ボズ&TOTO、狂熱の競演ライヴ顛末
東京・水道橋のJCB HALLオープン記念イベントとして行われたボズ・スキャッグスとTOTOのジョイント公演。かつて盟友として音楽を作り出してきた大物同士が、リラックスしながらもリスナーの心に染み渡るライヴを2日間に渡って繰り広げた。
この公演がこけら落としとなるJCB HALLは、噂にたがわぬ完成度の高いコンサートホール。狭い敷地を縦に使う効率の良さで、2階席、3階席バルコニーともステージが近く、どこの席からもライヴ感が堪能できる。音響もバランス良く感じられ、ポップス、ロックのどちらでも十分に楽しめる。
先にステージに立ったのはボズ・スキャッグス。黒のパンツとジャケットに身を包み、時にはセミアコ・ギターを弾きながら、落ち着いた雰囲気でじっくり聴かせてくれる。1976年のヒットアルバム『シルク・ディグリーズ』からの「ロウダウン」でライヴは幕を開け、このアルバムからヒット曲が3曲演奏された。もちろん、最大のヒット曲「ウィ・アー・オール・アローン」も披露され、ファンそれぞれが思い出に浸りながら目を瞑って聴き入る姿も散見された。
AORというジャンルを確立し、いまなお現役として活動を続けるボズ。演奏された13曲には、ノリノリのR&Bあり、洗練されたアーバンなポップスあり、そしてロックありと、とにかくファンを徹底的に楽しませてくれる。アンコール最後には、これも大ヒットしたアルバム『ミドル・マン』から「BREAKDOWN DEAD AHEAD」を演奏。これには、TOTOのスティーヴ・ルカサーも参加し、お互いに流れる友情の深さを見せつけてくれた。
そして短い休憩を挟んでTOTOの登場。デヴィッド・ペイチ(key, vo)が5年ぶりにTOTOに復活し、息の合った演奏を次々に繰り出す。スティーヴ・ルカサーのエンターテナーぶりはさすがで、ステージを動き回りながら超絶技巧のギターワークを聴かせてくれる。
圧巻は、大ヒット曲「ROSANNA」に続いて演奏された6曲のメドレーだ。「I'll supply the love」「Isolation」「Gift Of Faith」「Kingdom Of Desire」「Hydra」「Taint Your World」と続けて演奏された息をもつかせぬインタープレイとキメ、そしてスムーズに流れていく曲間をも含めて、いまさらながら各メンバーの演奏技巧の高さ、そしてどう演奏されようと色褪せないオリジナルのクオリティの高さを感じさせてくれた。
高度なテクニックが作り上げるロックは、匠の技の集合体。後ろに回るときはソロイストを引き立てながら確実に支える。そして自分が前に出るときには存分にそのソウルをぶつけてくる。ベテランだけが出来る絶妙なアンサンブルは、丁々発止のこのメンバーでしか味わえない最高のロックなのだ。
このコンサート最大の盛り上がりは、やはり「AFRICA」。変則的なリズムに合わせて観客が手拍子し共に歌う。原曲に忠実に演奏されたこの名曲は、当分(二度と?)TOTOという集合体に会えないファン達の思いを乗せ、ホールを興奮の渦に巻き込み、サビの大合唱が響き渡る大盛り上がりとなった。。そして、最後の曲はビートルズの「a little help from my friends」。ボズもステージに再び登場し、盟友との競演を果たしてくれた。
ベテランだけが表現できる落ち着いたロックの楽しさを十分に堪能できたライヴだった。JCB HALLのお披露目ということとも相まって、ファンの胸にいつまでも残るものになったであろう。
●ライヴ写真をもっと見るならコチラ
https://www.barks.jp/feature/?id=1000039033
2008.03.21 @JCBホール セットリスト
<ボズ・スキャッグス>
1.LOWDOWN
2.JOJO
3.SLOW DANCER
4.DESIRE
5.HERCULES
6.MISS SUN
7.HARBOR LIGHTS
8.WE'RE ALL ALONE
9.VANISHING POINT
10.GEORGIA
11.LIDO SHUFFLE
12.LOAN ME A DIME
13.BREAKDOWN DEAD AHEAD
<TOTO>
1.GYPSY TRAIN
2.CAUGHT IN THE BALANCE
3.PAMELA
4.BOTTOM OF YOUR SOUL
5.FALLING IN BETWEEN
6.ROSANNA
7.I'll supply the love(medley)
8.Isolation(medley)
9.Gift Of Faith(medley)
10.Kingdom Of Desire(medley)
11.Hydra(medley)
12.Taint Your World(medley)
13.HOLD THE LINE
14.DRAG HIM TO THE ROOF
15.AFRICA
16.a little help from my friends
