これはUKロックの新旧交代劇なのか?
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これはUKロックの新旧交代劇なのか? これまでにも、こんなライヴがあった。 古い者と新しい者が出会う瞬間。 後者は、目新しいギターリフと尊大な自信で突風を起こして、前者を時代遅れに追い込もうとする。 この日、90年代ブリティッシュロックの貴族(Oasis)と、いままでアメリカ合衆国で約27人にしか知られていなかったスコットランドの無名バンド(Travis)の取り合わせは、そういうものだった。 この日Oasisが開始した北米ツアーは、本来ならば彼らの4thアルバム『Standing On The Shoulder Of Giants』を前面に押し出すものになるはずだった。しかし、ほんの1か月前にリリースされたそのアルバムは、すでにポップチャートの下位に転落していた。1stシングル「Go Let It Out」も似たような状況だ。彼らの演奏曲目は、そんな淋しい現状を認めているかのようだった。 Oasisは最近、Liam GallagherとNoel Gallagher、ドラマーのAndy Whiteに加えて、新メンバーにGem Archer(G)とAndy Bell(Bass)を迎えたばかりだが、彼ら(と、サポートのキーボード奏者1人)がこの日演奏した全15曲は、おもに新メンバー加入以前の曲だった。ヒット曲で辻褄を合わせようという算段だ。
結局この日のライヴは、’90年代最高のブリティッシュロックのバンドが、いくつかの輝かしい瞬間をはさみながらも、こんなにも平凡になってしまうのかと思わせるものだった。 気合いの入った演奏の後に登場したことすら、Oasisを奮い立たせはしなかった。Travisは、アメリカ合衆国以外ではすでにどこでもスターのようだ。イギリスで行われる今年のグラストンベリー音楽祭では、彼らはDavid BowieおよびThe Chemical Brothersと並んで主役を務めることになっている。 グラスゴー出身のこの4人組が行った45分間の濃密な演奏は、ほぼ完璧だった。しなやかで強烈、攻撃的で高揚感がある彼らのギターロックは、爽快なポップスとも言えるし、鋭いオルタナティヴロックとも言えるものだった。憂鬱で失神しそうな「Why Does It Always Rain On Me?」は、すでに名曲の風格を帯びていた(そして、シアトルのたいていの夜の賛歌にぴったりだ)。 Travisは、これから世界の頂点を目指していくバンドのように眩しかった。実際、彼らが時々風通しのよいサウンドを拝借しているRadioheadがもしいなかったなら、Travisは現存するイギリスのバンドで最も注目されるべき存在だと言っていいだろう。 Oasisについては、The Clashの「London Calling」のこんな歌詞が時々思い浮かぶ。 Neal Weiss |