【ライブレポート】10-FEET、全国ツアー<helm’N bass>Zepp Hanedaワンマンで全26曲2時間超の大熱演「時間かかってもいいから、幸せになれよ!」

10-FEETが5月13日、<10-FEET “helm’N bass” ONE-MAN TOUR 2024-2025>の東京振替公演をZepp Hanedaにて開催した。本ツアーは2025年1月の大阪・Zepp Osaka Baysideで終了予定だったが、昨年2024年12月、KOUICHI(Dr, Cho)の肺分画症による術後の状態を踏まえて休養に入ったため、終盤の東名阪3公演を延期。仕切り直しての1本目がこの東京公演となる。1本1本を積み重ねていく通常のツアーとは違う形にはなったものの、いつでもその日を特別なモノとする10-FEETだからこそのライヴが繰り広げられる一夜となった。
壮大なSE、『交響組曲「ドラゴンクエストIII」そして伝説へ…』に乗って登場したTAKUMA(Vo, G)、NAOKI(B, Vo)、KOUICHIの3人はステージ中央で拳を合わせ、まず重厚感溢れる「火とリズム」を力いっぱい放った。フロアを揺るがすサウンドの中、お気に入りの10-FEET Tシャツに身を包んだ観客もTAKUMAの歌に声を合わせ、会場が瞬時にクライマックス級の熱気に包まれる。ワンマンならではの連動性と一体感ではあるが、そこにはやはり10-FEETに対する絶対的な信頼感があるからこそ。もっとその熱を感じたいと、ダイバーもステージへ手を伸ばしながら飛んでいく。

「始まったぞー!」とNAOKIが勇ましく雄叫びを上げ、TAKUMAの熱っぽい歌い回しに撃ち抜かれる「VIBES BY VIBES」、イントロで大歓声も上がった「1sec.」と続け、ハードに攻め立てていく。が、だからと言ってフロアを制圧していくようなアプローチではないのもいい。あくまで観客の心を焚きつけるようなスタイルであり、縦、横、斜めと自由自在な曲展開の輝かしさも極上だった。
ほんの少しだけ間を空けて、軽快なギターリフからKOUICHIの叩き出すリズムを合図に突き進む「STONE COLD BREAK」、そこからシームレスに突入した「ハローフィクサー」は前半戦のハイライトとして触れたいシーンのひとつだ。そこかしこから歓喜の声も上がったクールなイントロから、ガツガツと踏み込む瞬間のバンドサウンドの衝撃は凄まじく、ここぞというポイントでのKOUICHIのショットも力強い。観客のコールも最高の盛り上がりだ。会場全体を持ち上げて突入した「gg燦然」も精彩を放っていた。

ここらでひと呼吸か…というところで、TAKUMAが「ひと言だけMCします」と口にするや否や発したのは“Ha, ha,… Go!”。この言葉に続いて投下されるのはもちろん「SHOES」だ。完全ソールドのこの日、フロアには踊るスペースもないのだが、スカパンク的カッティングとランニングベースに身も心も踊らせて会場全体が揺れる。NAOKIのベースソロがさらなる興奮を誘って次曲へ。「じゃあ、ちょっとゆっくりな曲をやります」とTAKUMAがうそぶいてドロップしたのが盛り上がり必至の「goes on」というのも10-FEETらしいところ。KOUICHIは疾走感抜群のビートを叩き出し、NAOKIは“もっとイケるだろ”と言わんばかりにフロアを覗き込む。当然、観客も負けるわけにはいかない。全身で浴びたサウンドをさらなる活力とし、ステージへ大きなエネルギーを放っていく。
ここまで止まらずの8曲連続であり、ようやくひと休みかなと予感させたが、「次は古すぎて新曲ぐらい盛り上がらへんぐらいの曲をやります」とTAKUMAが告げて、「nil?」へ。たしかにリリースされたのは2003年6月だから22年前。まだそのときには生まれてない人も会場にはいただろう。だが、様々なジャンルを行き来しながらハイブリッドなサウンドを生み出す高性能っぷりを知らしめた10-FEET-の4thシングルにしてメジャー移籍第一弾シングル曲の久々のライブ披露に、フロアはイントロから大爆発しながらNAOKIのコーラス部分を大合唱。どこまでも右肩上がりで進んでいく。そして、「さあ、今日はどこまでイケるかな?」と呼びかけて演奏されたのが「2%」。レゲエ調の歌にコーラスが合わさったときの温かさはやはり格別であり、必死に一生懸命に生きることはカッコいいんだと10-FEETはいつでも教えてくれる。

