「M-SPOT」Vol.009「ブレイク待ちのバンドから、超有名なアーティストまで」

2025.03.18 20:00

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音楽をプレイするにも様々な活動スタイルが生まれてきているが、同時に今もなお何も変わらぬバンドスタイルで、熱量高いライブパフォーマンスで魅力的な作品を放つアーティストもたくさん存在する。

今回は、ネット上での作品リリースを果たしながらも、自らのアイデンティティをライブという場に定めているアーティストにスポットが当たった。アーティストをキュレーターとして紹介するのは、堀巧馬(TuneCore Japan)、DJ DRAGON(BARKS)、烏丸哲也(BARKS)だ。

   ◆   ◆   ◆

──今回、ere(エレ)というアーティストが気になりました。曲によっては、K-POPっぽかったりR&Bっぽかったり、ときにはバンドっぽい音楽性で、その幅の広さに「バンド? ラッパー? ユニット? ダンスユニット?」みたいな多様性を感じたんですが、実は「シンガー+MPCプレイヤー=シンガービートプレイヤーとして、MPC演奏を駆使しながら歌を届けるスタイル」なんだそうです。MPC(AKAI製のサンプラー/シーケンサー/パッドコントローラーが一体となった楽器)でひとりでステージに立つのであれば、音楽性に制約はないっていうところが面白いなと思ったんです。

堀巧馬(TuneCore Japan):MPCでライブをやる人って、そういうイメージは強いですね。ジャンルというか癖みたいなのはあると思うんですけど、音色は割と幅広くて、今時なライブスタイルだと思います。Yon YonとかNozomi Kitayとかと一緒に対バンイベントやっていたりしていますね。

──ひとりで色んな音を操るという意味ではDJにも共通するところがあるんでしょうか。

DJ DRAGON(BARKS):そうだね。でもやっぱり打ちながらライブでやるクラブスタイルって感じじゃないですか。

堀巧馬(TuneCore Japan):でも、この手の音を全部自分で演奏しながらやるパターンは珍しいですよね。普通に考えたら、自分が歌うのであれば、全部オケにするわけでしょう?

──そうですよね。

堀巧馬(TuneCore Japan):シンガーですけど、演奏自体が相当楽しいんでしょうね。そんな気がします。


ere

──自分のアイデンティティが、歌だけじゃないところにもいっぱいあるってことですね。

DJ DRAGON(BARKS):そうじゃないかな。これ面白いね。

堀巧馬(TuneCore Japan):音源制作の録音も、打ち込みじゃなく、ちゃんと自分で演奏して録音してんじゃないかな。もう楽器なんですね。

DJ DRAGON(BARKS):なるほど。新しいタイプの弾き語りじゃない?

堀巧馬(TuneCore Japan):確かに。

DJ DRAGON(BARKS):これね、片方がやり手で、歌う子が別っていう2人組とかはいるのよ。

堀巧馬(TuneCore Japan):YOASOBIとかそうですもんね。

──Creepy Nutsもそうですね。

堀巧馬(TuneCore Japan):普通の弾き語り以上に、ベースとドラムとシンセと…ってやることが無数にありそうだけど(笑)。

──ギターとかドラムとかピアノとか、いわゆる楽器が弾けなくても弾き語りはできるんだという好例ですね。

堀巧馬(TuneCore Japan):そうですね。だから、この人は多分ライブが相当好きなんでしょうね。ライブがいいという点では、mayuとかもそうだと思います。ライブを見に行ったことがあるんですけど、ライブと音源がほぼ一緒なんですよ。ギター1本のシンガーソングライターなんですが。

DJ DRAGON(BARKS):詩羽(水曜日のカンパネラ)みたいな声だね。

──この「応答せよ」という曲に関しては、ミックスもライブハウスで演奏しているような音場になっているので、ここも狙ってるのであれば好きな世界観なんだろうなって思います。

堀巧馬(TuneCore Japan):ストリートミュージックを好きでやっている印象がありますし、音楽自体もその質感を損ないたくないっていう意思もすごく感じます。野外がめっちゃ似合いそうだなぁ。

DJ DRAGON(BARKS):確かに合うね。


mayu

──今後も楽しみという期待のアーティストという意味では、バイバイ・ニーチェにも期待します。いわゆるロックバンドなんですが、ブレイクのきっかけ待ちと言われるようなバンドがTuneCoreの中にもたくさんいるんですよ。

