GIRL NEXT DOOR「偶然の確率」にみる、偶然ではないヒットの方程式

では、“avexサウンドって何だ?” と思考を巡らしてみる。
avexは、今となっては大塚愛やDo As Infinityなどに代表されるロックアプローチのアーティストも増えてきてはいるが、まず思いつくのはクラブカルチャーと密接した「踊れる」サウンドだろう。SUPER EURO BEATに始まり、小室哲哉で確立された部分が大きい。しかも、日本人好みに味付けされた、日本独自の要素を持ったサウンドである。

エレキギターのロックなアプローチもavexサウンドの(というより、むしろJ-POPの)特徴といえるだろう。クラブミュージックではテクノがベーシックとなっているため、海外の正統派クラブシーンにおいてヘヴィーなギターが登場することはほぼ皆無に近い。クラブサウンドにロックなギターを乗せるというのも日本の音楽シーンから派生した、サビでサウンドの厚みを出すために取り入れられた手法だ。他にもリフ的な使い方、ソロになった時の派手なパフォーマンス。ギターサウンドとの組み合わせは、あらゆる面で効果的であり、もちろん「偶然の確率」でも用いられている。
4つ打ちキックをベースに、あらゆるジャンルを取り込み、独自の解釈で組み上げられたavexサウンド。これはつまり日本人らしい、日本人のためのものといっていいだろう。
そして、聴く楽しみから歌う楽しみへシフトしていった日本の音楽文化では、カラオケで楽しめなければならなかった、ということも忘れてはならないポイントだ。
クラブミュージックは単調な音の繰り返しによる抑圧から解放されることによって快感を得る音楽であるため、長い時間をかけて曲が展開する。しかし、それではカラオケで盛り上がれない。日本では、メロディーもコード進行も、1コーラスの中で物語があり、めまぐるしく変わっていく凝縮されたサウンド、なおかつ、歌いやすさが求められた。「偶然の確率」のメロディーはというと、1オクターブ+2度内に収まっているため、ほとんどの人でも歌いやすい。さらに、サビで転調することで、毎回違った次元へと連れていってくれる感覚になる。
20年間蓄積されたノウハウで構築された純度100%のavexサウンド。いわばavexサウンドの集大成ともいえるGIRL NEXT DOORの「偶然の確率」は、偶然ではない方程式のもとで作られたヒットの要素を盛り込んだ曲なのである。
●GIRL NEXT DOORからのコメント動画
●GIRL NEXT DOORフォトアルバム
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