そして、趣を変えてプレイしたのが「helm’N bass」だった。赤と青のライトに照らされ、艶めくレゲエパートから空間的ロックサウンドへと移行する曲であり、レクイエムのようにプレイする姿からにじみ出る切なさがとても沁みる。スリリングさとライヴらしいエネルギッシュさが合わさった「Re方程式」といった、ここ最近のシングル表題曲の連投も素晴らしかった。
12曲をほぼ息継ぎなしでプレイし、KOUICHIが改めて復帰の挨拶をしてから、TAKUMAのアカペラで始まったのが「アンテナラスト」だった。それまでステージへ向かって思い思いの言葉を飛ばしていた観客が、一斉に聴き入る姿が印象的。全員で素晴らしい時間を作ろうとしていることが感じられた瞬間でもあった。
そんなムードを増幅させたのが、バンドとしての覚悟をしたためたような歌詞も胸打つ「太陽4号」。’70年代フォークソング的ミドルバラードであり、振り絞る歌声、繊細なバンドアンサンブルが響き渡る。本当の優しさを求めるが故に直面する現実の儚さを歌う「アオ」へと続く流れもまた秀逸だ。

「アオ」の演奏終了後に、NAOKIとKOUICHIに向かって土下座したTAKUMAは、「えっと、1番と2番のサビ、すみませんでした」と懺悔。歌詞をとばしたことへの謝罪に、客席が拍手と爆笑だ。「みんな気づいてないかもしれないけど、俺、めっちゃ生声で歌った」というNAOKIのフォローと「歌ってる途中でLINEしようかと思った」というTAKUMAの告白にまた大拍手。さらに、「一個だけ言っていい? 「goes on」のときに腕を振り下ろしたらベースに拳をぶつけてずっと血が出てる」とNAOKIが語ると、「気づいてた。ベースめっちゃ変な音出してた。もうこの際、正直にぜんぶ言っていこう。」とTAKUMA。「俺も言っていい? 「火とリズム」でギターがタララタララって弾いてるときに、屁こいた」とKOUICHIがかぶせるなど笑いの連鎖が止まらない。「「アオ」なのに“真っ赤”になってもうた」というTAKUMAのひと言には場内大爆笑。さすがは10-FEET。灼熱の演奏と笑い溢れるトークのギャップが最高だ。
続けてMCへ。「いつもはお客さんからリクエストをもらうんやけど、今日はオレから提案があって。途中で演奏できなくなってもいいから、めちゃくちゃ古い曲を」とTAKUMAが「今、思いついた」とメンバーに投げかけたのが、「STREET」なるナンバーだ。10-FEET結成から数ヶ月の約25年前にNAOKIが初めて作った曲でもあり、当時のデモテープのみに収録されている幻の存在だ。言ってしまえばグダグダになる可能性もあるわけで、普通にリクエストでやり慣れた曲をやってもきっといいステージになるし、文句の付け所なんでないはず。だが、10-FEETはそうはしない。面白そうだからやってるだけではない。友達に話したくなるような、何年先でも思い返すようなステージをいつも見せてくれる。そんな懐かしい曲を思いっきり叩きつけてから、「お口直しに」と客席からリクエストを募って「JUNGLES」をプレイし、ライヴはいよいよクライマックスへ。

盛り上がった観客の怒涛のクラップでスケール感が増したように感じられた「ライオン」、会場の壁面に映し出されたメンバーのシルエットも素敵だった「シエラのように」をたっぷりの情感を込めて鳴らし、その余韻を引っ張りながら始めたのが「RIVER」。不朽の名曲であり、いつまでも輝きを増し続ける曲だ。TAKUMAは「端から端まで見えてるで。ありがとう!」と観客へ感謝を伝えながら歌い上げていく。
熱気が高まりつづける中、「ぶちあがっていくぞ、東京!」とNAOKIが大号令をかけ、ドロップしたのが大ヒット曲「第ゼロ感」だ。同期音が鳴り響いた瞬間に場内が沸騰。スリリングなギターリフがダイヴを発生させ、少し溜めてから放たれるサビの爆発力は本当にたまらない。ライヴだからこその音圧、空気、匂いが渾然一体となり、体中に力がみなぎってくる。フロアから湧き上がるコールも強烈だ。
「このままアンコールの分もやるわ」と前置きしてから、様々な状況に置かれている観客それぞれに向かって「明日から、また元気を出していこうな」とTAKUMAが声をかけた。

