アメリカのポスト・ハードコア/スクリーモに対するイギリスからの回答! ’04年のUKロック・シーンのブライテスト・ホープとして脚光を浴びたサウス・ウェールズ出身の5人組フューネラル・フォー・ア・フレンド(FFAF)が去る10月、再来日を果たした。東京公演2日目の本番前にマット・デイヴィス(Vo)とギャレス・デイヴィス(B)の2人に話を訊いた。
──’02年の結成以来、休むことなく走り続けてきたという印象があるけど、これまでを振り返ってどう思いますか?
マット・デイヴィス(Vo、以下マット):自分達のことを客観的に見る余裕なんてなかったんだけど、去年のクリスマスにやっと休暇が取れて、自分達のことを見つめ直してみたとき初めて、自分達が夢を一杯叶えているんだってことに気づいたよ。
ギャレス・デイヴィス(B、以下ギャレス):それに気づいたとき、全てが嬉しい思い出に変わったんだよ。
──逆にプレッシャーは感じませんか?
マット:クリエイティヴな面では、常に自分達にプレッシャーをかけているよ。常に前よりもいいものを作りたいからね。そういう意味ではプレッシャーを感じることもある。でも、僕達は、ほんの一歩しか踏み出していない。まだまだこれからだよ。2週間に1組、新しいバンドがデビューする世の中だ。今、自分達が置かれている状況を当たり前とは思わずに、一日一日を大切にしたいんだ。
──ここ1、2年のイギリスのロック・シーンの盛り上がりにはずいぶん興奮させられました。渦中にいた皆さんは、どんなふうに感じていましたか?
ギャレス:レーベルと契約していないバンドが、まだまだいっぱいいるんだけど、そういう連中もレベルが高いんだ。そういう意味では、シーン全体が底上げされたって実感はあるよ。ブリット・ポップにできなかったことを、今のロック・シーンはやり遂げたんじゃないかな。ザ・フーにまで遡ってもいいけど、もっと近いところで言えば、アイアン・メイデンとかジューダス・プリーストとか、元々、ロックを始めたのはイギリス人なんだから、やっぱり今の盛り上がりは誇りに思うよ。
──ブリット・ポップと言われていたオアシスやブラーはあまり好きではなかった?
マット:全く興味はなかったね(笑)。ブリット・ポップが流行っていたころは、アメリカのハードコア・バンドばかり聴いていたよ。
ギャレス:俺もレディオヘッドぐらいかな。
──契約前のバンドもレベルが高いと言っていたけど、FFAFのデビュー盤も新人とは思えないクオリティーの高さでしたね。
マット:実を言うと、デビュー盤はそれほど準備せずに作ったんだ。もちろん、いい作品だとは思うけど、今聴き返してみると、もっとこうしておけばよかったってところが、ずいぶんあるんだよね。
ギャレス:だからこそ、俺達は2ndアルバムに賭けているんだ。次のアルバムこそが本当の俺達だってぐらいの意気込みはあるよ。
マット:すでに曲を書きはじめているんだけど、デビュー盤以上にバラエティーに富んだものになると思うよ。
ギャレス:エレクトロニックな要素も入ってくると思うしね。
マット:エモ・バンドは卒業さ(笑)
ギャレス:だからって、いきなりレディオヘッドみたいなバンドになるわけではないよ。ギター、ベース、ドラム、それにヴォーカルっていうロック・バンドの枠組の中で、いかに多彩な曲を書けるかってことに挑戦しているんだ。
──新作のリリースの予定は、もう見えているんですか?
マット:8曲ぐらい書き上げたんだけど、20曲ぐらいは作って、その中から選びたいんだ。で、年明けにはスタジオに入って、来年の初夏までにはリリースしたいね。
取材・文●山口智男