【インタビュー】逹瑯(MUCC)、2026年初のソロシングル「checkmate」にリアルな空気感「俺は今、ここに立ってますっていう座標」

2026.03.11 12:00

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■2027年はMUCCの30周年に集中して
■ソロは今年のうちに来てもらえたら(笑)

──作詞する時に出てくる言葉も、昔と変わってきたことを感じますか?

逹瑯:全然違いますね。同じテーマを書いても出てくる言葉が全然違うから、時代ごとにリアルに感じる言葉を書いていくのが大事だと思ってます。あとから振り返っても、当時のリアルな言葉を書くことはできないんですよ。たとえば……去年、LUNA SEAのRYUICHIさんと一緒に配信ライヴをさせてもらった時、MUCCの「昔子供だった人達へ」を歌いたいなと思って選んだんです。めっちゃ素敵なアコースティックアレンジに仕上げてもらって、大好きなんですけど、あの曲の微妙な温度感の歌詞は、今書けないわけですよ。たしか当時、20代中盤ぐらいだったかな。

──大人になりかけた時期に、子ども時代を振り返る曲ですね。

逹瑯:大好きな曲なんですけど、今の年齢で“同じテーマの詞を書け”と言われても、全然違う言葉が乗るはずだから。そういう曲を1曲でも多く残していくことで、“あの時はこう思っていたんだな”って、その時の座標を確認することができる。全部が全部そういう曲にはなり得ないけど、たくさん曲を書いているなかで自然とそういう曲が出てくるんですよ。「checkmate」は、そういう匂いのする曲ですね。言ってしまえば、「checkmate」は座標になるけど、「VILLAINS」はならない。

──なるほど。「VILLAINS」はコンセプトありきで書いた歌詞でしたから。

逹瑯:そうそう。今回のカップリングにアコースティックバージョンが入ってる「NOBLE」と「黄昏のエレジー」も、“あの当時こういうことがあったな”と感じることはできる曲だけど、座標的な曲ではないんですよ。MUCCで座標的な曲というと…「ココロノナイマチ」とか「ハイデ」、遡ったら「家路」もそうかな。あくまで俺の感覚ですけどね。

<逹瑯ACOUSTIC LIVE TOUR [sing for you]>

──その時のリアルが落とし込めた曲だと。それは振り返って思うんですか? 曲が完成したタイミングで感じるんですか?

逹瑯:今、挙げた過去の曲たちは、まだあまり経験値を積んでいなかったから、何も考えずに書いていて、結果的にそう感じる曲ですね。そう考えると……ソロになってからそういう曲を書けてたのかな? 今パッと振り返ってみたら、ソロになってからの曲ではあまりないかも。「アメジスト」にちょっとそれを感じるくらいかな。

──確かに、「VILLAINS」もそうですが、コンセプトやテーマから形にしようと臨んでいた印象があるので、リアルさとはまた違うのかもしれないですね。その座標的なものって、曲と歌詞とで総合的に感じるんですか?

逹瑯:俺のマインドの話なので、他の人とはあまり共有できない感覚なんですよ。個人的にそういう曲になり得る匂いを感じるというか……たぶんミヤさんにも聞いたら、そういう曲が数曲出てくると思う。“この曲は違うけど、この曲はそう”みたいな、パーソナルなマインドの曲。でも、別にそういう曲にしようとして書いてるわけじゃないんですよ。「checkmate」も出来上がってしばらくしてから、気持ち的に落ち着いたタイミングで客観的に聴き返したなかで、“あ、そうかも”と思ったから。さらに、ライヴでどう育っていくかにもよるし。

──やったことがないことへの挑戦から始まり、いろいろ模索しながらソロ活動を4年続けてきたからこそ、今そういう曲が生まれてきたんじゃないかと思います。一周して、また始まりの座標にいるというか。

逹瑯:そうですね、やっと一周はしたかな。

<逹瑯ACOUSTIC LIVE TOUR [sing for you]>

──最初におっしゃっていた「セットリストの組み方」に関しても、今までのソロでやってきたことを俯瞰で見るタイミングがきている気がしますか?