「いろんなやつがおるやろな。上手いこと行ってるやつ、上手いこと行ってないやつ。出会いがあったやつ、別れがあったやつ。温かい気持ちのやつ、淋しい気持ちのやつ。なんとか元気にやってほしいな。別れがあって淋しい思いをしているやつは、その経験を活かして、今自分の前にいる大切な人に、どういうふうに優しくしたらいいのか。次に出会いがあったときに、ちゃんとカッコよくなれていたらいいと思う。
頑張れっていう言葉が、ときには痛く聞こえることがあるっていうのは、俺も根暗やしへそ曲がりな性格だからめっちゃわかります。でも、頑張らないとあかんときは頑張ってほしいと思うな。カッコ悪い自分がいて、へこたれてるときがあってもいいから、ここぞっていうときは、いちばん良いときのあなたが出せますように、願ってます。
最近SNSでは誹謗中傷ばかりで、うんざりするね。でも、変えていけると思う。ネットの世界ではついつい悪く言ってしまうけど、ライブハウスはその逆だと思っていて。普段性格の悪いやつが優しくなれたり熱くなれたりできる場所だと思う。ネットやSNSのような拡散力はないけど、確実に強く熱いやつ、いい感じのお調子者、ちょっとずつ生み出していける。だからなるべく続けていきたいし、またみんなと一緒に集まりたいと思います。また一緒にカッコよくなっていきましょう」──TAKUMA
そして盛大に響かせたのは乗り越える力を受け取ることができる「その向こうへ」。曲中、「へそ曲がり、もっと飛んでこいよ!」と声を荒げるTAKUMA。斜に構えず、その衝動に従ってみること。その一歩が明日への力になることを知ってるバンドだ。
「もっと!もっと!もっと!」とTAKUMAが呼びかけ、観客が心を開放して大合唱した「蜃気楼」、誰もが枯らさんばかりに声を張り上げた「ヒトリセカイ」と続け、カラフルなタオルが舞い上がった「CHERRY BLOSSOM」へ。「今日まで、ここまで連れてきてくれたのはおまえらや。ほんまにいつもありがとう。これからもよろしく!」というTAKUMAの言葉に続き、締めくくりとして今日イチの狂乱を生み出した「back to the sunset」と、終盤はまさしく大爆走。たぎる情熱、湧き上がる喜び、ちょっと調子に乗っちゃうノリ、いろんなモノが混じり合ったライヴハウス特有の光景はどこまでも美しかった。

