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マンチェスターのレトロファンク・シーン出身のBlurは、英ポップ界に彗星のごとく現れた。中産上流階級の学校仲間が結成したこのバンドは、Damon Albarnの才気煥発な歌詞やメロディーと、Graham Coxonの独創的なギター・ワークを軸に、どこまでもイギリス的でひねくれた人々を主人公にした歌をつくるのを得意とする。MadnessやXTC、Kinksに影響され、Martin Amisの著書『London Fields』に描かれた浅ましい物語にインスピレーションを得たというBlur(ベースはAlex James、ドラムスはDave Rowntree)は、快進撃でイギリスを制覇し、アメリカにまで勢力圏を拡大した。

1stアルバム『Leisure』からは、“She's So High”“There's No Other Way”といったキャッチーな曲がヒットしたが、Blurが足場を固め、独特な感性を確立したのは、次作『Modern Life Is Rubbish』においてである。精彩を放つ理知的なアレンジとほとばしるメロディにのせて痛烈に社会を批判するAlbarnは、ブリティッシュ・ポップに登場した新たな“オリジナル・ヴォイス”だった。ロンドンの演劇シーン出身のAlbarnが、劇作家のように描き出す救いがたい人物像は、CoxonのシャープなギターとRowntreeのクリエイティヴなドラムスに生命を吹き込まれる。多様なスタイルを用いた『Parklife』によって、Blurが押しも押されもしない本国のスターになると、パブに集ったイギリスの若者たちは、イギリス人ならではの感覚に彩られた超キャッチーなBlurの作品に祝杯を挙げた。

また、このアルバムをきっかけに、同じマンチェスター出のライバルOasisとの熾烈な争いが始まり、彼らはOasisの労働者階級の叙事詩に、洗練された冒険譚で応酬した。イギリスでの成功に気をよくしたBlurが次にリリースした『The Great Escape』は、バンドの可能性を押し広げ創造性を高めたアルバムで、実に自信にあふれている。Albarnは相変わらずイギリス社会の暗部を巧みに暴き出し、陽気な“Country House”では、処方薬とハーブの風呂なしでは生きていけない裕福なビジネスマン(「僕はプロの皮肉屋、でも心はうわの空」)が描かれる。“Stereotypes”は夫婦交換をする郊外居住者の話。“Best Days”はCoxonのギターが美しい悲しみに満ちたラヴソング。“The Universal”は、21世紀に見つかったという設定の新種のドラッグを賛える、Burt Bacharach風の奇抜な歌だ。『The Great Escape』は、的確な人間観察と音楽スタイルが鮮烈な印象を与える傑作だった。

イギリスではミリオン・セラーを記録したものの、世界制覇をめぐる闘いではOasisに破れたと思われていたBlurは、バンド名を冠した『Blur』で再び自己改革を試みる。BeckやPavementの影響もあって、アメリカは突如Blurを受け入れた。ヒット・シングル“Song 2”では、イカレたかけ声とディストーションのかかったぶっきらぼうなギターをバックに、Albarnが“ヘヴィメタル”な気分を歌い、ローファイな曲調で強迫的なコーラスへと至る。

彼らはイギリス趣味を押しつけるのではなく、アメリカのフォークやカントリー、パンク、グランジに歩み寄ることで、アメリカでの成功をつかんだ。一方このアルバムには、麗しい“Beetlebum”や、シュールなバラード“Strange News From Another Star”、さらに“Look Inside America”といった曲も入っている。ハープがステレオでグリッサンドし、'70年代ハードロックのギター・ソロがカー・ラジオから流れる中、Blurはアメリカを見つめて「彼女もなかなか悪くない」とつぶやく。念入りにつくりあげた聡明なポップは、音楽への期待が薄らいだ時代にも、立派に生き残れるのだ。

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