――ストリートライヴも演られていたのですね。
PYON:
RYOTAに声を掛けられてバンドを組んだんですけど、メンバー変更などで結局2人が残っちゃったんです。バンド活動が止まるのが嫌だったんで、できることは何かって考えて路上に出ました。昔からバンドしか考えていなかったので、2人のロック・ユニットって、ともすればフォークユニットに間違われそうで嫌だったんですけど、2人でもロック魂って言うか、自分たちの思った以上にロックサウンドを表現できていたと思います。
――当時のエピソードを聞かせて下さい。
PYON:
冬は大変でした。でもその中で演れたのは凄いな、と。勢いって凄いな、と。今ここにいるのはあの路上ライヴがあったからだと思うんですよ。あの時は、2人で曲作り、演奏面でぶつかったし、不安定な状況でした。辛い思い出なんですけど、Tripmeterのスタイルはあの時に出来たと思っています。
――では、本題です。デビューシングル「ガーネット」の話を聞かせて下さい。
PYON:
「ガーネット」は昔のバンドでも演奏していたんですよ。当時、この曲のデモテープを路上で売ったこともあったんですよ。
――思い出深い曲ですね。
PYON:
うーん、本人達より、昔から「ガーネット」を聴いて応援してくれていたファンの方のほうが思い出深いかもしれませんね。路上でも皆必ず立ち止まってくれたし、一番力を持ってる曲なんだとは思います。
RYOTA:
ですから、僕達のスタートにふさわしい曲かなと思いました。
――なるほど。レコーディングの秘話なども聞かせて下さい。
PYON:
今回、佐橋さんにプロデューサーとして入ってもらって、今までいろんな「ガーネット」を演奏してきたんですけど、それとは変わった仕上がりになって、自分達にとって凄く新鮮です。割り切って、佐橋さんにお任せしちゃったほうが良いんじゃないかって話してたんですね。今までと同じことをやってもつまんないし、新しくないから。
――カップリングの「Go Away」については?
PYON:
前へ進むぞ、と決心した曲でもありました。これも路上ライヴでやってきて、今の事務所の社長には大絶賛でした。“耳に残る”と繋がりのきっかけになった曲ですね。
RYOTA:
デビューって始まりな訳じゃないですか。「ガーネット」も「Go Away」も、スタートする今、入れておかなきゃっていうのはあったよね。PYONの詞も前向きっていうか、前しか見ていないような詞なのでいいかなって。
――ここに収録された「Go Away」には勢いを感じます。切羽詰まったようなヴォーカルが、曲をより印象付けていますね。
PYON:
私はいつも切羽詰まってますから。(笑)でも、そういう気持ちはいつも大事にしています。Tripmeterっていう名前も、車の「トリップメーター」からきています。これはどんどん前に進んでいく、数が増えていくという意味を込めて付けましたが、この「トリップメーター」は必要に応じて数をリセットしてゼロに戻すことができるんです。初心を大切にしていきたいという意味もあるんですよ。
――そういえばPYONさんの歌詞も直接的ですよね。ロックは、感情表現が大事な要素だったりするんで、重要ですよね。
PYON:
メロディを聴いて自然に出てくる言葉、はまりがいいのと胸に入ってくる言葉を選びますね。遠回しにするよりはダイレクトに入ってくる言葉がいいですね。皆が感じてることでも、普段は言えない言葉なんかをサビにもってきたりします。そのほうが伝わりやすくて、キュンとなると思ったんです。
RYOTA:
「ガーネット」くらいからPYONの表現が変わってきたんです。以前よりは直接的ですね。メロディ以外で伝える部分が強くなったと思いますね。すごくいい傾向だと思います。
――抜けたんですね。
PYON:
大人の女になったんですね。(笑)
RYOTA:
そんなことは思わなかったですよ。だっていつもPYONのほうが先にいってますから。ライヴでもね、かなわないなって思うことが多いんですよ。内から出てるものって、かなわないんですよ。
PYON:
と、言いつつステージ立つときはライバル心むき出しです。RYOTAがギターソロで前に出る時は皆が注目するんで、それが悔しくて私も前へ出る、みたいな。
RYOTA:
ソロくらいはいいじゃないか。立ててくれよ、みたいな。(笑)
PYON:
でも2人共同じポジションでやってますよ。(笑)
――それは12月7日のDeseoでのライヴで判断させてもらいましょう。(笑)
取材・文●中島儀幸