ノラ・ジョーンズ、新作引っさげ待望の来日公演レポ
発売同時にソールドアウト、超プレミアム・ライヴとなったノラ・ジョーンズの来日ツアー。その締めくくりを飾る日本武道館には、往年のジャズリスナーから、Bボーイ風の若者まで、さまざまな世代のリスナーでぎっしりだった。だが、さすがジャズのコンサートというべきか、会場が暗くなって本人が登場しても「キャー」という歓声は少なく、拍手で歓迎の意を表わすのは、ふだんジャズ系のライヴにはあまり足を運ばない筆者には新鮮だった。
一方ノラであるが、世界各地の大ホールでのコンサートに慣れているせいか、もしくは今回の日本ツアーのラストを飾る公演だけあってか、すごく柔らかな笑顔を浮かべながら、駆け込んでピアノの前の椅子に腰掛けた。ブルーの鮮やかなキャミソールとデニムというコーディネートもかなりキュートだ。実は、今回のライヴを観るまで、彼女はおしとやかな、お嬢様タイプの女性と想像していたのだが、そういう仕草やMCでの話し方から、あっけらかんとしたオープンな性格がうかがえて、とても親近感が持てた。またステージも、サイケデリックでキュートなライトと、ビロードのカーテンで飾られた空間で、まるで彼女のリビング・ルームに招待された気分に。最新作のタイトルどおり『フィールズ・ライク・ホーム』な雰囲気だ。
しかし、一度ピアノやキーボードを弾き、歌いだすと、彼女の身体から強くて、聴く者すべてをやわらかく包み込む光が放たれる。時々ステージ脇に設置された大型モニターで、ピアノ/キーボードの鍵盤がアップで写しだされるのだが、彼女の弾き方たるや、まるで鍵盤に指が溶け込んでいくかのような滑らかさで、指先からも強いオーラを放っていたのだ。その他にも、超ベテラン・ミュージシャンによるバック・バンドとの呼吸もぴったりで、ジャズならではのジャム・セッションもところどころに交えながら、「ホワット・アム・アイ・トゥ・ユー」などおなじみのナンバーを情緒豊かに歌い上げてくれた彼女。改めて彼女の才能の素晴らしさを体感できた。
クライマックスを迎えると、ボブ・ディランのカヴァーや、大ヒット曲「ドント・ノー・ホワイ」「サンライズ」を披露し、会場はヒートアップ。ついにラスト「ライフ・イズ・ア・カーニバル」(ザ・バンドのカヴァー)では、観客全員が彼女に促されてではあるが総立ち。ノラも熱い手拍子をバックに、ステージを右へ左へ動き回り、ライヴ感たっぷりに歌い上げる。そしてアンコールでは「テネシー・ワルツ」をカヴァー。彼女の優しく、憂いを帯びた歌声とピアノの音色にすすり泣く人も。
「こんなにステキな気分になれたライヴができたのも珍しいわ。本当にアリガトウ!(日本語で)アイシテマス!!」と叫び、ステージを去った彼女。武道館という広い空間だったが、その広さを感じず、ノラと心が通じあえたような気がした、充実の100分のパフォーマンスだった。
取材・文●松永尚久
写真●シャノン・ヒギンス
一方ノラであるが、世界各地の大ホールでのコンサートに慣れているせいか、もしくは今回の日本ツアーのラストを飾る公演だけあってか、すごく柔らかな笑顔を浮かべながら、駆け込んでピアノの前の椅子に腰掛けた。ブルーの鮮やかなキャミソールとデニムというコーディネートもかなりキュートだ。実は、今回のライヴを観るまで、彼女はおしとやかな、お嬢様タイプの女性と想像していたのだが、そういう仕草やMCでの話し方から、あっけらかんとしたオープンな性格がうかがえて、とても親近感が持てた。またステージも、サイケデリックでキュートなライトと、ビロードのカーテンで飾られた空間で、まるで彼女のリビング・ルームに招待された気分に。最新作のタイトルどおり『フィールズ・ライク・ホーム』な雰囲気だ。
しかし、一度ピアノやキーボードを弾き、歌いだすと、彼女の身体から強くて、聴く者すべてをやわらかく包み込む光が放たれる。時々ステージ脇に設置された大型モニターで、ピアノ/キーボードの鍵盤がアップで写しだされるのだが、彼女の弾き方たるや、まるで鍵盤に指が溶け込んでいくかのような滑らかさで、指先からも強いオーラを放っていたのだ。その他にも、超ベテラン・ミュージシャンによるバック・バンドとの呼吸もぴったりで、ジャズならではのジャム・セッションもところどころに交えながら、「ホワット・アム・アイ・トゥ・ユー」などおなじみのナンバーを情緒豊かに歌い上げてくれた彼女。改めて彼女の才能の素晴らしさを体感できた。
クライマックスを迎えると、ボブ・ディランのカヴァーや、大ヒット曲「ドント・ノー・ホワイ」「サンライズ」を披露し、会場はヒートアップ。ついにラスト「ライフ・イズ・ア・カーニバル」(ザ・バンドのカヴァー)では、観客全員が彼女に促されてではあるが総立ち。ノラも熱い手拍子をバックに、ステージを右へ左へ動き回り、ライヴ感たっぷりに歌い上げる。そしてアンコールでは「テネシー・ワルツ」をカヴァー。彼女の優しく、憂いを帯びた歌声とピアノの音色にすすり泣く人も。
「こんなにステキな気分になれたライヴができたのも珍しいわ。本当にアリガトウ!(日本語で)アイシテマス!!」と叫び、ステージを去った彼女。武道館という広い空間だったが、その広さを感じず、ノラと心が通じあえたような気がした、充実の100分のパフォーマンスだった。
取材・文●松永尚久
写真●シャノン・ヒギンス
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