ライト最後のパフォーマンスは、この『狂気の祭典~ライヴ・イン・グダニスク』に収められている。ここでも元気な姿を見せてくれていたリックだけに、本当に残念でならない。ピンク・フロイドのサウンド、あの浮遊感のある世界観とを編み上げていたリックのキーボードとヴォーカルが、もう二度と聴けないかと思うと寂しい気持ちでいっぱいだ。

ギルモアは自身のサイトで追悼のメッセージを出している。

   ◆   ◆   ◆

だれもリチャード・ライトの代わりにはならない。彼は私の音楽のパートナーであり私の良き友人だった。

彼は優しく、謙虚、人前にあまり出たがらなかったが、彼の魂がこもった声とパフォーマンスはピンク・フロイドのサウンドにおいて極めて重要で魔法のような存在だった。

彼と同じような人は誰もいなかった。私と彼の音楽のテレパシーの融合は1971年の「Echoes」で最初に開花した。ピンク・フロイドの『狂気』に収録されている「Us and Them」「The Great Gig In The Sky」はリチャードが書いたものだし、彼のクワイエット・タッチなしには「Wish You Were Here」は成り立たなかった。

途中、いろいろな理由で彼はしばらく道を失っていた時期があったが、90年代半ばの『対/The Division Bell』で復活し、彼のバイタリティー、スパーク、ユーモアは戻り、2006年の私のツアーにおいてオーディエンスのリアクション、総立ちの喝采が彼を待っていた。

私の気持ちを言葉で表現するのは並大抵のことではない。でも、私は彼を愛していた。彼がいなくなって途方もなく寂しく思う。──デヴィッド・ギルモア

◆『狂気の祭典~ライヴ・イン・グダニスク』オフィシャルサイト
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