撮影:Surje (Tokyo Buenos Aires)
この公演がこけら落としとなるJCB HALLは、噂にたがわぬ完成度の高いコンサートホール。狭い敷地を縦に使う効率の良さで、2階席、3階席バルコニーともステージが近く、どこの席からもライヴ感が堪能できる。音響もバランス良く感じられ、ポップス、ロックのどちらでも十分に楽しめる。
先にステージに立ったのはボズ・スキャッグス。黒のパンツとジャケットに身を包み、時にはセミアコ・ギターを弾きながら、落ち着いた雰囲気でじっくり聴かせてくれる。1976年のヒットアルバム『シルク・ディグリーズ』からの「ロウダウン」でライヴは幕を開け、このアルバムからヒット曲が3曲演奏された。もちろん、最大のヒット曲「ウィ・アー・オール・アローン」も披露され、ファンそれぞれが思い出に浸りながら目を瞑って聴き入る姿も散見された。
AORというジャンルを確立し、いまなお現役として活動を続けるボズ。演奏された13曲には、ノリノリのR&Bあり、洗練されたアーバンなポップスあり、そしてロックありと、とにかくファンを徹底的に楽しませてくれる。アンコール最後には、これも大ヒットしたアルバム『ミドル・マン』から「BREAKDOWN DEAD AHEAD」を演奏。これには、TOTOのスティーヴ・ルカサーも参加し、お互いに流れる友情の深さを見せつけてくれた。
そして短い休憩を挟んでTOTOの登場。デヴィッド・ペイチ(key, vo)が5年ぶりにTOTOに復活し、息の合った演奏を次々に繰り出す。スティーヴ・ルカサーのエンターテナーぶりはさすがで、ステージを動き回りながら超絶技巧のギターワークを聴かせてくれる。
圧巻は、大ヒット曲「ROSANNA」に続いて演奏された6曲のメドレーだ。「I'll supply the love」「Isolation」「Gift Of Faith」「Kingdom Of Desire」「Hydra」「Taint Your World」と続けて演奏された息をもつかせぬインタープレイとキメ、そしてスムーズに流れていく曲間をも含めて、いまさらながら各メンバーの演奏技巧の高さ、そしてどう演奏されようと色褪せないオリジナルのクオリティの高さを感じさせてくれた。
高度なテクニックが作り上げるロックは、匠の技の集合体。後ろに回るときはソロイストを引き立てながら確実に支える。そして自分が前に出るときには存分にそのソウルをぶつけてくる。ベテランだけが出来る絶妙なアンサンブルは、丁々発止のこのメンバーでしか味わえない最高のロックなのだ。
このコンサート最大の盛り上がりは、やはり「AFRICA」。変則的なリズムに合わせて観客が手拍子し共に歌う。原曲に忠実に演奏されたこの名曲は、当分(二度と?)TOTOという集合体に会えないファン達の思いを乗せ、ホールを興奮の渦に巻き込み、サビの大合唱が響き渡る大盛り上がりとなった。。そして、最後の曲はビートルズの「a little help from my friends」。ボズもステージに再び登場し、盟友との競演を果たしてくれた。
ベテランだけが表現できる落ち着いたロックの楽しさを十分に堪能できたライヴだった。JCB HALLのお披露目ということとも相まって、ファンの胸にいつまでも残るものになったであろう。
●ライヴ写真をもっと見るならコチラ
https://www.barks.jp/feature/?id=1000039033
2008.03.21 @JCBホール セットリスト
<ボズ・スキャッグス>
1.LOWDOWN
2.JOJO
3.SLOW DANCER
4.DESIRE
5.HERCULES
6.MISS SUN
7.HARBOR LIGHTS
8.WE'RE ALL ALONE
9.VANISHING POINT
10.GEORGIA
11.LIDO SHUFFLE
12.LOAN ME A DIME
13.BREAKDOWN DEAD AHEAD
<TOTO>
1.GYPSY TRAIN
2.CAUGHT IN THE BALANCE
3.PAMELA
4.BOTTOM OF YOUR SOUL
5.FALLING IN BETWEEN
6.ROSANNA
7.I'll supply the love(medley)
8.Isolation(medley)
9.Gift Of Faith(medley)
10.Kingdom Of Desire(medley)
11.Hydra(medley)
12.Taint Your World(medley)
13.HOLD THE LINE
14.DRAG HIM TO THE ROOF
15.AFRICA
16.a little help from my friends
撮影:Surje (Tokyo Buenos Aires)
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