【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vol.147「Foo Fighters、Oasis…濃密な2025年秋の海外アーティスト来日ラッシュを振り返る」

2025.11.06 23:43

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日本では2020年初頭から続いたコロナパンデミックもほぼ終息し、以前の日常をほぼ取り戻したように感じはじめてから幾つかの季節が巡った。それがいつのことだったかと考えても確かなことはわからない。まだ事態が収束していないところもあるだろうし、国、地域、個人の暮らし方も感覚も異なるので答えはそれぞれに違うだろう。

“海外アーティストのライブを楽しむ”という遠くなってしまっていた日常がほぼ戻ってきたと実感できたこと!今回のTravis公演こそがコロナ禍の先の明るい未来をようやくはっきりと見せてくれた、希望の光のようなライブでした。

これは2022年10月15日に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催されたTRAVISの来日公演を観た感想として私が当時このコラムで綴った一部だ。あれから丸3年が経った今年は17年ぶりの日本単独公演を開催したFoo Fightersや、電撃再結成を果たし16年ぶりの来日公演が実現したOasisが日本列島を大いに沸かせて嵐の如く去って行った。こうしてコロナ禍以降のピークと言える海外アーティストの来日ラッシュを迎えた2025年の秋が終わろうとしている今、日本のエンタメ系については“元通り”になったように映る。

あらためて振り返ってみると、今年の日本の秋はなかなかに濃かった。9月にはSTINGがポリス以来となるトリオ編成で<STING 3.0 JAPAN TOUR>を開催し、74歳とは思えない肉体と変わらぬ歌声を5都市で披露した。12年ぶりに来日したThe Smashing Pumpkinsはオリジナルメンバーのビリー・コーガン、ジミー・チェンバレン、ジェイムス・イハにキキ・ウォンを加えた新体制で25年ぶりとなった日本武道館公演を含むツアーを実施。NE-YO、JON SPENCERもやってきたし、スウェディッシュ・ポップ黄金期を彩ったTHE CARDIGANS、メイヤらが出演した<SWEDISH POP CARNIVAL>やParkway Driveをヘッドライナーに迎えて2年ぶりに開催された<LOUD PARK>、HIATUS KAIYOTE、GLASS BEAMSらが出演した<朝霧JAM>といったフェスも実施された。記載は追いつかないが、その他にも多数のアーティストが来日している。

個人的には純粋に客として観に行ったライブと仕事として参加した現場とが混在しているものの、自発的に観たものはすべて「歴史的に行かねばならぬ」といった気概で臨んだものが多かった。特に印象深かったのは、やはりOasisとFoo Fightersだ。

Foo Fightersは2012年に予定されていたツアーがデイヴ・グロールの喉の状態によってキャンセルになったので、単独公演は2008年の幕張メッセ公演以来17年ぶり。<フジロック>などのフェスでは観てきたけれど、屋内での単独公演を観るのは17年ぶりだったので総合的にどんな演出をするのかと楽しみにしていたのだが、ステージセットなどが特段華美になることもなく、ライブバンドとして変わらぬ姿勢を貫いてパワフルなロック魂を轟かせた。

そしてOasis。世界的にもだが日本でも<Oasis Live ’25>のチケット争奪戦は激しいものだった。私の場合は最初の先行販売では取れず、追加販売で当選し購入できた。けれど注釈付き席だったため、16年ぶりに観るOasisは巨大スピーカーによってステージはおろかギャラガー兄弟をも真っ二つに分断された見え方だった。「仲良くなったはずなのにな〜」と苦笑いしつつも、昨年の<フジロック>でノエルにどハマりした息子10歳と共に歴史的なライブの一部となってPoznanや大合唱を大いに楽しんだ。

そしてもうひとつ、この秋、日本を沸かせたバンドにPixiesを加えたい。3年ぶりに来日したオルタナティブ・ロックの祖と称される彼らのジャパンツアーに幸運にも帯同するお役目をいただいたのだが、桁違いに凄かった。ライブはもちろんのこと、プロフェッショナルというのはこういう人たちのことを言うんだなと何度も痺れてしまう場面が全方位に溢れていて、感動しきりの毎日だった。セトリなしで時間いっぱい演奏するバンドとオーディエンスの幸せそうな顔。これぞ最高としか言いようのないライブ!見逃した人は次回必ず観てほしい。

文◎早乙女‘dorami’ゆうこ

◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】