“これから落ち着いてポップアルバムを作ります”なんて言えるほど頭が良いわけじゃないしね。
Collective Soulの4枚目のアルバムを聴くと、これまでのアルバムよりもちょっとポップというジャンルにおいて“実験的な”感じがすると思ったら、そのことについて、ヴォーカリスト兼ギタリスト兼メインソングライターであるEd Rolandが、フロリダ州のゲインズビルから電話で説明してくれた。 「レコーディングにたくさん時間があったんだ」 彼は、ジョージアを基点としたグループであるStockbridgeを設立した。ゲインズビルでは、3月のツアーにさきがけるかたちで、1日限りのライヴを行なっている。 「これまでは、アルバムを作るときに、スタジオを使える時間が決まっていて、その後すぐにツアーの予定が入っていたから、レコーディングがすごく忙しかったんだ。今回は、時間の制限がなかったし、スタジオを修理する時間もあったんだ。1度もしたことがなかったんだけど、ずっとしたいと思ってたんだ。このおかげで、今回のアルバムはちょっと違った感じ、違った雰囲気になったと思う。最高にクールなアルバムだよ」 実際に、これらのセッションでは、メンバーが違う楽器にトライしていたりもする。バークレーで教育を受けたギタリスト、Rolandはキーボードにトライしている。さらに、Rolandは、『Dosage』が他のアルバムよりかなりポップよりに聴こえても、それは全く意識していなかったことだと言う。 「僕たちはずっと曲重視でやってきたよ」彼は考えながら言う。 「これまでずっと、メロディアスなものを作ってきたから、アルバムの曲全部をまとめてみると、前よりもポップな感じかもしれない。けれど、本当にそんなことは考えたこともないんだ。椅子に座って、“分かったよ、ポップソングを作ってみたんだよ”なんて言ったりしないよ。ただ曲を作ってるだけなんだ。曲ができてハッピーなだけなんだ。そんなにコントロールできるものじゃないよ。“これから落ち着いてポップアルバムを作ります”なんて言えるほど頭が良いわけじゃないし。だから、これはしようと思ってしたことじゃないよ」 それでもやはり、美しい曲である「Needs」(「僕らの“シンガーソングライター”魂の曲」)からオープニングの「Tremble For My Beloved」まで、ポップサウンドがこのアルバムを覆っている。」 Tremble For My Beloved」は、父親になろうとしていることを書いた曲で(「この曲は、父親になることを告げられた男がみんな示す反応なんだ。不安な一面があるからね。責任とか……」)、Electric Light Orchestraの音楽を参考にしている。
「そして、僕はELOというバンドが好きだけど、もう一度言うけど、椅子に座って“このアルバムをJeff Lynneのレコードみたいにプロデュースしよう”と言ったことはないよ。けれど、僕たちは彼のことが大好きだから、とにかく潜在的には、きっと彼の影響を受けていると思うんだ。彼の影響は大きいからね」 『Dosage』というタイトルは、彼らのこの前のツアーの最後で“バーンアウト”を説明するために使われたキャッチフレーズをもとにしている(「だけど辞書で調べてみたら、その言葉の意味は“与えること”だったんだ。なかなかクールだよね」)。 『Dosage』も「Stuck」をフィーチャーしている。「Stuck」は、RolandとリズムギタリストのDeanが、兄弟で初めていっしょに作った曲である。バンドに兄弟がいると、EverlyやDaviesやAlvin兄弟みたいにトラブルが起こりがちだが、彼らにはそんなくだらない対立はない。 「いや、僕たちはうまくやっているよ」 Rolandは断言する。 「このバンドのメンバーはみんな仲良くやってるよ。つまり、おたがいひっぱたいてやろうかと思うときもあるけど、それは1日24時間の人生のうちのほんの少しだからね。僕たちの友情はとても長く続いているし、今までのところ問題はないよ」 さて、4枚のアルバムのうちで、Rolandがひとつ好きな曲を上げるとしたら何ですか? 「1つ完成するとそれが一番好きなものになるから、答えにくい質問だね。僕は基本的に仕事全体に誇りを持っているんだ」 by Bill Holdship |
「Jeff Lynneのことは、ずっとプロデューサーとして尊敬しているんだ」と、Rolandは認めている。
