DIR EN GREY、ニュー・シングル「GLASS SKIN」インタビュー

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去る5月の全国ツアー終了以降、地下潜伏期間に突入していたDIR EN GREYが、いよいよ新局面を迎えようとしている。まずその序章ともいうべきニュー・シングル「GLASS SKIN」が9月10日にリリースとなり、同時に<TOUR08 THE ROSE TRIMS AGAIN>も開幕。そして11月には『UROBOROS』と命名された待望のニュー・アルバムが登場することになる。そのアルバムの全貌についてはまた機会を改めるとして、まずは最新シングルにまつわるインタビューをお届けするとしよう。

なお、取材時にはまだ発覚していなかったのだが、この「GLASS SKIN」と、前作シングルにあたる「DOZING GREEN」の2曲はどちらも『UROBOROS』に収録予定ではあるのだが、双方とも英詩による新ヴァージョンで収められることになったという事実が、9月初頭、関係者の証言により判明した。要するに「GLASS SKIN」の“生まれたままの姿”には、このシングルでしか触れられないということである。敢えて忠告するまでもないはずだが、念のため、言っておく。「アルバムまで待つ、なんてことは考えないほうがあなた自身のためだぞ」と。

――『DOZING GREEN』以来約11ヵ月ぶりということになるニュー・シングル「GLASS SKIN」は、5月に行なわれた<TOUR08 DEATH OVER BLINDNESS>でも毎回演奏されてきた楽曲ですよね。

京:そうですね。でも正直、あんまりよく憶えてないんですよ。

――どういうことです?

京:あのツアーのことが、かなり記憶から消えてるんです。自分のなかでは過去最高に平均点の高い充実したツアーだったはずだし、ツアー自体が終わったのもついこの前のことのような気がするんやけど、とにかくその後、アルバム制作のことでアタマがいっぱいだったし、基本、振り返ることをあんまりしない人間でもあるんで(笑)。でも、最初の段階から“入りやすい曲だな”とは感じてましたね。わかりやすいというか。ただ、すんなりと入ってきやすいぶん、だんだんと味が変わってくる部分もあるはずで。

Toshiya:演奏する側の感覚で言わせてもらうと、やってて気持ちいい曲ですね。特に変わった要素とか展開が盛り込まれてるわけでもなく、そういう意味での刺激度が高いものではないんだけど、すごく自然な気持ちで向き合える曲というか。

――DIR EN GREYのなかではかなりメロウな部類に入る楽曲ですよね? 変な話、“裏をかく”というか、予想を裏切ろうとしたようなところもあるんでしょうか?

Toshiya:いや、むしろ自然な流れでこの曲に決まった気がします。最初からシングルを意識して創られた曲というわけでもないし。

Shinya:そろそろシングルの曲を決めなきゃいけないということになったとき、みんなでアイディアを持ち寄る機会があって。その時点ではこれはまだ曲とは呼べるような状態じゃなかったんですけど、“これをやってみよう”ということで全員の意見が一致して。

Toshiya:これはいい感じの曲になりそうだな、と思えたとき、そこで裏をかくこととかは考えずにすごく素直に取り組めたというか。実際、そういう素直な気持ちになりにくいタイミングというのもありますけど(笑)、今回はすべてが自然だったように思いますね。

京:“これを出したら新しいんじゃないか”とか、“敢えてシングルらしくない曲を出そう”とか、そういう気持ちが、今、まったくないんですよ。そういうイヤらしい邪念みたいなものが。ただ単純に、今の自分たちがやりたい音、新鮮だと思える空気感のものができたから出そう、と。ホントにそれだけのことでしかないんで。

――「GLASS SKIN」というタイトルが象徴しているのは、何か脆いもの、儚いもの、という解釈でいいんでしょうか?

京:そうですね。壊れやすいもの。しかも人間的なもの。必要最低限の説明として言っておくと、ここで歌ってることのテーマは、環境破壊の問題だったりもするんです。恋愛の歌ではない。ま、あまり多くは語らずにおきますけど(笑)。説明くさく、説教くさくなるのは好きじゃないんで。

Shinya:タイトル自体が、曲の雰囲気を物語ってる気がしますね。

――今回は同時収録の音源もものすごく充実していますよね。まずは2002年発表のアルバム、『鬼葬』に収められていた「undecided」の新録ヴァージョン。そしてピアノと声だけで再構築された「AGITATED SCREAMS OF MAGGOTS -UNPLUGGED-」。さらに初回生産限定盤のほうには「凌辱の雨」の最新ライヴ音源も収録されています。

Toshiya:「undecided」については2007年のライヴでもアンプラグドで演奏する機会があって、これは純粋に“今の自分たちがやると、こうなる”という感じですね。レコーディングの面では、実は結構シンプルな感じに聴こえるわりに、手のかかる作業だったりもしたんですけど(笑)。

Shinya:ライヴの音源については、大きなミスとかさえなければ問題ないというか。特に言うべきこともないですけど、とにかく新しいものを入れたかったので。

――衝撃度満点以上の「AGITATED SCREAMS OF MAGGOTS -UNPLUGGED-」については?

Toshiya:これは単純に、すごい(笑)。

京:ま、これも、とにかく聴いてもらえれば。これを聴いた人たちは大概、同じことを訊いてくるんですよね。“どうやって録ったんですか?”って(笑)。

――で、それは……企業秘密ですか?

京:はい(笑)。

――さて、このシングルの発売と同時に“TOUR08 THE ROSE TRIMS AGAIN”も開幕し、11月12日には待望のニュー・アルバム『UROBOROS』もリリースを迎えることになるわけですが。

Toshiya:正直、ツアー開始直前までなかなか気持ちを切り替えられないだろうと思うんですよね。それだけアルバムの最終的な作業だとか、それに付随してくることだとかが山積みになってるということなんですけど(笑)。でも、楽しみにしてますよ。11月のアメリカ・ツアーも含めて。

京:またひとつ自分たちにとって新しいもの、世界のどこを探してもないものができたと思ってるんで。ま、楽しみにしててください。

取材・文●増田勇一

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