逹瑯:ここまで走ってきたなかでのひとつの完成形…集大成…とまでは言わないけど、ひとつの塊がようやくできるのかなって感じかな。アルバムみたいな大きい作品のツアーしかやってきていないから、いろいろ混ぜたライヴがやっとできるようになったという。

──今までのディスコグラフィーを網羅したセットリストという意味で、今後いろいろ試せそうですか?

逹瑯:いや、それでもやっぱりもっとほしくなるんですよ(笑)。“このタイプの曲のなかで幅を出せる曲がほしい”とか“ここにハマる曲がこれしかないんだよな”とか。欲は無限にどんどん出てくる。

──一周したからこそ、まだまだ足りないものがあると。

逹瑯:ある。ただ、やっと一周して来年で始動5周年と思いきや、MUCCが来年結成30周年なので。2027年はMUCCの30周年に集中して、ソロ活動は一旦休憩しようと思っているんですよ。ライヴと新譜は無理だろうから、ソロは6周年のときに楽しもうかなって。ひとまず、ソロライヴは今年のうちに遊びに来てもらえたら(笑)。

──ということは今年、<LIVE HOUSE TOUR [VILLAINS chapter 2]>以降もいろいろ考えているんですか?

逹瑯:今年のうちにもうちょっとやっておきたいですね。2月の<ACOUSTIC LIVE TOUR [sing for you]>のアコースティックアレンジがとてもいい感じなので、アコースティックアルバムの制作を考えていて。あと、ミニアルバムくらいは出しておきたいよなって気持ちはある……けど、ちょっと体と脳味噌がついてこないから、まだわかんない(笑)。アコースティックアルバムに関しては、ほとんどアレンジもできているし、あと1〜2曲、まだライヴでやっていない曲を足すくらいなので、そこまで高カロリーではなく、できる気がするんですけどね。ただ、ミニアルバムを作りましょう、となるとちょっとわかんないな。やりたい気持ちだけは常にあります。

──なるほど(笑)。

逹瑯:ソロはレコードメーカーがついているわけでもないし、自分のさじ加減で動けちゃうからね。“やっぱやーめた!”と思ったらやめられちゃう…のが良くない(笑)。“やると決めたらやるんだ!”っていう強い意思もないんだけどね。

──それこそアコースティックアレンジは、シングル「checkmate」TYPE-Aのカップリングとして「NOBLE -acoustic ver.-」、TYPE-Bに「黄昏のエレジー -acoustic ver.-」が収録されています。ジャジーなアレンジになっていて、それぞれ原曲とのギャップも含め、聴き応えがありました。

逹瑯:原曲とのギャップで言うと、「frigidity」もすごくいいライヴアレンジが仕上がっているから、カップリング収録曲は迷ったんですよ。で、“今回は新しめの曲の中から入れたい”と思って、この2曲にしました。過去の曲でアコースティックアレンジがカッコよくできている曲は、さっき言ったアコースティックアルバムのほうに入れればいいかなって。ま、俺の頭のなかで思ってるだけですけど。

──定期的にアコースティックライヴも開催していますが、こちらもソロ活動に必要な要素になっているんですね。

逹瑯:アコースティックライヴはすごくいい感触でやれていますね。もともと自分ひとりで弾き語りができるわけじゃないし、鍵盤とバイオリンだけのスタイルでもやったけど、やるならそこでしか聴けないアレンジをしっかり作り込んでやったほうが楽しいし、お客さんも楽しいだろうなと思ったんですよね。“むしろアコースティックアレンジのほうが好きかも”って曲ができるくらいのほうが、やる意味がある。そういうカロリーの使い方のほうが好きです。

──いつもと違うライヴの雰囲気自体を楽しんでいると。

逹瑯:だから、会場も雰囲気のあるところでやりたいんですよ。2月にやった青山の月見ル君想フも素敵な小屋だし、神戸のクラブ月世界もめちゃめちゃ雰囲気がよくて。そういう会場の情報を集めて、もっと増やしていきたいですね。

──今後の展開に期待しつつ、まずはシングル「checkmate」を引っ提げて開催される<LIVE HOUSE TOUR [VILLAINS chapter 2]>で何が見えるのか、ですね。

逹瑯:はい。しっかりと楽しみながら、次につなげられるようなかたちにできたらいいなと思います。