Dir en grey<TOUR07 DOZING GREEN>ついに開幕

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9月13日、川崎CLUB CITTAでの公演をもって、いよいよDir en greyの今年2度目の国内ツアー、<TOUR07 DOZING GREEN>が開幕を迎えた。ファンの多くは知っているはずだが、この日の公演は彼らのオフィシャル・ファン・クラブである「a knot」の会員のみを対象としたもの。とはいえ、それが肩慣らしやウォーム・アップのようなことを意味するはずもないことは言うまでもなく、彼らはこの夜も過剰に鋭利で感情過多な攻撃的パフォーマンスを披露してみせた。

当然のことながら、これからこの最新型ツアーに接することになる人たちの興奮を妨げずにおくためにも、ここで具体的な演奏曲目やステージ上の風景などについて述べることは必要最小限にとどめておく。が、もちろん僕自身も過去に観てきた彼らのライヴにまつわるさまざまな記憶を踏まえて、自分なりの想像図を描きながら臨んだこの夜のライヴではあったが、結果、何度となく「やられた!」という感覚を味わわされることになった。もちろん肩透かしを喰らわされたという意味ではない。彼らは見事すぎるほどにこちらの予想を裏切り、期待を超越していたのである。

一応、少しだけヒントを提示しておくと、演奏メニューの軸となっているのが最新アルバムの『THE MARROW OF A BONE』であることに変わりはない。が、それに伴う情景が、これまでとは異なっているのだ。さらに、メイン・ディッシュの味すらも変えてしまうほどに強烈な素材が、随所に散りばめられていたりするのだ。こんな書き方をすると余計わかりにくいかもしれないから、敢えてひとつだけ具体的なことを報告しておくと、彼らのライヴで『MACABRE』というアルバムからの楽曲を3曲も聴いたのは実に久しぶりだった(!!!!)。もちろん彼らのライヴに“定型”というものは存在しないから、今後も同じようなセットリストが組まれるとは限らない。が、むしろ、サプライズはまだまだ他にも用意されているのではないかという気がする。

そして、そうした予測不能な演奏メニューのなかで、これまでに味わったことのない光を放っていたのが、この夜のステージが正真正銘の初披露の場となった「DOZING GREEN」である。10月24日にニュー・シングルとしてリリースされるこの曲は、今の僕にとってはまだ形容不能と言わざるを得ない楽曲だ。

が、間違いないのは、これまでの彼らの楽曲のどれとも似ていないということであり、既存の言葉では言い尽くせないような匂いやたたずまいを持っているということ。正直、この曲といち早く出会えるというだけでも、今回のツアーには充分すぎるほどの価値があると言っていいだろう。

Dir en greyは今後、この初日公演を含めて全19公演に及ぶ全国ツアーを展開していくことになる。その途中経過はまたいずれご報告するつもりだが、このツアーが今後さらにスリリングさを増していくことになるのは想像に難くない。そして彼らは10月20日の札幌公演をもってこのツアーを終了した直後、「DOZING GREEN」のリリースを迎えることになる。さらに11月にはリンキン・パークのさいたまスーパーアリーナ公演2本にスペシャル・ゲストとして登場することも決まっているし、実はそれと前後しながらの興味深いプランも整いつつある。こちらについても、ごく近いうちに正確な情報をお伝えすることをお約束しておこう。

2007年2月1日、アメリカでのヘッドライナー・ツアーをもって2007年のライヴ活動をスタートさせた彼らは、それ以降、去る8月中旬の欧州ツアー終了までの6ヵ月半の間に、実に世界全9ヵ国において70本ものライヴを行なってきた。そんなDir en greyのとことん攻撃的な2007年は、まだまだ終わらない。

増田勇一
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