パフォーマンス、演奏力、インパクト…すべてに魅せられた、日本単独公演
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今年の“ベスト・ライヴアクト”と断言できるステージ |
![]() 『RELATIONSHIP OF COMMAND』 東芝EMI VJCP-68272 2,548(tax in) 1. Arcarsenal |
「Arcarsenal」のイントロが渋谷AXに鳴り響き、ヴォーカルのCedricがステージ高くマイクスタンドを放り投げた瞬間、今日のライヴがスペシャルなものになることは約束されていた。 メジャーデビューアルバム『Relationship of Command』のリリース、2000年に開催された<SUMMER SONIC2000>での鮮烈なステージが話題となった、At The Drive-inの単独公演が、渋谷AXで開催された。 もちろん場内は満員。音楽メディアで流れる「One Armed Scissor」でのステージの映像がブッ飛んでいるだけに、半端ではない期待が場内に満ちていた。 まずサポートとして登場したのが、From サンディエゴのThe Locust。 Sci-Fi映画ばりのファーのタンクトップに身を包み、シンセサイザーをフィーチャーしたファストコア・サウンドで日本のエモ・コアファンを(違う意味で)ノックアウトしていた。 そしてATDIの登場。アルバム1曲目の「Arcarsenal」から、メンバー全員がエネルギー全開。とてつもなくシャープなサウンドが繰り出され、音源よりも一体感が感じられたのは驚愕した。続けざまに、「Pattern Against User」。サウンドとともに会場全体が大きなうねりに包まれる。 特筆すべきなのが、エフェクトをかけたヴォイスやサンプル・ループを曲中、曲間に多用し独特の空間をステージ上につくりだしていたことだ。 ライヴ中盤の「Enfilade」ではドラムのTonyがヘッドフォンをかけ、サンプルループに合わせてリズムを刻み、Cedricはドラムセットの横にセッティングされたエフェクト・ヴォイス用マイクに叫び、さらにそれをリアルタイムで変調/エフェクトをかけまくる。 普通、エフェクト/SEなどはスタジオワークの産物であることが多いのだが、「Relationship of Command」に収められているサウンドは純粋な音楽的実験から生まれたものだと認識させられた。 ライヴを実際に体験して認識できたのは、ギターを担当するOmarとJimの役割がはっきりと分かれ、独特のATDIサウンドを作り出していたことだ。Jimは曲全体を決定付けるバッキングをワイルドに刻み複雑な曲構造をしっかり支えるのに対して、Omarは印象的なリフをテクスチャーのように敷き詰めていく作業を行なう。そしてそのテクスチャーは素晴らしい調和をもたらし、時として曲自体を異化してしまう程のインパクトを放ち続ける…。 終盤にはシングル「One Armed Scissor」で会場全体がピークに達し、「NAPOLEON」でOmarがギターを放り投げてセットが終了。 アンコールは日本盤ボーナストラックにあたる「Catacombs」。 イントロでOmarのギターが鳴らなくったトラブルがありつつも、まったくテンションが切れることなく最後までテンションの高いステージを見せつけた。 2001年のしょっぱなから“ベストライヴ・アクト”を体験した気分になったくらい、パフォーマンス、演奏力、インパクトすべてが高いライヴアクトだった。 この勢いで2001年中の再来日の実現を祈りたい。 文●鈴木貴歩 |







