【インタビュー】-真天地開闢集団-ジグザグ、横浜アリーナ初ワンマン放送前に語る<天ト地>という挑戦「本当に良かった。幸せでしかなかった」

2025.02.13 13:00

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■トロッコに乗って場内を一周した時
■マインドも演奏も変わったと思います

──では、ツアーファイナルを飾った横浜アリーナ公演について話しましょう。まず、横浜アリーナのステージに立ってみて実際の印象はいかがでしたか?

影丸:ひっろぉー!ですね(笑)。

龍矢:まだお客さんの居ない状態でステージに立って、“こんなに人、入るんかな?”と思いました。

命:武道館も広かったけど、客席が縦に高いものの距離は近く感じるんですよ。奥行きがそれ程ないというか。でも、横浜アリーナは“広いなー”って。上のほうの席とか、“本当にそこにもお客さん入るの?”と思いましたね。座席表みたいなものを見ながら「ここもお客さんが入ります。全体で何人です」という話を事前に聞いていたので、ちゃんと埋まるんやなということはわかっていたけど、最後の最後まで半信半疑でした。でも、おかげさまでちゃんと埋まりましたね。

影丸:満杯の横浜アリーナでライブができて本当に感動しました。それこそトロッコに乗って場内を一周した時に、そこにみんながちゃんといるってことが認識できて。トロッコに乗ってからちょっとマインドも変わりましたね。演奏も変わったと思います。

命:トロッコはすごく良かったね。ちょっとした演出のつもりでいたんですけど、あれがあるのとないのとでは、いろいろ違うというか。あれだけ広いと、後ろのほうのお客さんとかがどんな顔をして観ているのか正直掴みづらかったりするんです。だけど、トロッコに乗ってお客さんの近くまで行くことによって一人一人をちゃんと見ることができて、“来てくれた!”という喜びみたいなものをすごく実感できましたから。


▲影丸 -kagemaru- (Dr)

龍矢:僕も二人と一緒なんですけど、もう一つ不思議だったのが、自分とステージサイドのお客さんの目線の高さが同じだったことで。ステージサイドのランウェイに走る身としては、大きい会場ですぐ近くにお客さんがいるというのは初めての経験で、緊張と嬉しさと…みたいな感じたことのない感覚がありました。

命:本当に良かった。幸せでしかなかった。あの空間、幸せが溢れていましたね。

影丸:本当に。

──ライブの雰囲気が抜群に良かったです。横浜アリーナ公演の観どころは沢山ありまして、まずは1曲目がバーン!とハジける曲ではなく、「天(ama)」で深く惹き込むという出だしが素晴らしかったです。

龍矢:1曲目が「天(ama)」というのは、結構早くから決まっていましたよね?

命:セットリストを決める最初の段階から決めていた。

影丸:演出ありきな感じだったんです。

命:最初は、“ドッカンスタート”でいくのか“真面目な曲スタート”でいくのかという二択から入っていって。その後、衣裳だったり、ステージコンセプトだったりを加味して、「だったら1曲目は「天(ama)」じゃね?」という話になりました。

──歌い上げる曲ですし、シンガーとしては相当なプレッシャーがあったのでは?と思いますが。

命:そうですね。ガチガチになっていたら、もう無理ですもんね。歌がスカるとすべてが台なしになって終わるので。そういう意味では、フェスで何回も演奏して何回も失敗して、逆にそれが良かったと思います。失敗から“あれがダメだ、これがダメだ”ということがわかって、自分の中で見えてきたものがある。で、もう大丈夫という気持ちでツアーに臨むことができたから、本当に良かったですね。

──目的意識を持ってフェスに臨んでいたことがわかります。ボーカルに限らず、楽器陣も1曲目が「天(ama)」というのは結構シビアだったのでは?

影丸:いや、命さんの歌始まりやから、すごくやりやすかったです。背中を押されるというか…物理的にも命さんは後ろにいましたけど(笑)。なんかね、ドッカンスタートな曲ではないけど、気分としては本当にブチ上がれました。

龍矢:僕も同じでしたね。それに、まだ「天(ama)」というタイトルではない状態で最初にデモをもらった時が、もうツアータイトルを決めないといけない時期と重なっていて、命さんから「タイトル案を出してほしい」と言われたんです。で、複数考えた中の1つに<天ト地>というタイトルも自分の中で出していて。そのタイミングでデモをもらっていた新曲が「天(ama)」というタイトルになると聞いて、“じゃあ、もうツアータイトルは<天ト地>やん!”と思ってみんなに言ったら、「めっちゃいいやん!」ということになった。

