AALIYAH(アリーヤ)はいつも刺激的だ。 「BACK AND FORTH」での鮮烈なデビューから早7年、いつもワクワクさせてくれる。
映画『DR. DOLITTLE』のサントラ収録曲で、後のシーンに多大な影響を与えた「ARE YOU THAT SOMEBODY?」。 アイドル的なイメージを覆し、アーティストとして成長していくなかで、遂には銀幕へ。
ジェット・リーとの共演で話題を呼んだ映画『ROMEO MUST DIE』への主演、そしてサントラ収録曲の「TRY AGAIN」の大ヒットと、この3枚目『AALIYAH』(まだ3枚目なのだ!)のアルバムへの布石は充分と言っていいほど作られている。
正直なところ、「TRY AGAIN」によるあまりの完成度の高さに、個人的には早々と“傑作”を予感せずにはいられなかったが、その予感に間違いはなかったと思う。
またまた充分すぎる刺激だったのが本作からの先行カットにあたるM1「WE NEED A RESOLUTION」だ。前述した「ARE YOU THAT SOMEBODY?」や「TRY AGAIN」など、AALIYAHとは抜群の相性を聴かせる、今やトップ・プロデューサーのひとり、TIMBALANDが手掛けたコイツは、大方の予想/期待していた“AALIYAHの3rdからの華々しい先行カット!”とは少し違う印象を与えるモノだった。 こんな革新的なサウンドの曲を1stカットに持ってくるのか!?って感じた人もいると思う。しかしこんな冒険的なことをサラリとやってのけるところが、またAALIYAHのフレッシュたる所以だろう。
同じくそのTIMBALAND作のM4「MORE THAN A WOMAN」も、どこかアブノーマルな世界を匂わせる快作で、やはり相性の良さは健在。
また「TRY AGAIN」での霞みそうな声で歌う様を再び感じさせたM3「ROCK THE BOAT」やヒューマン・ビート・ボックスをFeat. しての濃厚なスロウM6「I CARE 4 U」(TIMBALANDプロデュースでMISSY “Misdemeanor”ELLIOTT作)、BUD’DA(Dr. Dre門下生。こんなことにもドレの威光が!)、プロデュースのラテン~ボサノヴァっぽい雰囲気のM8「READ BETWEEN THE LINES」、ドラマチックというには派手派手しすぎるサウンドに全くヒケをとっていないM10「I REFUSE」などなど、押し並べてクオリティは高く、AALIYAHのセンスを強く感じさせてくれる。
そしてトドメはアルバム中の実に6曲を手掛け、その全てがハイ・クオリティというかハイ・レベルな印象だったRAPTURE AND E. SEATSなる新鋭トラックメイク・コンビの仕事ぶり。M11「IT’S WHATEVER」、M13「THOSE WERE THE DAYS」あたりはかなりクラった…。TIMBALANDに続いてまたまた新たな才能も発掘、と数年先までこの衝撃は響くんじゃないだろうか。
あと余裕で蛇足なんだけどジャケもクソ良い! ハンパなくカワユイぜ!
文●升本 徹(01/07/10)