『ザ・ストーリー・ゴーズ…』クレイグ・デイヴィッドが語る、過去と現在 INTERVIEW編
──1st、2ndと続けてリリースしたあと、今作の制作まで時間が空いていますが、その間、何をしていたのでしょうか?
クレイグ:ゆっくりしたよ。ロンドンに家を買って、友達と遊びに行ったり、フツーの生活を送ることができた。それまで忙しくて、自分の時間なんてなかったんだ。あのまま、慌しい中でアルバムを作りたくなかった。1年半、何のプレッシャーもなく曲作りに時間を割けてよかったよ。自分でいることができたからね。多分、いままでで一番気楽に、そして楽しんで作ることができたアルバムだと思うよ。
──そういう生活を送った後で、曲作りに変化はありましたか?
クレイグ:一番の違いは2ndの『スリッカー・ザン・ユア・アヴェレイジ』を作ったときは、ガール・フレンドがいたけど、これを作る前に別れた。だから今回は恋愛についてあんまり歌ってない。語ることがないからね(笑)。それと、年をとったせいか、若いころに体験した出来事について正直に話せるようになったんだ。イジメられてたこと、今まで恥ずかしいって思ってたんだけど、素直に話せるようになった。すごく個人的なアルバムになったよ。
──タイトル『ザ・ストーリー・ゴーズ…』に込める思いは?
クレイグ:このアルバムの収録曲には、それぞれストーリーがあるんだ。小さなストーリーがたくさん詰まってる。それがわかるようなアルバム・タイトルにしたかったんだ。最初は『Once Upon A Time(昔々……)』って思ったんだけど、それじゃちょっと、おとぎ話っぽい。それで次に思いついたのが『ザ・ストーリー・ゴーズ…』だった。ピッタリだって思ったよ。
──「ジョニー」はイジメ問題がテーマですが、子供のときの体験だったんですね?
クレイグ:そう、全部自分の体験したことだよ。昔はいじめられてたんだって、みんなに知ってもらいたかったんだ。僕は今は人に羨ましがられるような生活をしてるかもしれない。でもいつも自信満々ってわけじゃないよ。音楽によって救われたんだ。いじめられてる子供たちに“クレイグもそうだったんだ。でもいまの彼を見てみろ”って思ってもらいたいね。
──昔のつらい出来事を曲にしようと思ったのには、何かきっかけがあったのでしょうか?
クレイグ:朝、起きたとき、急に思い出したんだ(笑)。そういえば、昔いじめられてたなって。24になって、成長したんだと思う。暗い過去を明かすのが恥ずかしくなくなった。それに僕をいじめた奴がこの曲をラジオで聴いたら、最高のリベンジになるなって思ったんだよ(笑)。
──歌詞を書くときには、リアリティを重視する方?
クレイグ:すごく大事だね。「ヒット曲を作ればいい、歌詞なんかどうでもいいから」って言う人もいるけど、シンガー・ソングライターとしては、感情を込めた曲を作りたい。だから僕にとっては実際に起きたことを書くほうが、簡単なんだよ。
──今作のサウンドは1stに近いように思います。
クレイグ:それは1stでもコラボしたマーク・ヒルのおかげだと思う。彼とまたスタジオに入るのが楽しみだったよ。彼のことは13歳のときから知ってて、お互いよく理解し合ってる。2人ともメロディと歌詞を重視したかったんだ。よくプロダクションに頼って、曲が息をしてないようなアルバムを作るアーティストが多い。そういうのはやりたくなかったんだ。
⇒インタヴュー Part 2