命:それも本当に偶然だったんです。龍矢がそういうタイトルを考えていることを僕は知らなかったので。龍矢は<天ト地>、僕は「天(ama)」というのを、それぞれが考えていて、蓋を開けたら二人で同じことを考えていた。すごい偶然ですよね(笑)。

龍矢:僕の中では、2024年は「天(ama)」があっての1年だと思っていたので、それをアリーナ初ワンマンの1曲目に演奏できたのはすごく嬉しかったです。

──バンドの状態がいいことが伝わってきます。横浜アリーナ公演は、メインステージから客席中腹に伸びたセンターステージを積極的に使うスケールの大きなライブアクトも観応えがありました。

命:アリーナの真ん中にセンターステージを作るという話になり、打ち合わせで「セットリストのどのあたりから使いますか?」と聞かれて、最初は意見が揃わなかったかな。

龍矢:「ライブの後半まで飛び出さないほうが効果的じゃないか」という意見があったんです。

命:でも結果、最初からバーンと行ったほうが良くないかという話になって。

龍矢:別に出し惜しみする必要はないよねと。

命:それで2曲目からセンターステージへ飛び出すことにしました。

──センターステージを作ろうというアイデアは?

龍矢:ツアーの手前に<テレビ朝日ドリームフェスティバル 2024>に出演させていただいて、その時にセンターステージがあったんです。そこで使い方を勉強させてもらったので、イメージが掴みやすかったというのはありましたね。

命:フェスのおかげだね。本当にいろいろ経験を積ませていただきました。

龍矢:LEDがビカビカしているのとかもありましたよね。

命:そうそう。フェスで見て、“あれやりたい!”と思ったんです。

──LEDといえば、-真天地開闢集団-ジグザグの禊のトレードマークともいえる巨大な鳥居をLEDで光らせるというアイデアは秀逸でした。

命:鳥居ビカビカはマジでカッコよかったですね(笑)。スタッフさんに「派手なステージにしたい。でも鳥居はほしいし、世界観も作りたい」と伝えて。それを実現させるにはどうしたらいいかという話になり。まず鳥居を何色にするのかというようなところから始まったんですけど、ド派手な色にしたら真面目な曲にはそぐわないじゃないですか。そういう中で、スタッフさんから鳥居をビカビカに光らせるというアイデアが出たんです。光らせなければシックな感じになるし、光らせればド派手になる。あのアイデアは最高でしたね。

──同感です。エンディングは鳥居が神秘的でしたし。演出面ではお客さんが手にしたペンライトを、命さんのその時その時の感情に合わせた色で輝かせるという手法も効果的でした。

命:“ペンライトいいな、使ってみたいな”というのは、漠然とだけどずっとあったんです。アニメフェスで多用されていたり、L’Arc~en~Cielさんがペンライト(L’ライト)を導入していて、すごくきれいだったので。広い会場でペンライトが映えるということはわかっていたんですよ。客席に人がバーッといるだけよりも、その一人一人の光の演出があるほうが派手やし、デカい会場冥利に尽きると思ったんですよね。

──情景を作ることができますし、それぞれの楽曲の世界観を深めることもできますよね。

命:ステージ演出として、客席を使うことができるので。だから、お客さんが自由に光らせるかたちではなくて、リモートで光を一括制御することが絶対条件としてありました。-真天地開闢集団-ジグザグは世界観的にいろんなジャンルの要素が入っているので、判断をお客さんに任せてしまうと、違うタイミングで点けちゃうことがあるかもしれない。“さすがに今光らせるのは、ちょっとマズいんじゃないの?”というのはお客さんが不快に感じるかもしれないし、「今、点けるなよ!」って争いが起こるかもしれない。そういうのは絶対に嫌だなという話をスタッフさんとして、制御システムを採用させてもらいました。

龍矢:めちゃくちゃ良かったですね、ペンライトは。命さんも話したように、バンドとして点けたくない時に強制的に消せるというのも良かったと思います。ペンライトが光っている状態があると、一方で、いっさい光っていない状態も演出になるんですよね。その差をつけることができたから。わかりやすさというのはすごく大事だと思っているんです。ペンライトがあることで、お客さん的に“ここは盛り上がりどころなんだ”ということがより判断しやすくなったと思う。それもすごく良かったと思います。

影丸:二人が話したことと、全く同じことを僕も感じました。ノリ方とか、ノリどころがわかりやすかったので、これまでペンライトを持ったことのなかった人とか、初めてライブに来た人も入り込みやすかったと思うんですよ。だから、本当にやって良かったなと思います。

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