その週開かれるはずだったコロラド、ニュー・メキシコ、そしてサンディエゴのコンサートをキャンセルした後、この夜ステージに現れたDavid Crosby、Stephan Stills、そしてGraham Nashの3人は、バンド演奏なしの「Daylight Again」で感動的にショウをスタートさせた。その後、戦争の馬鹿さ加減をうたった「Find The Cost Of Freedom」が続き、それはまさに今にうってつけのものだった。
それから彼らの最強のバンドが登場すると、2時間半におよぶコンサートは、30年も前に行なわれた初期のCS&Nの素晴らしいライヴを彷彿させるような、またはそれ以上のものとなった。ブルース調の「For What It’s Worth」やアルバム『Looking Forward』から「Half Your Angeles」(オクラホマ爆破事件もとにした、心を打つタイムリーな曲)。そして’20年代に起きたあまり知られることのない人種暴動(アメリカの歴史上、かつてないほどの死傷者を出した)について歌ったラテン・ブルース風のGrahamの新曲「Dirty Little Secret」が披露された。これは最近のGrahamの名曲のひとつで、その歌詞は今回起こった事件についても言及しているようだ。ティンバルで演奏をはじめたStillsはその後、おそらくどのステージでも見られないような荒々しいギターソロへと切り替えていく。
アンコールでは「My County」「Tis Of Thee」「Teach Your Children」が演奏されてウッドストックの栄光を再現し、観客は伝説の3人が呼び起こした’69年のあの感激――連帯意識とか勇気というものを胸に抱いて会場をあとにした。