【俺の楽器・私の愛機】078「左半身麻痺のギタリスト」

【Fender USA Stratocaster Elite】(大阪府 ぎゃず 54歳)

今は54歳。51歳の10月に脳梗塞を発症してから3年半が経つ。後遺症は重度障害2級。ギタリストでも有りボーカリストでも有ったが一年間は声も出ず、ギターどころかスマホを左手で持つ事も困難な中、SNSを通じて10年以上の付き合いになる画家の友人が「もう一度ギターが弾ける様になりますように」と想いを込め、個展で絵を売ったお金でプレゼントしてくれた。
9歳からギターを弾いてた私は16歳で初めて自分で買った憧れのFender USAにこだわりが有りギターを抱いて寝る程だったが、時に人に貸して勝手に売り飛ばされてたり、両親の膨大な負債を肩代わりして失ったり。脳梗塞の2年ほど前には交通事故に遭い生活苦からFenderを売って手放したり。
そんな中、脳梗塞を克服するモチベーションとしてFender USAのストラトがもう一度欲しい、とSNSで呟いたところ先の画家の友人が贈ってくれた大切な想いが込められたギター。その友人は目に障害が有り人の何倍も過酷な状態の中で目も体もメンタルも酷使して絵を描き続けていて、決して安くは無い当時30万円のこのギターをプレゼントしてくれた。

このギターだけは失う訳にはいかない。そして弾ける様にならなければならないと日進月歩の自主リハビリを続けて3年半、コードを押さえる事は今は出来ないものの簡単なフレーズなら弾けるまで回復してきた。
肩甲骨が動かず腕が曲がらず手首が固まり指先は全く反応しなかった自分をここまで回復させてくれたのは他ならず、このギターに込められた想いに背中を押して貰えたから。
今は声も戻り呂律もかなり回復し、目指すのは以前の様に唄いながら旋律を奏でLIVEをする事。
ギターをプレゼントしてくれた友人の名前が江里子。それにあやかり、このギターにはエリーと名付けした。ネックすら握れなかった自分にケリをつけ、次は以前の様にエリーを弾く。
最期の一息まで闘い続けるのがROCKだから。


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皆さんの相棒やこだわりの愛機を紹介してほしいと思って始めた当【俺の楽器・私の愛機】コーナーですが、こんなに心魂が注がれたエピソードが届くなんて、思いもしていませんでした。楽器を通じて人と人が共鳴し奇跡への道筋を描く様子は、欽仰の念に堪えません。(JMN統括編集長 烏丸)
★皆さんの楽器を紹介させてください
「俺の楽器・私の愛機」コーナーでは、皆さんご自慢の楽器を募集しています。BARKS楽器人編集部までガンガンお寄せください。編集部のコメントとともにご紹介させていただきますので、以下の要素をお待ちしております。
(1)投稿タイトル
(例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
(例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
(例)トラヴィス・ビーン TB-1000
(例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
(例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
(例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
(5)写真
※最大5枚まで







