| ──昨日(4/13・渋谷クラブクアトロ)のライヴの手応えを教えて下さい。
キャリー・スミス(B):素晴らしかったわ。日本のオーディエンスは静かだと聞いていたけど全然そんなことなかった。
──男女2人ずつで4人組のロック・バンドというのはアメリカでも珍しいのではないですか?
ジェイソン・ストールタイマー(Vo&G):僕らの生まれたデトロイトという街は性別にはすごくオープンで、ミュージシャンでも男性だから、女性だからという区別はあまりないんだ。実際、デトロイトにはシンガー以外のメンバーとして女性がいるバンドも多いしね。“男が2人、女が2人いるユニークなバンドを作ろうぜ!”なんて結成したわけじゃないよ(笑)。
キャリー:そうなの。だから、“女性のいるロック・バンド”というよりは、“ロック・バンドのメンバーがいて、その中にたまたま女性がいた”くらいに受け止めてほしいの。
──アルバム『ポーン・ショップ・ハート』のタイトルの意味を教えて下さい。
ジェイソン:僕は最近結婚したんだけど、結婚指輪が高くて買えなかったんだ。それで質屋で安い指輪を買おうと思って出かけたのさ。“結婚指輪を見せてくれ”って言ったら、お店の人がいろんな種類の、すごい量の指輪を出してきてね。結婚指輪を質屋に売る意味、分かるよね? これだけのハートが壊れたのかと思うと、悲しくてとても買えなかったんだ。あのときのショックがあまりにも強烈だったから、そのときの想いを込めているんだ。
──アルバム全体が昔風のサウンドと新しいサウンドが絶妙のブレンドでした。みなさん昔の音楽が好きなのですか?
ジェイソン:クラシック・ロックは好きだけど、すごく影響を受けて、それがバンドの音に反映されているかというとちょっと違うんじゃないかな。
キャリー:でも、あなたいつも'50年代、'60年代の音楽聴いてるじゃない。チャック・ベリーとか大好きだし。
ジェイソン:確かに(笑)。
──ソングライティングの面で心がけたことはありますか?
ジェイソン:たとえば「カモン・カモン」って30分ぐらいで書いた曲なんだ。ほかにも1時間ぐらいで作ったのもいくつかある。何が言いたいかっていうと、机の前に座ったり、スタジオに入ったりして、“さあ曲を書くぞ!”って書くタイプじゃないってこと。思い付いたときにいつでも書くんだ。心がけたのはライヴで盛り上がりやすいようにってことかな。
──1stアルバムは厭世的で攻撃的でしたが新作はもっとクールなロックンロールですね。この変化はどこから生まれたのでしょうか?
キャリー:わたしたちの成長の反映っていうのが一番大きいと思う。1stアルバムのときは若かったし、結成3年目になるんだけどバンドとしていろいろな経験を積んだのよ。
ジェイソン:バンドを囲む状況も変わったんだ。前のアルバムの曲は全部デトロイトで書いたんだ。小さな街の、いつもの風景の中で鬱屈していた。今回のアルバムは、ツアー中にいろんな場所で書いた。デトロイトで書いた曲は1曲もないよ。そういう環境面での変化もあったと思う。
──元トーキング・へッズ、ジェリー・ハリスンがプロデュースで参加したことはバンドにどのように影響しましたか?
ジェイソン:彼はとても経験豊かで本当にいろいろな影響を受けた。彼は押し付けがましく“ここはこうしよう”なんて言ってくるタイプじゃなくて、こちらから聞かないと何も言わない。でも、質問にはすごく的確に答えてくれる。多用してるわけじゃないけど、プロツールズの使い方も彼に教わったんだ。
──マーシー、キャリーという2人の女性ヴォーカル・コーラスがいることがバンドにどのように機能していると思いますか?
ジェイソン:いいコントラストになってるんじゃないかな。とくに、僕は叫ぶように歌ったり、ヴォーカルのスタイルが男臭かったりするから、女性の軽くてキュートなコーラスが入ると変化がでるんだ。アバと比べられることもあるんだけど、女の子が楽器も弾けて、ロックでここまでやってるバンドも珍しいんじゃないかな。
──では最後の質問です。ジャックと仲直りしましたか?
キャリー:もう裁判での決着がついてるから、これ以上何も考えたくないの。わたしたちはわたしたちの音楽をやっていくだけよ。
ジェイソン:また友達に戻ることはないだろうね。
取材・文●編集部 |
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