すべての演奏が終わったあとにTAKUMAは「時間かかってもいいから、幸せになれよ!」とメッセージ。これに大声援で応えた観客。振り返れば、全26曲2時間オーバーの大熱演だ。久々のワンマンを疾走させ続けたKOUICHIの完全復活と、何かに寄せたり偏ったりすることなく、ただただスケールアップしているバンドの凄みを味わい尽くすことのできた夜だった。
取材・文◎ヤコウリュウジ
撮影◎かわどう
■<10-FEET “helm’N bass” ONE-MAN TOUR 2024-2025>5月13日(火)@東京・Zepp Hanedaセットリスト
01. 火とリズム
02. VIBES BY VIBES
03. 1sec.
04. STONE COLD BREAK
05. ハローフィクサー
06. gg燦然
07. SHOES
08. goes on
09. nil?
10. 2%
11. helm’N bass
12. Re方程式
13. アンテナラスト
14. 太陽4号
15. アオ
16. STREET (未発表曲)
17. JUNGLES
18. ライオン
19. シエラのように
20. RIVER
21. 第ゼロ感
22. その向こうへ
23. 蜃気楼
24. ヒトリセカイ
25. CHERRY BLOSSOM
26. back to the sunset
▼<10-FEET “helm’N bass” ONE-MAN TOUR 2024-2025>振替公演
2024年12月18日(水) 東京・Zepp Haneda
→2025年5月13日(火)に振替
open18:00 / start19:00
2025年01月06日(月) 愛知・Zepp Nagoya
→2025年5月22日(木)に振替
open18:00 / start19:00
2025年01月15日(水) 大阪・Zepp Osaka Bayside
→2025年5月29日(木)に振替
open18:00 / start19:00
■<京都⼤作戦2025 〜暑さも⾬もお茶のこ祭祭〜>
<MISSION IMPOSSIBLE-KYOTO 2025 〜No big deal in the heat or rain〜>
7⽉5⽇(⼟) 京都府⽴⼭城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
7⽉6⽇(⽇) 京都府⽴⼭城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
open9:30 / start11:00
※⾬天決⾏ / 荒天中⽌
〒611-0031 京都府宇治市広野町⼋軒屋⾕1
▼出演者 ※50⾳順
【7⽉5⽇ 源⽒ノ舞台】Age Factory / Ken Yokoyama / 四星球 / SUPER BEAVER / dustbox / 10-FEET / MAN WITH A MISSION / ROTTENGRAFFTY
【7⽉5⽇ ⽜若ノ舞台】INKYMAP / おとぼけビ〜バ〜 / カライドスコープ / KUZIRA / the 奥⻭’s / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / RAINCOVER
【7⽉6⽇ 源⽒ノ舞台】ELLEGARDEN / SiM / SHANK / 10-FEET / Dragon Ash / バックドロップシンデレラ / BRAHMAN / WANIMA
【7⽉6⽇ ⽜若ノ舞台】KOTORI / THE BAWDIES / SHADOWS / SKA FREAKS / STOMPIN’ BIRD / NUBO / Brown Basket
【鞍⾺ノ間】『京都⼤作戦杯2025』EGOLA / ⼤阪籠球会 / SOMECITY OSAKA / TEAM ISHIKAWA / TEAM-S / TEAM TOHOKU / TEAM NICK / TEAM FUKUOKA
『エキシビションマッチ』7/5(⼟) 東⼭⾼校・7/6(⽇) 京都ハンナリーズ
※10-FEETは2⽇間とも出演
※アーティストは都合により変更になる場合がございます。その際チケット代⾦の払戻しは⾏いませんので、予めご了承下さい。

▼チケット
・通常札:2⽇通し券 19,960円(税込) / 1⽇券 9,980円(税込)
・童札(わらべふだ):2⽇通し券 9,980円(税込) / 1⽇券 4,990円(税込)
※⼩学⽣以上有料 / 未就学児童は通常札・家族札の⼤⼈1⼈に対し、1⼈まで無料
※童札は、2025年7⽉時点で⼩学⽣(⽣年⽉⽇が2013年4⽉2⽇〜2019年4⽉1⽇)の⽅が申し込み可能です。
※必ず⼤⼈の⽅(通常札・家族札購⼊者)と⼀緒にご来場ください。童札のみでの⼊場はできません。
▼チケット発売場所
ローソンチケット(国内受付):https://l-tike.com/kyoto-daisakusen/
ローソンチケット(海外受付):https://l-tike.com/st1/mik2025_os
※海外在住の⽅⽤の受付です。⽇本に在住の⽇本⼈の⽅は国内受付にてお申込みください。
【オフィシャル最終受付】
受付期間:5⽉16⽇(⾦)12:00〜5⽉25⽇(⽇) 23:59
ローソンチケット:https://l-tike.com/kyoto-daisakusen/
※お申込みにはローソンWEB会員(無料)への登録が必要
※エントリー抽選⽅式
※詳細は受付サイトでご確認ください
(問)公演:サウンドクリエーター 06-6357-4400
(問)チケット:https://l-tike.com/mik2025faq/
▼京都⼤作戦会員「はんなり会」とは
はんなり会の会員コースは年額・⽉額・無料会員の3種類があり、年額会員向けには京都⼤作戦2025来場時の特典として「レプリカ万能札」の進呈や「はんなり休憩処」が利⽤できる。会員コンテンツや京都⼤作戦2025来場者へのサービスは随時追加されていく予定。
■Daigasグループ創業120周年記念CMに新曲書き下ろし

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