堀巧馬(TuneCore Japan):いいですね。個人的にはすごい好きです。アニソンとかすごい合いそうよね。疾走系ロックってやっぱり合うじゃないですか。

DJ DRAGON(BARKS):合いますね。


バイバイ・ニーチェ

──バイバイ・ニーチェってバンド名もキャッチーで良いですよね、意味はしらんけど(笑)。

堀巧馬(TuneCore Japan):キャッチーですね。それで言ったらでも、ザ・シスターズハイもいいですよね。

──お客さんがぐわーっと盛り上がるポイントが見えるようですね。

堀巧馬(TuneCore Japan):ライブ向きっすよね。ライブ行きてえな、みたいな。

DJ DRAGON(BARKS):夏フェスみたいなところで観たいよね。

──盛り上がることが保証されている感じ(笑)。

堀巧馬(TuneCore Japan):ビジュアルも、活動も、ジャケ写も、音楽も、全てのアウトプットがひとつの哲学のもとでやられているって説得力がありますよね。ザ・シスターズハイのビジュアルもジャケットも全部含めて、なんか何かひとつの意思を感じる。これで行くんだぜ俺ら、みたいな感じがすごい伝わってくるっていう。


ザ・シスターズハイ

DJ DRAGON(BARKS):この人たち、ちなみにどこの出身なんですか?

──新潟県だそうです。2020年4月結成、ボーカリストの名前が「これだから女子供は」だって(笑)。ブレイク待ちですね。そういう意味では、すでに超有名なアーティストを発見しましたので、その方の最新音源をご紹介して今回はお開きとしましょう。

堀巧馬(TuneCore Japan):のん?

DJ DRAGON(BARKS):あ、ほんとだ、のんですね。

──のんも強い意志とブレないポリシーで活動を続けるアーティストのひとりですからね。

堀巧馬(TuneCore Japan):自主レーベルを立ち上げて活動を始めた人ですからね。


のん

──TuneCoreは宝の山ですね。

堀巧馬(TuneCore Japan):いや、本当に宝の山ですよ。いい曲はいっぱいあるのに、まだほんの一部しか紹介できてないです。

──もっともっといい曲、魅力的なアーティストを発掘したいですね。来週もよろしくお願いいたします。

協力◎TuneCore Japan
取材・文◎烏丸哲也(BARKS)
Special thanks to all independent artists using TuneCore Japan.

ere

MPC演奏を駆使しながら歌を届けるスタイルで都内を中心に活動しているere。 2024年6月からシンガー+MPCプレイヤー= “シンガービートプレイヤー”として本格的に動き出す。 ハスキーでコケティッシュな歌声に導かれるよう、都会の夜の海を泳ぐような浮遊感が心地よい楽曲がリリースされている。
◆ereページ(TuneCore Japan)

mayu

オルタナティブシンガーソングライター、mayu。 2023年4月に、3年ぶりとなる「むさぼる / カラフル」を、同年9月には「我らは」、10月には「waltz」を2ヶ月連続リリース。 2024年4月に下北沢Threeで本体制初のバンドワンマンを開催。ワンマンを皮切りに、バンド編成でのライブ活動を精力的に展開しており、その流れの中でバンドのセッションを通して制作された楽曲「応答せよ」を2024年12月にリリース。んoonのベーシスト・積島直人がプロデュースとアレンジを手掛け、ドラムにはトクマルシューゴらのサポートで知られる岸田佳也が参加した。
◆mayuページ(TuneCore Japan)

バイバイ・ニーチェ

声質がエモさ抜群の爽やかボーカル・ゆとり、ポップセンス抜群のギター・まさと、理論に裏打ちされた着実なベース・あめちゃん、幅広い知識とジョン・ボーナムから影響を受けたグルーヴとテクニックを持つドラム・じょーによ
◆バイバイ・ニーチェページ(TuneCore Japan)

ザ・シスターズハイ

2020年4月結成。 新潟発4ピースネオパンクロックバンド「ザ・シスターズハイ」 FUZZで歪んだ爆音のロックサウンドに、ボーカル”これだから女子供は”が放つ熱くポエトリーなリリックは人の心を一度掴んだら離さない!飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進中!マストチェック頼みました! Gt.Vo, これだから女子供は(@y87yw) Gt, まさやんぐ(@masaya_bear) Ba, カイ(@2020shinshin)
◆ザ・シスターズハイページ(TuneCore Japan)

のん

俳優・アーティスト。1993年生まれ、兵庫県出身。 俳優、音楽、映画製作、アートなど幅広いジャンルで活動。 2017年に自ら代表を務める音楽レーベル「KAIWA(RE)CORD」を発足。
◆のんページ(TuneCore Japan)

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